公務員制度改革法案での質疑、および政府の不誠実な対応について | 大野もとひろオフィシャルブログ Powered by Ameba

公務員制度改革法案での質疑、および政府の不誠実な対応について

 大変遅くなりましたが、4月3日の内閣委員での会公務員制度改革に関する法案審議の際に稲田担当大臣に対して行った質疑について、報告をいたします(詳細については、http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24008&SAVED_RID=2&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=10&DOC_ID=3437&DPAGE=1&DTOTAL=45&DPOS=2&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=15315を参照ください)。この時の質疑は、ほぼ稲田大臣と1体1の議論となったのですが、改革を担当すべき稲田大臣の姿勢の甘さをしっかりと付けたのではないかと思います。このことは、私の直後に質問に立たれたみんなの党の江口議員が質問の冒頭で、「今、大野委員の的確で鋭い御質問でお疲れになったと思います。どうぞ深呼吸して、心休めていただきたいと思います」と評価し、与野党の議員の笑いを誘ったことに現れていたようにも思われます。

 公務員制度改革は、橋本行革以来、あらゆる政権が程度の差こそあれ取り組んできた問題でした。今回の法案は、平成20年の国家公務員制度改革基本法を実現に移すための改正法案であり、改革大臣の下で横ぐしを指して公務員制度の改革を実現すると共に、公務員の質の向上と国民の信頼を実現するための一歩とするべきものです。
 しかしながら、自公民の三党合意に基づいて実現したはずのこの改正案は踏み込みが甘いものです。それ以上に、自公政権のこれまでの特徴である「官僚言いなり」で改革法案までもが骨抜きとなったことが明らかになりました。さらに、利権と陳情という自民党政治を円滑に進めるための項目も散見されたのです。これらの内の一部を、短い質疑でしたが、明らかにさせていただきました。

1.国会の意思をないがしろにし、政治主導を緩める安倍政権の政治姿勢
 今回の法案の根拠となった基本法は、基本法であるにもかかわらず、いくつかの改革のための諸点について具体的に踏み込んでいます。それはたとえば、各省における国家戦略スタッフ及び政務スタッフの設置です。また、基本法採択の際には、国会で付帯決議が付され、この政務スタッフについては、「相当数の人材を登用し得るように制度設計する」ことが求められています。ところが、政治主導色を弱めるためか、この法案では「相当数」ではなく、各省に最大1名の補佐官を置くことができるという規定に矮小化されています。
 そこでこの点について稲田大臣に答弁を求めると共に、国民に選出された国権の最高機関たる院の決議をどう考えているのかを以下の通り質しました。稲田大臣は、相当数の人材を登用するようになっていないことを認めざるを得ませんでした。この法案には、与野党を超えて国会で行われた決議すら無視する姿勢、政治主導より官僚主導を認める安倍政権らしさが出ており、この点を追及させていただきました。

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○大野元裕君 さて、今回の法案見ておりますと、いわゆる官邸の影響力、これが強まる、これは法律の趣旨でもありますから、それそのものを単独で取り上げて駄目だとは言いませんが、しかし、国民の立場に立った公務員改革、議院内閣制の下で適切に公務員が役割を果たす公務員改革という基本法の趣旨というもう一方の柱の方は薄くなっているように私には感じられます。
 それは、例えば国家戦略スタッフ及び政務のスタッフに関する規定にも表れているのではないでしょうか。今回、基本法で定められました国家戦略スタッフや政務スタッフは、総理の補佐官のいわゆる責務、職責等の変更ですとか、あるいは各省における補佐官がその都度、必要な場合に一名を置くと、こういった規定に表れていると思いますけれども、しかし、大臣御存じでしょうか。平成二十年の六月の五日、国家公務員制度の改革基本法案に対する附帯決議が参議院で採択をされ、「政治主導を強化するという本法案の趣旨にかんがみ、国家戦略スタッフ及び政務スタッフについては相当数の人材を登用し得るように制度設計する」云々と書いてあるんです。
 総理の補佐官について人数は増えないという理解で私、よろしいんですよね。さらに、各省で一名、最大、必要なときにという、これは形になっておりますが、これは要するに本院における附帯決議の趣旨を反映せず、国会を軽視している。これらの国家戦略スタッフ及び政務スタッフが本院の決議が求めるように相当数を配置する、措置するのではなくて、最低限の登用にとどまってしまった理由というのは何でしょうか。

