先日、友人とご飯を食べていて
くちびるが乾燥するね
そういう話になりました
ハイカラな友人が取り出した
リップクリームはフランス製のものでした
「かっこいいね」
と私が言い、彼女が
「これ?
普通にドラッグストアで売っているよ」
と言いました
そんな会話のあと
今度は私のほうの話になりました
私のリップクリームは
いちごの香りのものです
握るところに
大きくいちごの絵が描いてあるのを
友人に見せたら
同い年の友人は
お姉さん顔になってからかうように
か~わい~と言いました(笑)
☆
あれは高校一年生の時のことです
女子高でしたが
とっても気になる女の子がいました
さらさらのおかっぱ頭
奥二重の切れ長の大きな目
真っ白な肌
そしてぽってりというか
薄いというかなんとも不思議な魅力の
つやつやのくちびる
今は痩せている子が
アイドルの主流ですが(笑)
彼女は
結構ふっくらとした体つきで
それがまた彼女の顔に似合っていて
一層魅力的でした
あまり話をしない子だったので
最初は気が付きませんでしたが
その子とすれ違った時に
ふわっとしたいちごの香りがしました
その香りに振り返って見た時に
なんて綺麗な子なんだろうと
思ったのです
その香りはその子がつけてた
無色透明のリップクリームでしたが
あの瞬間は今でも
なぜだか忘れられません
それから私はその子を
よく目で追うようになりました
その子は
すごく真面目そうな身なりなのに
一緒に居る親友は
割と気のいいワルみたいな(笑)子で
二人はいつも楽しそうでした
そのワルみたいな子からは
よく私は話しかけられて
成績表に書く親の言葉の代筆を
頼まれていました
悪い成績表を見せたくなくて
私が当時ちょっと字が綺麗と言う理由で
頼んでくるのです
「ありがとうございます
もっと頑張るように言います」とか(笑)
そのくせにいざ書いて見せると
綺麗すぎるよ!
うちの親の字はもっときたないんだよ
と文句をいう
そんな面白い子でした
たけちゃんの話に戻しましょう
(あ、その綺麗な子はそう呼ばれていました)
彼女とは
結局ほとんど話をしていません
高校二年でクラスが分かれてしまって
その後校内でも
あまり見かけることはなくなりました
高校に入ったばかりの一年間
まるで内気な男子のように
ずっと見ていただけでした
声を聞いたことも
あまりなかったのですが
一度だけ
そのワルみたいな親友に向かって
だから尻(しり)がでかいんだよ!
と叫んでいるのが聞こえて
あまりにびっくりして見たら
彼女ははにかんで
顔を赤くしてうつむきました
思っていたより低めの声でした
どんな性格だったのか
今でも少しもわからないのです
でもこうして
いちごの香りのリップを買う
私の中では
今なお
憧れなのかもしれません
おかっぱの前髪の下からのぞく
彼女の瞳は
どこか冷めた感じがあって
あまりしゃべることもなければ
あまり笑う子でもありませんでした
あとから
割と複雑な環境だったと聞きましたが
あのいちごの香りを思い出すと
ちょっとほっとします
それなりにきっと
楽しんだ学生生活だったかなと
勝手に思います
今、どうしているかなー
人形のそれのように
顔の面積のわりに
とても小さくて、ぽってりとして
でも皮膚が薄そうな
浅いピンクの血色のくちびるでした
なんだか
大切にしてあげたいような
気持ちにさせるくちびるでした
だから
話しかけられなかったのかな
☆
いま
いちご印のリップクリームを
手にしながら
記憶ってすごいなーと思っています
すてきな記憶は本当に
宝物のようなものです
何度も何度も
引き出しから取り出して
袖通しをして
またゆっくりと綺麗にたたんで
元に戻す年代ものの着物のようでいて
あっというまに
私をあの頃に連れて行ってくれます
ありがたい飛行船です
当時そのワルみたいな子に
たけちゃんが何のリップと使っているか
調べてと頼みました
親の代筆のかわりに
いいから調べてよーと頼んだのです
普通の、ごく普通の
それこそ
ドラッグストアにいくらでも売っている
メーカーのものでした
私も早速買ったのですが
全然たけちゃんのようには
なりませんでした
やっぱり
たけちゃんは
何か特別だったのです
そして
この季節に
いちごのりっぷくりーむを使って
香りがほわっとくるたびに
私はいつも
制服姿の
あのワンシーンに戻っています
そしてやっぱり今でも
あー、たけちゃんみたいになりたいなー
なんて
憧れている自分に気がつきます
U22
いよいよ2月です^_^
