
(那須山です。引き続き先輩の信田さんの写真です。)
熱燗や悪酔ひつねの屋台かな
浜松町に勤務していた頃は、良く、屋台の酒を飲んだものである。
なにしろ、駅に到着する前に、網を掛けられていて、掴まってしまうのである。
酒の銘柄は忘れたが、○○正宗とかいう、まったく、世に知られていない、混合酒といったら、
申し訳ないが、必ず、悪酔いするのである。
その点、今の酒は、驚くほど品がいい。
熱燗や夢二が描く細面
あぶな絵の浮かぶ杯牡丹鍋
鳥一羽捨てるとこなくきりたんぽ
海鼠酢に終はらぬ酒のふたりかな
海鼠食み男勝りの女かな
前掛けの焼けて汚れて焼き芋屋
荒波も小波も入れて牡蠣筏
深海のごとき瞳の牡蠣割女
着ぶくれてひたすら貝を割る女
けもの道来る猟師のふたり連れ
竹馬を立てかけてをり島の宿
埃立つ一家総出の藁仕事
冬の鳶船頭餌を投げにけり
放る餌にすぐに飛びつく冬の鳶
これよりは酒に切り替へ晦日蕎麦