自衛隊不祥事に対する信頼回復:饗庭野演習場と福岡地本の事案について外交防衛委員会で質しました。 | 大野もとひろオフィシャルブログ Powered by Ameba

自衛隊不祥事に対する信頼回復:饗庭野演習場と福岡地本の事案について外交防衛委員会で質しました。

11月20日、外交防衛員会で質問に立ち、自衛隊による饗庭野演習場で迫撃砲弾による被害事案及び福岡で元横綱の力士が自衛隊車両を勝手に乗って行ってしまった事案について質しました。

 

饗庭野演習場で迫撃砲弾による被害事案については、事案の発生もそうですが、防衛省・自衛隊として、発生した事案をきちんと調査し、再発防止に努めていると国民にご理解いただくことが必要です。

そこで、警察が自衛隊に捜査段階で過失ですと「内々」伝えた事実があるのではないかと質しました。この件については、この委員会中に明らかにはなりませんでしたが、11月29日の委員会開催前の理事会において、警察からこのような見解が防衛省に伝えられた事実はなく、防衛省の課長が全く根拠のないことを小生に伝えたとの釈明がありました。真実はわかりませんが、省庁内でなれ合いがあるとすれば、事実究明と再発防止に向けた防衛省や自衛隊の努力は水泡に帰します。事案が発生したら、きちんと調べて、まっとうに対処していると示すことが、信頼の回復の最大の近道だと防衛省には強く申し入れました。

 

十一月四日、福岡地本の採用活動に御協力をいただいた元力士の方が、広報に使用した自衛隊車両に同行者と共に勝手に乗り込んで、この自衛隊車両につけっぱなしになっていたカギを使用し、エンジンを掛けて発進させ、会場を一周したという事案が発生しました。この事案についても、発生後の防衛省・自衛隊の対応に問題があると考えました。事案後、自衛隊では、「車両のカギを付けたままにしておくべきではなかった、それから、運転は自衛隊員以外はできないということもしっかり申し上げておくべきだったと、注意を喚起しておくべきだった」という指導を行った由でした。

ところが、力士が車を乗り去ってもそれを制止せず、窓の外から「ダメです」と言っただけという対応には何ら指導がなされていません。自衛隊法九十五条の一項では、自衛隊が保有する装備品や車両が奪われそうになるときには武器の使用権限が与えられています。ことほど左様に、自衛隊の装備というのは決して略取されてはならないものなのです。万が一、装備品が悪意で使用されたり、それにより一般の方に危害が加えられるようなことがあれば、大変な問題となります。自衛隊の装備の管理、略取された場合には武器使用とまではいかなくても、可能な限りあらゆる手段を講じて阻止することに十分な注意を払うべきという指導の徹底が必要と強く申し入れました。

 

 

当該部分の議事録は以下の通りです。

 

○大野元裕君 国民民主党・新緑風会の大野元裕でございます。

 久しぶりにこの委員会に戻させていただきまして、改めて皆様の御指導をいただきながら精進をさせていただきたいと思います。

 さて、所信に対する質疑ということでございます。新任の岩屋防衛大臣、新たに御就任をされまして、おめでとうございます。

 おこがましいのを承知の上で、最初でございますのでお話をさせていただきますが、私は、自衛隊を預かる大臣として、自衛隊と政府、そして国民、この関係をしっかりと築く役割というものを防衛大臣は担うべきだと強く感じております。政治は自衛隊に対して、国民を守るために一身を賭せと言う可能性があります。そうだとすれば、自衛隊の政府、特に大臣に対する信頼というものは極めて重要だと思っています。

 さらに、国民の自衛隊に対する信頼もそれに劣らず重要です。そして、国民に御理解をいただくためには、物言わぬ自衛隊に代わって大臣が率先をして国民に対して御理解をいただく、あるいは説明責任を果たすこと、これがとても大事だと思いますので、この意味で、大臣におかれましては、国民の代表である国会における答弁について重責を担われるということ、改めてしっかりとお願いをさせていただきたいと思っています。

 さて、それを踏まえましてですが、十三日に当委員会におきまして、大臣は所信で二件の事案、事項について言及をされ、原因究明と再発防止の徹底を約束をされました。それにもかかわらず、翌日です、饗庭野演習場で迫撃砲弾による被害事案が発生をし、今日もその御報告をいただきました。

 大臣、安倍政権では、数代前の防衛大臣は自衛隊からの信頼を大きく毀損をし、失墜をさせたと私は理解をしています。今度は、大臣が御就任をされて早々、緊張感が不足しているのか、あるいは大臣が替わったからなのか、私には分かりませんけれども、その翌日にこの事案です。

