待ちません

もうあなたを待ちません


桜の色が

煙草の匂いが

海の音が


あなたをさらってゆきました

あの町へとさらってゆきました


電話ボックスの片隅で

あなたを見かけるその時を


駅の待合室の片隅で

あなたと出会えるその時を


そっとそっと待ちわびたその時を


私は決して忘れません

決して忘れは致しません


そうして私は今日もまた

駅へとこの道を歩きます


けれどもう

あなたを決して待ちません


――Project BUNGAKU 「燈籠」を観て