みずみずしく、
きらきらとした愛に溢れた
短編の数々。

どの作品も「死」に近い。
老いや死や別れを
根底に置いているのに、
不思議と淡い明るさに包まれている。

タイトルのままに
食べ物の描写が素晴らしい

でも
たぶんそれは光と影のように、
美味しさとともに
哀しさを物語が伴っているからだ。

笑いや喜びは、もしかしたら、
それ単体ではさほどのものではないのかもしれない

人生が行き着くところが別れだと
皆知っているから、
笑いや喜びが際立つのだろう

そう…
幸せ過ぎると涙が出るみたいに

本当は
悲しいと嬉しいの境目なんてないのだ

嬉しいとか悲しいとか
つらいとか
言葉に書くから限定されるだけで

それはいいとか悪いとかではなく
嬉しいも
悲しいも
辛いも
楽しいも
平等な感情なのかもしれない

どの感情も真反対に見えて、
実は寄り添うようにして
心にある。

甲乙をつけられるものではない…
かもしれない

人生は感情を味わうためにある
そう言われたことがある

小さいころ
苦い思いをした
コーヒーやビールが
今は美味しいように

苦手だったわさびを
好きになっていくように
人生を生きていけたらいいな

そう思う

「人生」と言う
あつあつを召し上がろう

photo:01



小川糸作 「あつあつを召し上がれ」を読んで


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