外交防衛員会:北方領土交渉を二島ぽっきりで終わらせるな | 大野もとひろオフィシャルブログ Powered by Ameba

外交防衛員会:北方領土交渉を二島ぽっきりで終わらせるな

11月27日に、外交防衛委員会で北方領土の現在の交渉について質問しました。

政府は56年日ソ共同宣言を基礎として平和交渉を加速させることについて、ロシアとの間で合意しました。56年宣言は、歯舞・色丹の二島返還と平和条約締結を定めていますが、それでは不法に占拠された我が国固有の領土たる北方領土の交渉ができないので、93年まで何度も交渉してやっと、4島の帰属を交渉の対象とする東京宣言にたどり着きました。
報道されている56年宣言を基礎とするだけでは、二島ぽっきりで終わってしまう可能性が高いと考えます。つまり二島先行、四島解決ではなく、二島ぽっきりです。そうなれば、我が国は戦後初めて、我が国領土を他国に譲り渡すことになります。売国という言葉は、国を売る代わりに何かを得なければなりませんが、共同経済活動という名の下に金までつけて領土も譲り渡すことは断じて受け入れられません。

そこで、93年以降の両国の合意について言及しない理由を尋ねると、交渉中なので何も言えないとの回答。それならば、我が国領土を売りわたさないことについての外務大臣個人としての心意気を聞いても答えず、でした。

さらに、かりに歯舞・色丹が渡されても、主権が行使できないとか、問題のある地域なので日米安保の対象外になると言うことを認めれば、米国に対し、中国との間で問題のある先覚も対象外にするという格好のいいわけを与えてしまうではないか、等の議論も行いましたが、本件については、全くのれんに腕押しでした。領土を他国に譲り渡すようなことはなんとしても阻止しなければならず、国会で本件について今後も取り上げてまいります。


