下水汚泥でクリーンなエネルギーを | 大野もとひろオフィシャルブログ Powered by Ameba

下水汚泥でクリーンなエネルギーを

 

街を支えるインフラとなっている埼玉県の流域下水道は、県民の約75パーセントにあたる558万人の下水を8流域・9つの水循環センターで毎日処理しています。

大変多くの下水を処理するため、多くのエネルギーを使う必要があるほか、発生する汚泥を焼却する際に温室効果ガスが発生します。流域下水道事業の温室効果ガスの排出は二酸化炭素換算で約27万トンと、大変多くなっています。

このため、カーボンニュートラルを目指すにあたり、それを削減することが流域下水道の大きな課題となっています。

そこで埼玉県では、温室効果ガス削減を行うため、民間事業者と共同で、これまで、そのまま焼却処理していた下水汚泥をエネルギー化する施設の整備を進めてきました。

そしてこのたび、三郷市にある下水処理場「中川水循環センター」内に、埼玉県が設置した汚泥を消化分解する「汚泥消化タンク」と民設民営方式により発電事業を行う「バイオガス発電施設」が完成し、11月1日に稼働開始しました。

この消化施設は、流域下水道では全国最大規模です。



次に、今回導入した汚泥消化・バイオガス発電システムの概要について説明します。水循環センターでは、家庭や工場などで発生した下水を集めて処理を行い、きれいな水にしていて、その水の中の汚れが汚泥となって集まります。

この汚泥を、新たに作った汚泥消化タンクに投入し、微生物で分解させて約半分まで減量します。

またその際、発生したバイオガスは、減量した汚泥の焼却に利用するとともに、民間事業者に売却し、事業者がバイオガス発電の燃料として活用する仕組みとなっています。

これによって焼却で発生する温室効果ガスが減るとともに、焼却に使う電力や化石燃料を減らすことで、二酸化炭素換算で年間1万2,400トンの温室効果ガスを削減します。

また、ガス発電で得られるクリーン電力を供給することで、年間4,600トンの温室効果ガスの削減に貢献します。

私も先日、消化タンクに上りましたが、その大きさに圧倒されました。今回のような下水資源を活用する施設の稼働によって、困難が多い温室効果ガスの削減が一歩ずつ進んでいくことを期待したいと思います。

今後も、下水資源を活用した温室効果ガス削減の取り組みを進め、環境との調和を図りながら下水処理事業を行っていきます。