幽玄の調べや烏瓜の花
そろそろクガイソウの時期ではないかと、見てきましたら、咲いてました。
口笛を吹く少年や青葉風
大輪となりて噴水風を生む
幽霊のごとく薄闇白紫陽花
樹下に歩を止めてしばらく夏鶯
野の風を呼んでゐるかに夏鶯
藪を出て藪に鎮もる山紫陽花
青空のまるでUFO額の花
うなだれて紫陽花頭でつかちや
花火てふ紫陽花湖の面に映ゆ
林間にあふるる生気山紫陽花
早漕ぎの男同士のボートかな
夏鶯湖面の風を渡りゆく
名は体を現はしてゐる花菖蒲
どの名にも頷くところ花菖蒲
睡蓮に隠れごころもありさうな
青空に睡蓮浮ひてゐるごとく
どす黒き池に一輪あさざかな
裸婦像の埋もれるがまま草茂る
豪快に揺るる泰山木の花
静謐な時の調べの濃紫陽花
紫の風もあるべし九蓋草
ここがはも里の入口花南天
額の花たどりてゆかば里の小屋
縁側の風鈴くるくる廻りをり
水張し上を塩辛蜻蛉かな
蓮のつぼみどれも祈りの形なり
風鈴の見えてをりたる長屋門
夏鶯こころの濁り霧散せり