
(マンサク芽がようやくほぐれました。)
目出度さの鏡開きの槌振るふ
そういえば、槌を振るって、手で割った記憶がその昔ある。
こんなものが、食えるかと思ったが、雑煮でも、黄な粉でも、醤油でもなんでも、
硬ければ、硬いほどの味わいがある。
それが伝統という味わいかもしれない。
故里の解けゆくごとし初霞
笹の湯を浴びて八雲の初神楽
かまくらに古代のぬくみあるやうな
後ろにはこころづかひや嫁叩き
漂泊も口伝なるか傀儡師
つつがなくただつつがなく福沸かし
大服や年輪みつに木のお椀
皸の指をさらして芋包む
冬木はも痒きところのありさうな
茅葺に煙の漏るる寒暮かな
手の甲の赤きシスター冬館
ため池の水満々と初大師
牛の鼻照り増すばかり初天神
方言のすぐ飛び出して初電話
誰からか追はるるやうに霜夜かな