なお、当日のやりとり全文は以下の通りです。

 今日は、お時間をいただきまして、両大臣と北方領土に関わる問題について議論をさせていただきたいと思っております。
 まず、河野大臣にお伺いいたします。
 報道によれば、シンガポールで開催された安倍総理とプーチン大統領とのテタテートの会談の結果、一九五六年の日ソ共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させることが合意されたということです。
 この日ソ共同宣言とは、平和条約締結後に歯舞、色丹が引き渡される、こういうものだと理解をしております。
 その一方で、一九九三年以降、これまでの北方領土の帰属、返還及び主権に関する主たる合意は、全て四島の帰属を問題として認識し、それを解決することに言及、若しくはそれを言及した合意を引用していました。
 今回、これまでの慣例が無視されて、こちらの資料を見ていただくとその後の主な合意書いてありますけれども、これまでの慣例が無視されて、九三年東京宣言、二〇〇一年イルクーツク声明、二〇〇三年日ロ行動計画等が平和条約の締結に向けた交渉の基礎とされていないのはなぜか、教えてください。
○国務大臣(河野太郎君) 一九五六年の日ソ共同宣言は、両国の立法府が承認し両国が批准した唯一の文書であり、現在も効力を有しております。このことも踏まえて、今回の首脳会談で、この宣言を基礎として平和条約交渉を加速させることで合意をいたしました。
○大野元裕君 私は、五六年の協定が基礎として書いてあることの理由は聞いておりません。
 ほかの合意等が引かれていないのはなぜですか、伺っております。
○国務大臣(河野太郎君) この共同宣言が両国の立法府が承認し両国が批准した唯一の文書であるので、これを基礎とするということでございます。
○大野元裕君 書いていないということの理由は申し上げていただけないようですけれども、大臣、五六年から九三年まで北方領土をめぐる日本の外交というものを振り返ってみると、いかに四島をそこに書かせるか、そして一括解決につなげるか、これが日本の外交の目標だったと私は理解しています。だからこそ伺っているんです。
 平成二十八年の外務省作成の資料、これ資料の二枚目に付けさせていただいておりますけれども、その資料によれば、これ外務省のものです、我が国は歯舞、色丹のみの引渡しで決着できるとするのであれば、五六年当時、平和条約が締結されていたと言っています。その後、これで締結しないでその後幾つもの宣言に四島書かせてきたのは、やはり私は、理由があったんだろう、そしてそこには外交当局の努力、苦労があったんだろうと思っています。だからこそ、それ以降の共同宣言や合意には四島を明記をし、あるいは四島を明記した一連の合意等を参照、引いてきたというのが事実だと思っています。
 安倍政権が仮に二島の引渡しのみで決着するとすれば、それは五六年時点からの外交努力を無にしてしまうのではないかと思います。だからこそ改めて聞いています。これら一連の合意をここに引用しなかった理由を改めてお述べください。
○国務大臣(河野太郎君) 両国が、両国の立法府が承認し両国が批准した唯一の文書が五六年の日ソ共同宣言でございますので、これを基礎として交渉を加速しようということで首脳同士が合意したわけでございます。
○大野元裕君 そっけない答弁ありがとうございます。
 そうだとすると、じゃ大臣の、私、意気込みを聞きたいと思います、言っていただけないのであれば。
 仮に、四島の帰属の問題に何ら担保も得られないままに二島が引き渡されたとしても、それは二島先行ではなく、二島ぽっきりの解決になります。つまり、五六年当時、あるいはソ連の当時の主張に交渉を引き戻しただけになってしまいます。二島を仮に先に、仮にですよ、合意したとします。そのときには平和条約が締結される。その残りの二島については、この後交渉するレバレッジすらなくなってしまいます。そうすると、仮に二島だけで解決にするという場合には、私は、戦後初めて安倍内閣は我が国の領土を他国に売り渡した、譲り渡した、そういう政権になってしまうと思います。しかも、国を売るというのは、通常何かもらうわけですが、共同経済活動というお金まで付けて渡すという大変な逆レガシーになってしまいます。
 そこで、大臣、伺いたいんですけれども、二島ぽっきりの解決になるような懸念がある場合には、大臣、職を賭してでも総理を止める覚悟はありますか、教えてください。
○国務大臣(河野太郎君) これから日ロの交渉を加速化させていこうということで交渉が始まりますので、その前に日本政府の考え方、方針というものを交渉の場以外で申し上げるのは避けたいと思っております。それは、こちらが何かを言えば向こう側の、向こう側も当然発言をすることになるわけでございまして、場外乱闘というのは我が国の交渉に決して得にはならないというふうに考えているからでございますので、我が国の考え方、方針は交渉の場の中できちんと先方に伝えてまいりたいと思っております。
○大野元裕君 大臣、そこは違うと思います。先ほど申し上げたとおり、これは、当時、二島のみの引渡しで決着できたのであれば、五六年当時、それで合意ができて平和条約が締結されていたはずだ、だからそれ以上の領土問題があるんだというのは、これは外務省が言っていた主張なんです。
 今の大臣のお話では、この外務省の主張すら言えていない、そこにすら達していない。なぜ今まで言ったことが、それは同じことが言えないのか。これは別に交渉の前に何とかではなくて、何年にもわたって、長年にわたって日本政府が常に言い続けてきたことです。それを変えたということですね、そうすると。教えてください。