 総理は国会議員こそ国民の信頼を最も得られていないと軽口をたたきましたけれども、私は、国民の自衛隊に対する信頼を確固とするためには大臣の説明責任を求められると思っています。

 そこで、警察庁に伺いますけれども、まず、この事案ですね、過失だったんですか、それとも意図的に引き起こされた犯罪なんでしょうか、教えてください。

○政府参考人(田中勝也君) お尋ねの事案につきましては、十一月の十四日の午後、滋賀県高島市の陸上自衛隊饗庭野演習場におきまして、訓練により発射された砲弾が演習場敷地内の道路に着弾し、敷地外に駐車中の車両の窓ガラス等を破損したものであると承知をいたしております。

 滋賀県警察におきましては、本件被害車両に乗車していた男性からの通報を受けまして直ちに臨場し、通報者からの事情聴取、被害状況の確認を行ったものでありますが、本件につきましては、自衛隊において原因等の調査が行われていると承知をしておりまして、警察といたしましては、お尋ねに対するお答えにつきましては差し控えさせていただきたいと存じます。

 いずれにいたしましても、滋賀県警察において自衛隊の調査に必要な協力をしていくものと承知をいたしております。

○大野元裕君 ちょっとよく分からなかったんですけれども、要するに今は言えないということなんですね。

 だとすると、これは、済みません、例えば器物破損罪の疑いがあるとすれば、過失ではこの器物破損罪は成立をしないと理解をしていますから、そこに、意図的であったかどうかという、とても大きな話ですよね。あるいは、仮に意図がそこにあったとすれば、それは器物破損罪どころか、職務に基づく武器使用に関する違法性の阻却事由に当たらなくなるということで、自衛隊の在り方そのものが問われることになります。

 そういった意味ではとても重要なので、今の段階で警察としては言えないという、そういうとても重要な事案ですから、そういうことに鑑みて今の段階では言えないということでよろしいんでしょうか。ちょっと確認させてください。

○政府参考人(田中勝也君) まず、一般論として申し上げれば、警察におきましては、個別の事案の具体的な状況に即しまして刑罰法令に触れる行為が認められれば、法と証拠に基づきまして適切に対応することとしているところであります。

 本件の事案につきましては、自衛隊の訓練中に発生したものであることから、滋賀県警察といたしましては、武器の取扱い等に関して専門性を有する自衛隊が行う事実関係の調査に必要な協力をしていくものと承知をいたしております。

○大野元裕君 ところが、これ専門性を有するもので、そうすると警察は判断しないということなんですか。ちょっとそこを確認させてください。まだしないのか、判断これからもしないのか、教えてください。

○政府参考人(田中勝也君) 本件につきましては自衛隊において調査をされますので、その調査に対しまして警察として協力をしてまいる、こういうことでございます。

○大野元裕君 もう一回聞きます。これからも判断しないんですか、要するに意図的であるかどうかについては。それとも、今はしないんですか。そこを確認させてください。

○政府参考人(田中勝也君) 個別の事案につきましてはお答えを差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げれば、警察は、事案の具体的な状況に応じまして刑罰法令に触れる行為が認められれば、法と証拠に基づきまして適切に対応すると、こういうことでございます。

○大野元裕君 全く答えていないですよ。そこは明確にしていただきたい。

 それ以上に、警察庁に伺いますけど、十四日に発生した本事案について、警察庁は防衛省に対して本件は過失によるものという判断を伝えていませんか。防衛省のレクではそういうふうに聞いているというふうに言っていますけれども、伝えていませんか。

○政府参考人(田中勝也君) そのような通報をしたという事実は承知しておりません。

○大野元裕君 防衛省は、警察庁捜査一課が過失と明言をしたというふうに言っています。

 警察庁、誰が、もし、これ、伝えたと、かどうか確認をしていただけませんか。そして、防衛省、ここに、私、そのときに来られた方の名刺も持っていますけれども、防衛省の方でも伝えられたんじゃないんですか。確認をしていただけないでしょうか。

○国務大臣(岩屋毅君) そのような事実があったとは承知しておりません。

○大野元裕君 名前言いましょうか。名刺持っていますけれども。今そちらで、多分おられますから、確認していただけませんか。警察も確認してもらえませんか。(発言する者あり)

