お星様は、銀河鉄道が再開するという話を聞いて、行ってみた。
馬やキリンや狐や牛や蛇や、あらゆる動物が集まってきていた。
人間も大勢いた。みんな動物たちと楽しそうに話をしていた。
銀河鉄道は、いまにも、出発しそうに、白い煙を吐いて、時たま、汽笛を鳴らすのだった。
テープカットの儀式が行われ、そのテープをヤギさんがむしゃむしゃ食べた。
乗り込むぞ、みんなぞろぞろ、乗り込んでいった。
入ること、入ること、入れないみんなは、そとで、見送りだ。
宮沢賢治に似たおっさんや、カンパネルラやジョバンニに似た子供乗り込んだ。
猪も冬眠を忘れた熊さんも、乗り込んで。
おもむろに、出発した。
まずは、月に向けて行くようだ、ぽ・ぽ・ぽ・ぽ・ぽ~
がっしゃんがっしゃん・ぽ・ぽ・ぽ・ぽ・ぽ~
カラスさんたちが夜空で見送った。
お月様に向けて、出発した。
お星様は、なんだか、感動が身体に満ちてくるような気がした。
乗ってなくてこうなのに、乗ってたら、どんなに感動するだろうか。
大きな車輪が、一歩二歩、歩み始めた。
お月様に向かって、行った。
ものすごい速さで、小さなお星様を引き連れて行く、まるで、夢の世界だ。
見えなくなってしばらくして、音も消えた。
どうやら、止まってしまったようだ。
後退してきた。
再び、みんなを下ろすと、みんなは、あっという間にどこかへと消えた。
銀河鉄道も、ぽ~と一声鳴らすと、消えてしまった。
後に、冬の芒原が残った。
お星様も、不思議そうに、頭を傾げると、帰っていった。