○国務大臣(河野太郎君) 度々繰り返して申し訳ございませんが、交渉を始める前に日本側の方針、考え方を公の場で申し上げるというのは、これは相手を利することになりますし、こちら側がこちら側の立場を申し上げれば、当然向こう側には向こう側の立場があるわけでございます。その発言が更にメディアで取り上げられて様々な発言を呼ぶことになって、これは交渉前に決して日本にとって得ではないというふうに考えておりますので、対外的に現時点の政府の方針、考え方を申し上げるのは差し控えております。
○大野元裕君 大臣、交渉を有利に進めるために我が方の手のうちを明らかにできない、これはよくある話で、私はそこの限りにおいては同意をいたします。しかしながら、その一方で、これが二島ぽっきりであれば、そんなものは、我々は少なくとも国会として今の政府に対して信任状を白紙委任することはできません。だからこそ伺っているんです。
 交渉の中身が言えないのであれば、日本政府の立場が今言えないというのであれば、大臣の覚悟を示してください。仮に二島ぽっきりになるとしたらば、総理がもしそういったことを合意するおそれがあるならば、大臣は職を賭してそれをお止めになりますか、それを教えてください。
○国務大臣(河野太郎君) 繰り返しで恐縮でございますが、交渉以外の場で政府の考え方、方針というのを申し上げるのは、これは我が国にとって決して得になることではございませんので、今、対外的にこの日ロの交渉事について政府側の考え方を申し上げるのは差し控えさせていただいております。(発言する者あり)
○委員長(渡邉美樹君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(渡邉美樹君) 速記を起こしてください。
○国務大臣(河野太郎君) 外交の責任者として、この日ロの交渉に関して、日本にとってできるだけ良い環境で交渉を行いたいと思っておりますので、それを実現するために心を砕いているところでございます。そのために、場外で日本の考え方ですとか方針を申し上げるのは差し控えているところでございますので、御理解をいただきたいと思います。
○大野元裕君 大臣、国会は場外ですかね。我々はここで、国益を懸けて交渉をされておられる大臣の、そこについては敬意を表します、しかしながら、その結果を我々は、当然、大平三原則に従えばここで承認をする必要があり、それは主権者たる国民を代表してのものであります。場外では決してありません。言えないことがあるのは、それは分かります。ただし、そこに対して大臣の御覚悟をしっかりと示していただくことは、国民に対して政府の立場を示すという最低限の責任ではないでしょうか。もう一度お願いいたします。
○国務大臣(河野太郎君) 交渉の場のほかという意味で場外と申し上げましたが、そこは申し訳ございません。
 国会には、交渉がまとまり条約ができた段階で御説明をし、御承認のための審議をしていただくことになると思います。
 この条約の審議に当たりましては、日本政府の外交の責任者として、最も日本にとっていい条件でこの平和条約を締結したいと思っておりまして、そのためにこの交渉が日本にとっていい環境でできるように、まず環境をしっかりとつくってまいりたい、そのために心を砕いていきたいと思います。
○大野元裕君 議論かみ合わないようなので、質問を変えさせていただきます。
 歯舞、色丹に米軍の軍事施設を設置しないことを条件とした交渉が進んでいるといった報道が複数あります。そこで、大臣に一般論としてまず伺いますけれども、我が国の同意と米軍の意思以外で、第三国に、我が国が主権を行使する領土に対して米軍の軍事施設を設置することの可否に介入をする、拒否をする権利はありますか、教えてください。
○国務大臣(河野太郎君) 日米安保条約あるいは地位協定を見れば、第三国にそのような権利、権限はないというふうに承知をしております。
○大野元裕君 そうすると、これを歯舞、色丹に当てはめると、ロシアはそういったことを言う権利は私はないと思います。
 大臣、一九六〇年にフルシチョフ・ソ連の首相が日本側に示した書簡、覚書というのを知っていらっしゃいますでしょうか。それは、日本側が拒否したもので、四島の帰属に結論を出さないまま、つまり一九五六年の二島前提です、その前提で日米安保の適用を拒否した、そこを日本側は拒否をしました。よもや、当時、一九六〇年時代に今の日本とロシアの交渉を引き戻す、そのような屈辱的なことをなさるということはないですね、教えてください。
○国務大臣(河野太郎君) 先ほどから繰り返し申し上げておりますように、交渉の場以外で日本の考え方を申し上げるのは必ずしも適切ではないというふうに考えておりますので、交渉の場以外のところで日本政府の方針、考え方というのは申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
○大野元裕君 日米安保の対象を、仮にですよ、そこが問題になるから、係争地域、係争地域というのは合意があったらなくなるんでしょうけれども、主権の問題等も含めて、そこに問題があるから適用されないような議論を仮に受け入れると、我が国にとっては死活的に重要な実は問題が出てきます。私の理解では、そういった問題があるから日米安保が適用されない地域があるとすれば、中国と対立しかねない尖閣諸島、これは安保条約の適用から除外するというふうに言われても、我々はノーと言えないんじゃないでしょうか。
 そういったアメリカとの関係に鑑みても、私は、日本が特定の地域を安保条約の対象の範囲から他国に言われて外すというのは決して好ましい話ではないと思いますけれども、大臣の所見をお伺いします。
○国務大臣(河野太郎君) 繰り返しで恐縮でございますが、交渉の前に政府の考え方、方針を申し上げるのは差し控えたいと思います。
