『これから「正義」の話をしよう』 マイケル・サンデル
これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学/早川書房¥2,484Amazon.co.jp実はこれを読んだわけではない。Justice: What’s the Right Thing to Do?/Farrar Straus & Giroux¥1,922Amazon.co.jpほぼ二年ぶりに英語を勉強しようと思って、これを読もうかとも思った。でも、これを読んだわけでもない。パラパラめくってみた感じ、やけに読みやすそうだったので、院試までの一週間で、これでも読んで勉強したふりをしようかとも思ったのだが、やめた。元ネタのハーバードでの講義がネットで転がっているんだね、しかもスクリプト付きで。Justice : What the right thing to do ?いまのとこはこれの三日目の講義までしか見ていない。それにしても、なんと分かりやすく話すんだろうな。聞き取りやすいし、難しいこと一つも言わないし、間の取り方とかも上手いし、男前だし、そりゃあ人気でるわな。 三日目の講義が終わった段階では、個人の幸せの集積を金に換算して、コストとのシーソーにかける話が進んでいる。松屋強盗放置理論とかで日本でもおなじみになったやつ。こうして考えると、マイケル・サンデルのやっている講義が、まともな研究ではなくハイティーン向けパフォーマンスであることは確かだとしても、それがわりと超絶くだらない現代社会の様相を暴露しようという点においては十分に成功していることが分かる。それと、その講義が思っていた以上に多くの人の行動理念にまで落とし込まれていることにも(どっちが先かはしらないけれども)。 ただ英語力に関しては、サンデルが一人でしゃべっているときには、基本的に全部分かるのだけれども、「君!」「Umm, ah, ....」って対話が始まった時にはちょっと付いて行けなくなる。もっと論理的にしゃべれよ。というか、「日本の大学生は授業を聞くだけだ、一方アメリカでは・・・」という文脈で言われる主体的な授業参加だが、少なくともこの講義ではそんなレベルの高いものではないし、むしろこのショーを円滑に進めていくための、「頭はいいんだけれども、カントとかルソーとか読んだことありません、将来は大企業役員です」みたいな模範的なハーバード学生による模範的な「無知だけど本質を突いた返答をしようコンクール」になっているだけじゃないのとも思うが。事実、ちょっと面倒くさそうな学生はサンデルに名前も聞いてもらえずに話題を変えられる(ただ単に無意味でだらだらしゃべられるのがムカつくってのもあるだろうが)。 ただ、そういう点を踏まえても、パフォーマンスとしてはとっても面白いし、僕のように英語力皆無の人間にとっては格好の教材になる。あと現代英語圏では、フーコーの『監獄の誕生』でパノプティコンを考案した人として程度にしか旧世界では扱われないあの人が、むやみやたらと重要な哲学者扱いされていることも分かった。