歳末 | 俳句とお星様と山歩き

俳句とお星様と山歩き

俳句は、日々の散歩の頂きものです。お星様の話は、今は中断中です。山歩きは、主に奥多摩周辺が主です。2006年1月6日に開設したヤフーブログから移転してきました。よろしくお願い申し上げます。

 

行く年の凡庸として里の山

 

旧年中は、皆さま大変お世話になりました。来る年が皆様にとりまして、良い年でありますようお祈り申し上げます。ありがとうございました。

 

行く年の子らを育てし野辺の道

行く年の大海原に夫婦岩

借景の比叡今しも雪催

亡き人を偲びて年を惜しみけり

冬の蠅ひかりの高さへと歩む

玻璃といふ非情な檻や冬の蠅

大年の同じ時刻に出会ふ人

大年の赤橙映ゆる都市の空

古里の酒買ひに行く大晦日

酒器ひとつ箱より出して大晦日

心労の種そのままに年を越す

登りたる山の想ひ出年を越す

大歳の怒涛つんざく音のせり

大歳のひとり過ごせば亡母の声

ひと渓の扇駆けゆく除夜の鐘

除夜の鐘松明めらと盛りたる

煌々と乾きてをりぬ除夜の月

除夜の星ひとつが殊に瞬きぬ

集落に知らぬ人なし除夜詣

除夜詣連絡船も眠らざる

古里のぼそぼそなりぬ晦日蕎麦

地酒はもぶつかけてゐる晦日蕎麦

年の夜の一合時をかけて酌む

見知りたる寺の幾つか年の夜