民主党は天皇陛下の政治利用を今後もしたいのだろう。
そのために確固たるルールを築きたくないのだ。

亡くなったあの方は、今のこの状況を天国からどのように見ているのだろうか。

その男の名は 中川昭一 元財務大臣である。
最も保守を名乗るにふさわしい人物だった。
彼の功績は素晴らしい。

今、鳩山政権が配分政策で国民の目を欺き、何事も先送りというのほほん運営ができるのも彼のおかげかもしれない。
先の米国発金融危機の際に、彼と盟友麻生元総理は国際通貨基金(I M F)への1千億ドルの貸付を決定し、その後IMF改革を主導した。

これは、IMFストロスカーン専務理事の言葉である。

「 人類の歴史で今までなされた最大の貸付である。今回のサミットでの最大の具体的な成果は、日本によるその貸付である。 」
「 IMFの加盟国一国による補完的な資金提供としては過去最大であり、日本のリーダーシップと、世界経済ならびに国際金融が直面している問題の解決に向けた多国間協調主義的アプローチに対する、日本の継続的なコミットメントを明確に示すものである。他の国々に対しても日本に続き、我々の努力に対する支援を期待したい」

最高の賛辞だ。
世界中のマスコミが日本の献身を称えた。

しかしながら当時わが国のマスコミだけは、「 血税を使うべきではない 」「そんな金があるなら国内に回せ」というような論調でまるで国益に叶っていないように報道し、徹底的に麻生政権を叩いていた。
これは正しいのか?今一度検証したい。

まず、IMFに融資された1千億ドルはどこからでたのか。
それは、外国為替資金特別会計だ。(以下 : 外為特会)
外為特会は財務省管轄で外国為替等の保有、売買を円滑に処理する目的で置かれた特別会計のことで、これらの資金は政府短期証券(FB)を市場で発行し、それを購入した投資家から集められる。
つまり、民間からの借り入れであり、マスコミの言う血税ではない。

また、この外為特会は外為市場介入を実施して得たドルがほとんどであり、米国債などに替えられ運用されているので国内に廻すことはできない。
なぜならドル建ての米国債を国内に流通されるには円に替える必要があり、そもそも日本政府がそんなことをすれば急激な円高を招き、さらなる金融危機をもたらす結果となるからだ。

つまり、マスコミの指摘は間違っていたのだ。

では、国益に対してはどうか?

この当時の金融危機で各国がデフォルトして最も被害をこうむるのは対外純債権国世界一のわが国日本だった。
その意味でさらなる二国間融資は危険であり、各国からの求めを断った故中川元財務大臣の判断は正しかった。
また何より二国間融資では保証が流動的で担保されない。
しかしそれでは問題は解決しない。

そこでIMFを通じて貸付を行うことを考えたのだ。
そうすれば債務国はIMFに対し返済の義務を負い、IMFを通じて返済を受ける日本は最大の担保を取ったようなものだ。
さらに、為替リスクもIMFが負い、IMFが定めるSDR金利も支払われる。

これは外為特会という実質寝かされていた資金を、IMFを通じ提供することによりリスクを回避して運用しながら多くの国家デフォルトを防ぎ、なおかつすでに長年提供されている過去の二国間融資のデフォルトまで防ぐという、まるでウルトラCのような技である。
これが国益に叶わないで、なんだというのか。

IMF、そして世界のマスコミが絶賛した報道の方が正しい。
事実、これがその後の金融危機回復につながっていく。
マーケットはギリギリのところで平穏を取り戻し、世界は救われたのだ。

ここで余談ではあるが、故中川元財務大臣は日本興業銀行(現みずほ銀行)出身の元銀行マンだ。
彼は非常に勤勉で、官僚が作る答弁資料を鵜呑みにしない、官僚泣かせの気骨のある政治家だった。
その緻密な頭脳から作られた策と盟友である麻生元総理の決断力によりこれはなされたのである。
すこしでも決断が遅れていたら取り返しのつかないことになっていたかもしれない。
おそらく多くの命が失われずに済んだはずだ。


彼らをつき動かしたのは何か?

それは、信念であり、国益であり、保守の精神である。

この時の総理がもし「友愛」などと八方美人な事ばかり言う誰かさんなら、ぶれまくり先送りした末に二国間融資で着地して時すでに遅し、体力なくデフォルトというのがオチだろう。
まずあの速さで決断できるわけがない。

世界、そして金融業界(マーケット)では偉大な功績として誰もが忘れないこの事実を、いまだほとんどの国民が知らされていない。
マスコミは彼を「ただの酩酊大臣」として葬り去ったままだ。
当時不良銀行員だった私でさえ「やるじゃん」と政治家を見直したものだ。

政権交代は、財政出動派で生粋の保守である麻生政権を嫌うマスコミの扇動により成されてしまった。しかし、先の長崎知事選、東京市議選を見るように、少しずつ流れは変わりつつある。
国民は気づき始めている。

真実は拡散し、いつの日か汚名は晴れるだろう。


以下、彼の功績を紹介して終える

・農水大臣としてポジティブリストを導入、中国等から無差別に輸入される汚染野菜に一定の歯止めをかけた
・財務大臣として金融援助をIMFに一本化、韓国やアイスランドなどから申し込まれた二国間融資を毅然として全て断った
・政調会長として自民党内の人権擁護法案推進派の意見を断固としてはねつけていた
・拉致問題に早くから取り組んできた政治家の一人であり、拉致議連の会長も務めた
・経済産業大臣時、親中派の二階俊博が打ち出した東アジアEPA(経済連携協定)構想に異議を唱えた
・毎年欠かさず靖国神社に参拝していた
・「 非核三原則の堅持は当然 」としながらも日本の核武装の是非について繰り返し「 議論すべし 」と言及していた
・日教組に対し常に苦言を呈していた(生徒の模範となるべき教師がデモで騒音を撒き散らす活動をしていることなど)
・官憲による慰安婦募集の強制性を根拠もなく認めた河野談話について見直しを提言した
・中国の脅威に対し、インドやオーストラリアとの連携を促進するための議員連盟「価値観外交を推進する議員の会」を旗揚げに貢献した
・2007年に保守派の議員で集まる勉強会「真・保守政策研究会」を設立するにあたってのまとめ役となった
・現在保守のエースとなりつつある稲田朋美議員を当時から気にかけ、陰ながら支え育てた  
 

国民のほとんどにただのお酒に酔った酩酊大臣と思わせ、抹殺したマスゴミ。
彼がどんなに素晴らしい数々の功績を立てようがこれまで報道しなかった。
それよりも彼がつまづく瞬間を虎視眈々と狙っていた。


あなたは曲がったことが嫌いな頑固な人で、傍から見ると悔しいくらい不器用で、この国のことを最も考え尽力した男でした。私たちはあなたの想いを消して忘れません。


故中川元財務大臣とIMFストロスカーン氏
$不労所得(インカムゲイン)で快適老後生活を目指す旅人の日記