○国務大臣(稲田朋美君) 今定数のことについての御指摘がありました。これは、総理大臣につきましては現に総理大臣補佐官の仕組みが活用されていること、また行政の肥大化防止や、いわゆる政治任用の濫用をめぐり様々な議論がこの間あったということなどを踏まえて定めたものでございます。
 今回の法案では、現行の総理補佐官の所掌事務を見直して、その機能を拡大し、また各府省には大臣補佐官を特に必要がある場合に置くことができることとし、総理大臣及び大臣の指導性の強化を図ることといたしておりまして、必ずしも基本法の理念に沿っていないということは当たらないのではないかと思います。

○大野元裕君 基本法の理念に沿って、様々な議論があってこのような決定にしたが、本院の附帯決議については反映をしていない、そういうことですね。

○国務大臣(稲田朋美君) 平成二十年の附帯決議について先ほど言及がありました。その後、また政権交代があり、またその中で行政の肥大化とか、あと政治任用の濫用についても国会の質疑等でも様々指摘がされたこともございます。そして、今回はそういったことなども踏まえて、総理大臣補佐官の所掌事務を見直すことと、大臣補佐官を特に必要がある場合に置くことができることとしたわけであります。
 なお、総理大臣補佐官、大臣補佐官の体制において、総理補佐官、大臣補佐官を中核として、その下に一般職員に命じて補佐官をサポートさせたり、また予算、定員の範囲で民間人等の必要なサポートのための人材を任用することなど、総理又は各大臣を組織的に支えることは可能になるのではないかと考えております。

○大野元裕君 そのようなことは聞いておりません。私が聞いているのは、先ほど国会における質疑もあったとおっしゃいましたが、それぞれの議員、委員の質疑は当然それぞれの委員や議員の責任でなされるものであって、附帯決議は、先ほども申し上げたとおり、本院におきましてしっかりと議論を尽くした後に、決議として、院の意思として示させていただいたものでございます。国会は国権の最高機関であり、国民から選ばれた議員に構成された、それが採択をした決議です。
 相当数の人材の登用については無視をされたということですか。どこに反映をされているんですか。教えてください。

○国務大臣(稲田朋美君) 繰り返しになりますけれども、その後の政権交代、そしてその後の議論を踏まえまして、今回のような仕組みとさせていただいたわけであります。

○大野元裕君 そんな解釈はないと思います。この後、別な議決があればいいですよ。しかしながら、その後、政権交代があろうがなかろうが、本院の意思は本院の意思であります。そんなことは関係ない。
 いろんな質疑があったこと、それはいろんな質疑あるでしょう。Aと言う人もいればBと言う人もいる、それはそのとおりだと思います。しかし、それを、もちろんそんたくされて必要なものを取り込むことは、当然そこについては否定するものではありません。
 私が聞いているのは、この決議の相当数の人材の登用はこの法案のどこに入っているんですかと聞いているんです。

○国務大臣(稲田朋美君) 今申し上げましたように、その定員については、総理補佐官の定員の中で、また大臣補佐官については特に必要がある場合ということで、今委員が御指摘になったこととの対比では相当数をこの中に入れているということではありませんけれども、それは平成二十年の附帯決議から今までの状況の変化を鑑みて、そのようにしたわけであります。
 ただ、今委員が御指摘のような議論は衆議院の中でもございました。そして、衆議院における附帯決議において、「内閣総理大臣補佐官及び大臣補佐官について、その運用状況を踏まえ、増員の要否及び内閣総理大臣や大臣を支えるスタッフの拡充について検討すること。」という附帯決議になったわけでございます。

