
冬菊をゆつたり結ふや軒の下
やっぱり、印象的な色というと、最初も最後も、黄色ではないでしょうか。
春の黄色で始まり、冬の黄色で終わるという、流転の姿こそ、よろしいのではないかと思うのです。
その点で、冬菊あるいは枯菊の色合いというものを、時の姿としてしか捉えられないのではないかと、
その鮮やかな色合いに思うのです。
牡蠣飯や壁に飾りて大杓文字
焼芋屋女将顔出す三業地
氏素性知られし町の焼芋屋
指先を晒して牡蠣を剥きにけり
剥きだしの天井の下藁仕事
紙漉きに織り込んでゐる日差しかな
木の葉髪これが現実綿埃
雅楽の音途切れ途切れに神の留守
代々がテキヤの一家懐手
冴ゆる夜の諍ふ声が通る村
凍鶴を尻目に農夫通りけり
今日もまたはたはた焼ひてをりし祖母
天界へ届け羽子板市の夢
ひととせのことをほぐして晦日蕎麦
新雪の獣追ひゆく獣かな
小上りの湯豆腐囲む二人かな
焼芋屋女将顔出す三業地
氏素性知られし町の焼芋屋
指先を晒して牡蠣を剥きにけり
剥きだしの天井の下藁仕事
紙漉きに織り込んでゐる日差しかな
木の葉髪これが現実綿埃
雅楽の音途切れ途切れに神の留守
代々がテキヤの一家懐手
冴ゆる夜の諍ふ声が通る村
凍鶴を尻目に農夫通りけり
今日もまたはたはた焼ひてをりし祖母
天界へ届け羽子板市の夢
ひととせのことをほぐして晦日蕎麦
新雪の獣追ひゆく獣かな
小上りの湯豆腐囲む二人かな