○大野元裕君 いやいやいや、私が申し上げているのは、問題がある地域があるとして、そこが日米安保条約の対象じゃないということを認めたら尖閣諸島にまで問題が及ぶんじゃないんですか、これに対する所見を聞いています。
○国務大臣(河野太郎君) 大野委員の御質問は、今度の日ロの交渉に関わる文脈での御質問でございますので、お答えを差し控えさせていただいております。
○大野元裕君 なかなか話がこれ進まないんです。
 ちょっとこれ、きちんとした対応を理事会でも求めたいと思いますので、まずは委員長にお願いを申し上げます。
○委員長(渡邉美樹君) 後刻理事会において協議いたします。
○大野元裕君 大臣、実は私は、岸田大臣の頃からですけれども、何度にもわたって北方領土に展開されたロシア軍の撤退を求めるべきだと主張してまいりました。で、予算委員会でも当委員会でも何度も聞いてまいりました。
 二〇一五年までのロシアは、国後と択捉に三百九十二の軍事施設と関連施設を建設をしてきました。そして、一六年には二種類の超音速ミサイル、地対艦のですね、バル、そしてバスチオンを配備をしました。そして、今年にはヤースヌイ空港の軍民併用を決定、さらには択捉島に海軍基地を新設、まだ実施はされていないと了解していますけれども、師団規模の展開増加、そういった軍事増強を進めています。
 仮にですけれども、歯舞、色丹への自衛隊や米軍が展開しないことを二島引渡しの条件として付していることは言語道断ですが、それはそれとしておいておいて、大臣、これ今までの、何度も求めてきた話ですが、我が方としては、我が国固有の領土に対するロシア軍の施設、これは抗議ではありません、抗議は何度も実はやっていらっしゃるのは知っています。しかしながら、例えば一九七九年に我が方は同じような状況で施設の撤去、軍の撤退を求めています。そこから大きく、今、安倍政権は立場を後退させているんですけれども、この一連の動きに対して、我が国固有の領土ですから、ロシア軍の撤退を求めるべきではないでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) この平和条約の交渉は北方四島の問題を含めた交渉でございますので、政府の考え方あるいは基本方針を交渉の場以外で申し上げるのは差し控えたいと思います。
○大野元裕君 大臣、違います。これ、何度も何度もこれ委員会でやって、答弁いただいています。
 撤退を求めるべきじゃないかというのは、これは交渉があろうがなかろうが撤退を求めるべきなのは当然だし、一九七九年には先ほど申し上げたように言っていますし、ちなみに、四島の話、二島の話はおいておいても、これは撤退を求めるべき話ではないんでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 交渉に影響の出ることについて、政府の考え方、基本方針を交渉の場以外で申し上げるのは差し控えたいと思います。
○大野元裕君 これは、なぜならば、これ、北海道にお住まいになっている方、それからその元島民もそうだし、我々日本全体にとっても大きな影響があるからです。
 防衛大臣に伺いますけれども、例えば、北方領土にそういった展開で、特に地対艦ミサイル、マッハ二・五とかって、そういうミサイルですね、そういった話やスホーイ35の配備を考えると、仮にこれ、対応しようとすると大変なことになりませんか。
 つまり、例えばですけれども、AAWモードのCEC艦を例えば置くとかですね、今までなかったものを我々は持っていかないと対応できないでしょうし、スホーイ35のようなステルスにしても、今度予算の方で出てきているE2Dにしても、二機上げないと対応できないですよね。そういったその状況を見ると、仮に我々が日本の安全をきちんとするとすれば、あの北海道の地域、北の地域が極めて緊張感を強めるような場所にならざるを得ないと思うんです。そうであれば、交渉があろうがなかろうが、あの地域に緊張をもたらさないためには外交の場で私は対応するべきだと思いますけれども、防衛大臣、これからその安全保障を担われる立場として、あの地域におけるステルス戦闘機、最新鋭のステルス戦闘機やマッハ規模の地対艦ミサイルの配備に対してどう対応されますか。
○国務大臣(岩屋毅君) 今、ロシアの北方領土における、あるいは極東における軍備拡張の状況について大野先生から詳しくお話をしていただきましたが、この北方領土及び千島列島におけるそのロシアの軍備強化、また活動の活発化の傾向は、私どもとしてはしっかりウオッチをさせていただいております。
 特に、御指摘のあった地対艦ミサイルの配備、あるいは最新鋭戦闘機の配備などについてもしっかり見ていかなければいけないというふうに思っておりまして、いかなる事態においても、我が国の領域と国民の命を守るというのは防衛当局の責務でございますから、そういうことは今後ともしっかりとやっていきたいというふうに思っております。
○大野元裕君 真剣に政府として考えていただきたいと思います。
 先ほど申し上げたとおり、我々は、安倍政権が戦後初めて我が国の領土を譲り渡すような、そんな政権にするということの白紙委任状を与えてはいないと思います。そして、先ほどのソ連の軍事措置の撤回は、実は一九八六年に国会の決議として行われています。軍事措置の撤回を求める決議が行われています。国会の決議は決して軽いものではないはずです。それは与野党関係ないと思います。
 是非、大臣におかれては、当時のソ連の軍事措置の撤回に倣い、二島交渉、四島交渉か分かりませんけれども、それがあろうがなかろうが、ロシアの軍備増強措置、部隊の撤去、撤回を求めていただくとともに、二島ぽっきりの交渉は絶対にあり得ないということを最後に申し上げ、そして、もう一度必ずこれ質問させていただきますので、是非今度は真っ正面からお答えいただくことをお願いをして、質問にさせていただきます。
 ありがとうございました。