○大野元裕君 議論をしているとか、相当数の人材を登用するのがいいか悪いかということを言っているんじゃないんです。この決議は決議です。この決議はどこに反映をされたかを、政府提出の法案の中にどこから読めるのかを聞いているだけです。

○国務大臣(稲田朋美君) どこにということでおっしゃるのであれば、内閣法第二十二条第二項、国家行政組織法第十七条の二第一項、それは今私が申し上げたところを条文にしたわけですけれども、どこですかと言われれば、今の条文ということになろうかと思います。

○大野元裕君 国家公務員法の改正する法律案にはないわけですね、今、内閣法とおっしゃいましたけれども。この法律には反映をされていないということでよろしいんでしょうか。

○国務大臣(稲田朋美君) 今回の改正の法案の中の内閣法の所掌事務の見直しの改正部分、また、大臣補佐官を置くことについては、国家行政組織法第十七条の二第一項を規定をしているということでございます。

○大野元裕君 先ほど大臣は、相当数の人材を登用するとはなっていないとおっしゃっていました。法律の中にも反映されていない。ということであれば、本院の意思を無視したということになります。これ、極めて私は不適切だと言わざるを得ません。
 これ、入らなかった理由は何なんですか。本院の決議です。国会の意思は無視してはならないと思います。
 大臣、そこについてはいかがですか。

○国務大臣(稲田朋美君) 御指摘のとおり、相当数の人員を今回の改正法案で入れていないということについては、御指摘のとおりだというふうに思います。そして、その理由については、先ほど来申し上げているとおりでございます。
 ただ、その中で、大臣補佐官、総理大臣補佐官の下で、またスタッフを任用することや一般職員に命じてサポートさせることもできますので、基本法の理念というか精神自体は実現することができるのではないかというふうに思っております。

○大野元裕君 入っていないんだったら、もう一度私は次の改正考えてほしいと思っています。なぜならば、補佐官の機能を強化することをおっしゃっておられました。そうではない。ここに書いてあるのは、もう一度申し上げます。「国家戦略スタッフ及び政務スタッフについては」、その下で誰が支えるじゃないですよ、「ついては相当数の人材を登用し得るように制度設計する」、明確に書いてあります。
 国会の議決は重いということを改めて繰り返させていただき、大臣からこの制度の構築について可及的速やかに本院の意思を反映するよう御答弁を賜りたいと思います。

○国務大臣(稲田朋美君) 補佐官という名称を使っておりますが、これは基本法におけるスタッフ、国家戦略スタッフ、政務スタッフに該当するものとして、総理大臣補佐官、そして大臣補佐官という名称を今回使ったわけでございます。そして、その理由については今まで述べたとおりであり、衆議院におきまして附帯決議の中で今議員御指摘のような点もございますので、これを踏まえて対応していきたいと思っております。
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2.公務員の職業倫理の確立についての後退
 公務員の職業倫理の確立、中でも公務員と政治家の接触に関する事項についても、基本法では記録を残すことが求められているのに、ここでは明文規定が削除されています。地方議会の議員と地方の役所の接触などの場合には、このような規定が設けられることで、政治家による、いわゆる「口利き」や圧力行使を行いにくくし、公正に職務を遂行できるよう、公務員を守り、国民のまっとうな利益を保護する措置が取られているにもかかわらず、本法には入れ込まれませんでした。まさに、陳情と利権を本旨とする自民党政治を十全に発揮するためのあからさまな後退でした。
 この点を突かれて法で規制しろと求められると稲田大臣は、公文書管理法に従い適切に実施している旨答弁しましたが、そのような規定がどこにあるのかと正されると、「その精神に従い」、とふざけた答弁を行いました。公務員倫理の粛清に関する精神が公文書管理法にあるとする説は初めて聞きましたが、法の精神や申し合わせに、このようなともすれば自らに甘くなるような問題をゆだねようとするのは、政治家としての見識があまりにないか、あるいは公務員を利権のために利用するためにあえて「穴」を残しておいたかの、いずれかにしか思えません。このひどいやり取りは、次の通りです。

