中東訪問の悲惨な感想をご報告します。 | 大野もとひろオフィシャルブログ Powered by Ameba

中東訪問の悲惨な感想をご報告します。

先般まで海外出張に行っておりましたが、中東における混乱を改めて肌身に感じて帰ってきました。その感想をいくつか。

紛争の出口がない中、人道状況があまりに悲惨になっていることです。シリア難民は900万人と、人口の4割を超え、その多くが長期間に亘り悲惨な生活を強いられています。難民キャンプの中の状況はご想像の通りですが、キャンプには入れずにいる、たとえばヨルダン北部に滞在している難民たちは、ヨルダン人との間で軋轢を呼んでいると聞きました。

今回、北イラクでシリア難民のキャンプを訪問しましたが、それはまだましな方で、モースル等から逃れてきたイラクの国内避難民のキャンプの状況は緊迫し、且つ荒れていました。
私がイラクの国内避難民のキャンプを訪れた日は、米軍がイラクを空爆するきっかけとなったシンジャール陥落の日で、その日だけでも多くの避難民がキャンプに押しかけ、極めて緊迫していました(小生がエルビールを後にした翌々日に米軍が滞在していた地域から20kmの地点を空爆したわけで、直接の難は逃れましたが)。難民の中にISIS関係者も居る可能性があるのみならず、たどり着いたばかりの難民は興奮し、敵対的でもあるからでしょう。国連のスタッフはその緊張感のためにキャンプにはおらず、テントと緊急食糧だけでまさに「放置」されたずたずたの難民がぼーっとしているだけでした。声をかけようにも、クルド側の兵士が、「危ないから」と制止して、難民に銃を向ける様子は、あまりに悲しいものでした。

直接訪れることはかないませんでしたが、ガザ地区の状況は極めて深刻で、停戦こそかろうじて続いているものの、飢えて死ぬか、空爆されて死ぬか、将来を悲観して嘆くか、あるいはイスラエルと戦うか、という本当にぎりぎりのところまで追い込まれているようです。

さらに、写真はシリアにあるヤルムーク・パレスチナ人キャンプの様子で、数週間前に国連のスタッフが入り、撮影したものをヨルダンでUNRWAの清田さんからいただいたものです。小生もこのキャンプを、平和なときに何回か訪れましたが、当時はキャンプとは言え、落ち着いたものでした。しかしながら、写真はあまりにショッキングで、シリアの内戦の中で忘れ去られたパレスチナ難民が置かれている地獄が目に浮かぶようです。

根本的な解決は、いずれの問題も遠いように思われてなりませんが、改めて、国際社会による支援を働きかけていかなければならないと強く感じました。

あまりに暗いご報告で恐縮ですが、これが中東の現実です。シリアのパレスチナ・キャンプ