   〔速記中止〕

○委員長(渡邉美樹君) 速記を起こしてください。

○国務大臣(岩屋毅君) 今ちょっと聞き取りもしましたが、現段階ではそういう事実があったということは確認できておりません。

○大野元裕君 それでは、もし委員長の御理解がいただければ、名刺差し上げますので、後ほど確認をしてください。

 というのは、何を申し上げているかというと、先ほども申し上げたとおり、国民からの自衛隊に対する信頼はとても重要です。そして、大臣がその説明責任を果たすという私は重責を担っておられると思います。当然、警察庁がこんなことを言うことは言語道断ですけれども、しかし、もしあったとしても、これがなれ合いだと見られてはいけません。これをきちんと解明していくためには、防衛省として、自衛隊として、国民に対する責任を担っていますので、是非そこは確認をいただきたいので、これ、委員長、提出をさせてください。

○委員長(渡邉美樹君) 後刻理事会で協議をいたします。

○大野元裕君 防衛省に対してはもう一つお願い、大臣にお願いをさせていただきますけれども、本件についてはとても重大な事案でございます。そして、専門性を持った自衛隊の方で今捜査を、捜査というか、済みません、調査をしているというふうに聞いておりますので、この結果については、大臣、是非、公開ができない、真に公開ができない部分を除いて、当委員会に報告書の提出を求めます。

○国務大臣(岩屋毅君) 今回の事故を受けまして、現在、中部方面総監部幕僚副長を長とする事故調査委員会を立ち上げておりまして、現在調査中でございます。その調査結果につきましては、委員会から御指示がございましたならば適切に御報告をさせていただきます。

○大野元裕君 委員長に、報告書の提出を求めることを求めると同時に、警察庁からのその確認についてもお願いをさせていただきます。

○委員長(渡邉美樹君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議することといたします。

○大野元裕君 もう一つの事案を扱わさせていただきます。

 皆様のお手元に資料として配付をさせていただきました。必ずしもこれ御存じでない方もおられるかもしれませんので。

 この事案というのは、十一月の四日です。福岡地本の採用活動に御協力をいただいた元力士の方が、広報に使用した自衛隊車両に同行者とともに乗り込んで、エンジンを掛けてこの自衛隊車両を発進させ、会場を一周したという事案、これが発生したというふうに聞いております。

 本件については、地本の本部長が口頭注意の処分を行うとともに、現場において採用活動を実施している隊員に対して、今後同様の事案が発生しないよう指導を徹底したとの説明を受けていますけれども、大臣、具体的に、指導したって、何を指導したのか教えてください。

○国務大臣(岩屋毅君) 今般の件につきましてもおわびを申し上げたいと思います。

 この事案は、福岡県田川市で行われたイベントにおいて、地方協力本部が採用活動を行っておりまして、元力士の方に自衛隊車両において広報用写真の撮影をお願いしたのでございますが、撮影には応じていただいたんですけれども、そのままエンジンを掛け、車両を発進させて会場を一周走行したということでございました。

 隊員は口頭注意をいたしましたが、やはり車両のキーを付けたままにしておくべきではなかった、それから、運転は自衛隊員以外はできないということもしっかり申し上げておくべきだった、注意を喚起しておくべきだったということで、今後このようなことがないようにということで指示をさせていただいたところでございます。

○大野元裕君 鍵は付けるな、運転は自衛隊員以外がしちゃいけない、こういう指導だったというふうに理解をいたしますけれども、本当にそれでいいんでしょうか。これ、もちろん国民の税金で買われたものであります。そういったものがもしかすると持ち去られたかもしれないということもあります。ただ、もう一点大事なことは、これ自衛隊という特殊な組織に所属をしているものだということです。

 そこで、これは防衛省のどなたでも結構ですけどお伺いしますが、九十五条の一項、九十五条の一項には車両は含まれますか。教えてください。

○政府参考人(岡真臣君) 委員御指摘の自衛隊法第九十五条でございますけれども、いわゆる武器等の防護に関する規定でございますが、その中で具体的な対象が列記されておりまして、車両ということも明記されているところでございます。

○大野元裕君 つまり、抑制的に武器の使用は行わなければいけないということは当然の話ではありますけれども、自衛隊が保有する装備品や車両について、これが奪われそうになるときには武器の使用権限すら最終的には与えられる、こういう問題です。

 これ、二枚目に、お配りしたもの付けましたけど、この二分の一トラックはその九十五条の一項で言うところの車両に当たりますか。

○政府参考人(岡真臣君) このトラックにつきましても、ここで言う車両に当たり得るということであろうと思っております。

 他方、九十五条の規定につきましては、自衛隊の武器等を職務上警護する自衛官に、人又は武器等を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合に、その事態に応じて合理的に必要と判断される限度で武器の使用を認めたものでございまして、今回の場合につきましては、その全般的な状況、その周囲の状況や発進自体も低速で行われていたというようなことも含めて、車両が略取されるようなことを疑うような状況ではなかったのではないかというふうに思っておりますけれども、他方、十分制止できるような対応をすべきであったということも考えているところでございまして、そういう意味で誠に遺憾な事態であったということで、今後同様の事態が発生しないよう指導を徹底してまいりたいと考えているところでございます。