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○大野元裕君 基本法が定めていました公務員の職業倫理の確立について、本法に十分反映されているとお考えでしょうか。

○国務大臣(稲田朋美君) 改革基本法第二条五項に定めております基本理念において「国民全体の奉仕者としての職業倫理を確立するとともに、能力及び実績に基づく適正な評価を行うこと。」とされているところであり、具体的な事項として、「幹部職員等に求められる役割及び職業倫理を明確に示すとともに、これらを人事評価の基準とするための措置を講ずること。」などが掲げられております。
 お尋ねの点につきましては、基本法を踏まえ、職制上の段階の標準的な官職の職務を遂行する上で発揮することが求められる能力として標準職務遂行能力を平成二十一年に内閣総理大臣決定し、その中に倫理に係る項目を定めるとともに、同年、能力・実績主義の新たな人事評価制度の整備、実施を行っております。したがいまして、既に措置がされているというふうに考えております。

○大野元裕君 国会が定めたこの基本法、プログラム法に基づいた具現化されなければ、それは国会の意思を無視するということにもつながりかねないと懸念をしています。
 例えば、その中では政官の関係、特に国会議員と公務員が接触をしたときの記録についての求めがなされています。今回の法案におきましてはこれについての明文規定はないようですけれども、今後、大臣は本件についてどのような措置をとられるおつもりでしょうか。

○国務大臣(稲田朋美君) 国家公務員制度改革基本法に規定されております職員が国会議員と接触した場合における当該接触に関する記録の作成、保存につきましては、平成二十四年十二月二十六日に閣僚懇談会で申し合わされた政・官の在り方等によって措置をされており、大臣等の指揮監督の下、適切に実施をされているものと認識をいたしております。

○大野元裕君 たとえば、平成十四年七月の閣僚懇におきまして、内閣が取り組むべき課題が取り上げられた際、当時の渡辺担当大臣が、政策決定における政治主導を損なう、官僚主導とも言われる状況が生み出されており、これをしっかりと規律をしていきたいというふうにおっしゃっているんです。つまり、単なる閣僚間の申合せで大臣が申し合わせれば終わるようなものではなくて、政治主導がそこで損なわれてしまっているということを大臣御自身が当時明言をされています。
 私は、そのような形ではなくて、規律していきたいと言うからには、当時の自民党政権の閣僚すら指摘しているのですから、本来は法律がいいと思いますけれども、政令なりでしっかりと定めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(稲田朋美君) 平成二十四年の十二月二十六日の政・官の在り方について、かなり詳細に書かれております。また、この具体的な対応は各府省によっても違うかと思いますけれども、大臣の判断の下で政官の接触の規律の在り方、また報告についてはなされるべきことではないかなというふうに思っております。

○大野元裕君 各省でそれぞれ対応が違うのかと思いますがとおっしゃいましたが、各省で違ってしまってよろしい問題なんでしょうか。どこどこの省は大変甘いから何とかできるけれども、どこどこの省はまずいと、こういう話では私はないんだと思いますよ。まさにそれが我々が十何年間も議論をしてきた公務員改革の柱の一つだと思いますので、そのような閣僚に任せるという態度では、担当大臣として不安です。

○国務大臣(稲田朋美君) 私が各府省の大臣の判断と申しましたのは、各府省のそれぞれの役所のやり方に従うということではなくて、やはりこれは大臣のまさしく政治主導を発揮する場面でありますし、先ほど委員が御指摘になった政策過程をきちんとしておくべきだということは公文書管理法の中でもきちんと定められていることでありますので、私は、こういった基本的な重要性の下に、政官接触の在り方というものも大臣の政治主導の下でなされるべきであり、その基本的なルールについては平成二十四年の十二月二十六日の閣僚懇談会の申合せにあるとおりでございます。

