犬猫の殺処分ゼロに向けて | 大野もとひろオフィシャルブログ Powered by Ameba

犬猫の殺処分ゼロに向けて

 

令和2年度末に「埼玉県動物愛護管理推進計画」を改正し、犬猫の殺処分数を「ゼロ」とする新たな目標を掲げました。そこで、犬猫の殺処分を削減するための県の取り組みについて報告させていただきます。

犬猫の殺処分の推移ですが、平成21年度は5,764頭であったものが、令和元年度は622頭となっていて、10年間で約9割と大幅に削減することができました。

埼玉県では動物愛護施策のビジョンを明確にするため「埼玉県動物愛護管理推進計画」を定めていて、令和2年度末に同計画の見直しを6年ぶりに行いました。

これまでの目標は殺処分を「ゼロに近付ける」ことでしたが、今回の見直しにより、計画の終期に当たる令和12年度末までに犬猫の殺処分を「ゼロ」としました。埼玉県が「殺処分ゼロ」を宣言するのは今回が初めてです。

ようやく「殺処分ゼロ」が現実のものとして手が届くところまで来ました。今後も気を抜くことなく、目標の達成に向けてしっかりと取り組んで行きたいと考えています。



次に、犬猫の殺処分を削減するための埼玉県の取り組みについて説明します。まず、殺処分削減の基本となる「三本の柱」についてです。

一つ目の柱は、飼い主からの安易な引取を抑制すること、いわゆる「入口対策」です。

飼い主から引き取りの依頼があった際は、飼育放棄する理由を詳しく聞き取るとともに、新しい飼い主探しなど、引き取りを回避するための努力をしているのかを確認し、引き取りについて考え直すよう粘り強く説得していることから、引取数は年々減少しています。

二つ目と三つ目の柱は、いわゆる「出口対策」です。収容した犬猫の中には、迷子で、はぐれたものもいるので、元の飼い主に返すことが二つ目の柱、飼い主が現れなかった犬猫は、新しい飼い主に譲り渡すことが三つ目の柱です。

収容した犬猫のうち、返還又は譲渡する割合は着実に増加しています。

「三本の柱」の取り組みの中でも、特に重視しているのが「収容した犬猫の譲渡」です。

埼玉県に収容された犬猫については、新たに飼育を希望する個人の方や、新たな飼い主探しに協力いただく県の認定譲渡団体に、動物指導センターから積極的に譲渡しています。

また、認定譲渡団体を支援するため、県庁や市役所を会場として提供する県主催の譲渡会も平成29年度から開始しました。令和元年度までに計6回開催し、延べ約2,800人の方に御来場いただき、101頭の犬猫を譲渡することができました。

令和2年度は新型コロナの影響もあり、県庁譲渡会の開催は見合わせましたが、各団体ではオンライン譲渡会といった新たな取り組みを始めているところもあるため、こうした取り組みについて、埼玉県の公式アプリ「まいたま」やSNSで情報発信しています。

続いて、殺処分ゼロに向けた大きな課題の「野良猫の繁殖抑制」についてです。殺処分に占める猫の割合は非常に高く、その多くが、野良猫から生まれた生後間もない子猫であるため、これを減らすことが重要です。

野良猫を減らすための手段として、一旦捕獲し、不妊手術してから、元の場所に戻す「TNR(Trap〈捕獲〉 Neuter〈不妊手術〉 Return〈戻す〉)活動」と、TNRの済んだ野良猫について、餌やトイレの管理も行う「地域猫活動」があります。

埼玉県では、野良猫を少しでも減らすため、この2つの活動を支援する事業に力を入れています。
TNR活動の支援については、埼玉県の委嘱ボランティアである「動物愛護推進員」に、不妊・去勢手術にかかる費用を補助する事業を行っています。

また、住民が行うTNRに補助金を交付する市町村へ、財源の一部を補助する事業も行っています。

地域猫活動の支援については、住民やボランティアと連携して地域猫活動に取り組む市町村に対して、不妊・去勢手術費用に加え、エサやトイレ資材などの費用を補助しています。

これらの補助事業を開始した平成24年度は、県に収容された野良猫が1,877頭でしたが、補助金を利用した野良猫の不妊・去勢手術の数が年々増加してきたことに伴い、野良猫の収容数も年々減少し、令和元年度は520頭、平成24年度比で7割以上の減少となりました。

今後も、野良猫の繁殖抑制対策を進め、県に収容される猫の数を減らす「入口対策」と、県が収容した犬猫をできる限り多く譲渡する「出口対策」、この2つを両輪として、犬猫の殺処分数のさらなる削減に取り組んでいきます。



犬猫の殺処分ゼロを達成するためには、県民の皆様の協力が大変重要です。そこで、県民の皆様にお願いを申し上げます。

すでにペットを飼っている皆様は、ペットが最後の時を迎えるまで、責任と愛情をもって大切に世話をしてください。

そして、万一迷子になった場合に備え、ペットには名札やマイクロチップの装着をお願いします。特に、犬には鑑札の装着が義務付けられていて、これも名札の役割を果たします。

迷子になってしまっても、名札などが着いていれば飼い主がすぐに分かります。

また、最近ではペットにマイクロチップを装着する飼い主も増えています。マイクロチップには、名札のように放浪途中で外れてしまう心配がないという利点があります。

埼玉県では全ての保健所や動物指導センターにマイクロチップを読み取る機器を配備しているため、マイクロチップが装着されていれば、すぐに飼い主に連絡することができます。

そして、これから犬猫を飼うことをお考えの皆様には、ペットショップでの購入と併せ、動物指導センターやボランティア団体から譲渡を受けることも選択肢に入れてください。

なお、埼玉県の認定譲渡団体の情報は、埼玉県ホームページから御確認ください。

最後に、イオンが発行する電子マネー「彩の国ハッピーアニマルWAON(ワオン)カード」について御案内します。

同カード利用額の0.1%相当を埼玉県に御寄付いただき、今回紹介した「野良猫の繁殖抑制」に係る補助金や、譲渡会開催などの動物愛護事業に広く活用させていただいています。

動物愛護推進のための持続可能な支援として、多くの県民の皆様に「彩の国ハッピーアニマルWAON(ワオン)カード」を御利用いただければ幸いです。