5万年刻む砂時計 | はれ ときどき くもり

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昨日に続き気になった記事を1件。
 
はるか昔の気候変動や遺跡が、いったいいつの出来事なのか。手がかりは、化石などに取り込まれた
放射性炭素の量でわかります。大気中に微量存在する質量数14の放射性炭素(C14)は半減期5720年で、
死滅して大気と炭素の交換が止まった生物の内部に取り込まれたC14の濃度を調べれば年代がわかる
仕組みです。しかし大気中の濃度は一定とされていたC14が数千年以上前に遡ると一定ではないと
わかってきました。
炭素濃度から算出した年代が、実際と数千年ズレかねないため、年代毎のC14濃度を正確に突き止め
補正する必要がでてきたのです。
 
そこで今世界中から注目されているのが、
福井県の水月湖の堆積物です。直径7.5センチ長さ2メートル程の筒状のパイプを湖底の堆積物に
差し込み約70メートル分引き揚げました。その土の断面はきれいな縞模様になっていて、年縞と呼ばれます。
四季ごとに湖底へと沈み込んだ黄砂やプランクトンの死骸、土などは季節によって積み重なる種類が
異なり、1年で平均0.8ミリ。世界でも類をみない、数万年分が連続したしま模様を分析すれば、
気候などの正確な情報が得られるということなのだそうですショック!
 
そんな分析成果の一つが「時計」の目盛りとしての役割です。
他の国でも年稿として分析されてきた堆積物はありますが、水月湖は桁違いの正確さで、
年稿の数え落としによる誤差が5万年で±169年、一日当たりではわずか±5分というから驚きです!
 
国際会議で水月湖のデータが年代測定に組み込まれることが合意され、考古学年代の「世界標準時」の
目盛りを水月湖の年稿が果たすことになったのです!!
 
以前UPした「イッテルビウム光格子時計」の時も日本の科学者たちの活躍を頼もしく思いましたが、
今回のまさに気の遠くなるような根気のいる研究が実を結び、本当にすばらしいです。
 
 
おまけ
 
         横浜山下公園氷川丸にて
 
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