道沿ひの塀より墓と百日紅
殿が谷戸公園のレンゲショーマが咲き始めました。御岳のレンゲショーマも、もうすぐでしょう。
緑陰に黒々と立つ大師像
小葉擬宝珠地蔵の足下祈りをり
日を煽る団扇のごとく凌霄花
鬼百合の潜みてをりぬ藪の中
鬼百合をそびらにバスを待つ群衆
鬼百合のひと叢まるで異界とも
少年ら青芝丸く走りゆく
青芝のどこかに蜜や翔びゆけり
蝉時雨のそりのそりと猫動く
金魚玉一間は畳部屋なりぬ
夏旺ん商店街に美術館
水打つや今日も休業なりし店
蝸牛葉裏でこの世偲びをり
月見草ガレッジひとつ花屋なり
森途絶え草原に咲くあやめかな
水鉢を地球としたる蓮の花
青芝に鯨のごとき岩ありぬ
夏羽織昭和の香る資料館
青芝のうねりて庭の広さかな
木漏れ日が穿つ苔庭蝉時雨
青芝にぽかりと浮かぶ庭の石
撫子や淡き想ひを秘めしまま
水引草ひと叢風にもつれをり
笹原を裂ける狐の剃刀よ
鋭角に天へ狐の剃刀よ
破れ傘ひと叢長屋住まひとも
天界に躍りて蓮華升麻かな
天界に浮きをる蓮華升麻かな
音もまたひとつ演出作り滝
鬼百合のそばかす美人なりしかと