
縁側は日当たるところ枯蓮
枯蓮というと、岡山の後楽園を思い出す、立派な陰陽石があり、その蔦の枯れ具合がまた見所なのだが、
枯蓮の枯れ具合は、他の追従を許さないものがあるような気がするのである。
そういうえば、京都の淀城のお堀の枯蓮もまた、近くに京都競馬場があるから言うわけではないが、
見事なまでの、敗れ具合である。
枯蓮の彼岸此岸と仏座す
枯蓮の岸の陰陽石ひかる
一睡の夢の跡とも枯蓮
寒垢離や水玉となる鉄火肌
蕪村忌の色香立ち来る墨絵かな
蕪村忌の句座のごとくに墓ならぶ
蕪村忌の慕つて墓を隣り合ふ
屏風絵を上がり框で鑑賞す
より高き樹々を目指して冬の鳥
本堂の裏かしましき冬の鳥
風の音に気づくさびしさ寝酒酌む
鰭酒に火をつけ風味増しにけり
スピーカー付ひてをりたる耳袋
鰭酒やつぎ酒継ぎ手悩ましき
風花の渋民村の校舎かな
艶の良き大黒柱霜夜かな