○大野元裕君 何で聞かないことまでしゃべるんですか。私が聞いているのは、先ほど申し上げたとおり、これはそれに当たりますかというだけの話です。で、略取に当たるかどうかという判断について私は聞いていません。先ほども申し上げたとおり、これは、武器を使用するときには当然抑制的にしなければならない、あるいは警察比例の原則も掛かります。そういったことについては重々承知しています。承知していて、略取に当たるとは一言も言っていません、私。

 で、そうだとすれば、もし、あなたそう言ったでしょう、そう言ったとすれば、先ほど大臣が言ったのは、鍵を付けておくな、そしてもう一つは自衛官しか運転しちゃいけない。そのときに言うべきじゃないんですか、それを。違いますか、そこまで重く受け止めているのであれば。違いますか。余計なことしゃべっておいて、自衛官に対する注意にはそれに基づいた重い、つまり略取に当たるかどうかは別としても、それを奪われないような、そういう措置を入れるべきじゃないんですか、もしそこまで言うんだったら。私、略取まで言ってませんよ。でも、あなたそう言うんだったら、そこまで入れるべきじゃありませんか。もう一度答弁してください。

○政府参考人(岡真臣君) 私から申し上げたかったのは、今回の事例について、我々としてもこの車両という自衛隊の装備の管理としてきちんと注意を十分払うべきであったというふうに考えられるということで、そのための今後このような事案が発生することのないように指導を徹底してまいりたいと考えているということでございます。

○大野元裕君 全く違いますね。あなたがおっしゃったのは違うよ。略取に当たりませんという話を説明されたんです。その管理を徹底してくださいなんという話は私に答弁していません。それは大臣確かに答弁されました。でもその話してないよ。してないのにうそ言っちゃ駄目ですよ、この委員会で。委員会は国民に対して真摯に説明をすること、私、冒頭申し上げました。自衛隊は物を言えないんです。そのときには政治の立場で大臣がきちんと説明をする。その補佐をする皆さんは、真摯にこの国民に代表された国会において説明しなければ、こういった事案があっても誰も信用しなくなりますよ、自衛隊を。それはあなたたちの責任になりますよ、自衛隊じゃなくて。それでいいんですか。

 大臣、本当に、冒頭だから聞きますけど、それでいいんですか。真摯にきちんと説明をして、悪いことは悪い、いいことはいい、そして指導が足りないんだったらきちんと指導をする。それをきちんと徹底することによって、自衛官一言も言えないじゃないですか、これ。それはあなたたちが、そこにいる答弁に立っている三人の方が責任、一任、負うんじゃないんですか。今の答弁は駄目ですよ。

 大臣、きちんと答弁をさせるというふうに明言していただけませんか。

○国務大臣(岩屋毅君) 先生おっしゃったことは一々ごもっともだというふうに思います。私どもがしっかりと説明責任を果たさなければいけないというのは、まさにそのとおりだというふうに思います。

 今般の事案についても、今日明日に実施される各方面総監部の募集・援護担当者会議において、人事教育局及び陸上幕僚監部より本件について指導を徹底をさせたいというふうに思っておりまして、以後このような事案が発生することのないように指示を徹底してまいりたいと思います。

○大野元裕君 自衛官の方、その場におられた自衛官の方は、乗り去られたときに駄目ですというふうにおっしゃって、それで終わったんだそうです。

 私はそういう問題ではないと思います。もちろん、武器使えとかそんな話じゃないですよ。そういう話ではないけれども、それだけ重く受け止められている九十五条が適用される可能性があると岡さんはおっしゃいましたけれども、そうだとすれば、やはりそこで乗っていかれて、自衛隊のナンバー付いていますからね、それはとんでもない話になってしまいかねません。しかも、それがもしそこでその方が、まあその力士の方はそんな方ではないとは思いますけれども、しかし万が一そこで暴走でもしてとんでもないことになったら、自衛隊のまさに信頼は失墜しますよ。

 是非、そこは重く受け止めていただいて、先ほどの鍵の管理ではなく、自衛隊の保有する車両や装備品の重要性というものを改めて大臣から徹底をしていただきたい。もう一度御答弁をお願いします。

○国務大臣(岩屋毅君) しっかり徹底をさせてまいりたいと思います。