○大野元裕君 公文書管理法にそのような定めがあるんでしょうか。今、大臣、公文書管理法の定めに従いと、それは単なる間違いですか。

○国務大臣(稲田朋美君) 公文書管理法の精神ですね、その政策過程の、役所の中の会議であったり、そしてそういう政策が作成されていく過程をきちんと残しておくべきであるという公文書管理法の精神も踏まえながらという趣旨で言ったわけでございます。

○大野元裕君 公文書管理法に政官の接触に関する規定があれば教えてください。

○国務大臣(稲田朋美君) 今回、閣議の議事録の公開で問題になりました四条では、政策の立案過程が分かるような文書を残しておくようにということが定められていると思います。

○大野元裕君 私はちょっと違うと思いますよ。各大臣の御判断は公文書管理法に基づいて、じゃ、それぞれの省で記録が、どこどこの政治家と接触をしてこういうような活動をしたということが残されるという、そういう理解で私はいたしますけれども、それでいいんですね。

○国務大臣(稲田朋美君) 政官接触のことがここの公文書管理法に明記されているということを申し上げたのではなくて、その精神からして、各省大臣が政治主導を発揮をして政官接触のきちんとした報告をさせるべきであるということを申し上げたわけです。

○大野元裕君 政官の接触あるいは癒着の防止、こういったものが公文書法の目的にあったとは私は理解をしておりません。そして、その上で、もしもそれがそのそれぞれの法律の精神にあるということであれば、これ例えば公務員制度改革基本法にも、これ精神としては当然あるわけですし、自衛隊法にだってあります。そういったことがそのままでいいということであれば、こんな法律作らなくてもいいんじゃないですか。
 私は、やはり大臣が、この法律に盛り込まれていないのであれば何らかの措置をするとか、あるいは各省で大臣が異なるような見解をもたらさないように閣議なり統一見解を取りまとめるなり、それをおやりになった方がいいと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(稲田朋美君) 政官接触の在り方については、平成二十四年十二月二十六日の閣僚懇談会の申合せでかなりルールをきちんと決めております。その上で、各省大臣がきちんと指示をするということが必要なのではないかということを申し上げたかったわけです。
 そして、公文書管理法のことを出しましたのは、公文書管理法の中でもやはりその政策決定の過程をきちんと残しておくべきだということが定められている、その精神を踏まえてということを申し上げたわけであります。

○大野元裕君 官と政の接触は必ずしも政策決定過程だけでは私はないと思います。もう一歩踏み込んでいただく必要があるということを指摘をさせていただいて、時間もあるので次の質問に移らせていただきたいと思います
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3.数値目標と総理の指示権限についての後退
 基本法においては、公募の幹部職員の数を定めることまで踏み込んでいます。また、麻生政権時代の自民党の法案、民主党政権時代の法案では、いずれも特定の幹部公務員ポストについて、総理が任命権者に対して公募を指示する権限が認められていたにもかかわらず、今回の法案は大きく後退しています。

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○大野元裕君 本改正案では、基本法が求めた公募の幹部職員の数等を定めることにまで踏み込まなかった理由は何か。

○国務大臣(稲田朋美君) 公募については今回の法案で、採用昇任等基本方針の閣議決定に職員の公募に関する指針を盛り込むとしたものでありますが、これは、法律上明確に公募に関する根拠規定を置く一方で詳細までは規定をしなかったものであり、基本法に則したものであると考えております。

○大野元裕君 数値的な目標なりを示していかないとなかなか変わらないものではないかと思っています。麻生内閣のときもそうでした、あるいは民主党政権のときもそうでしたけれども、総理が特定の幹部公務員ポストについて任命権者に対して公募を指示する権限が実質上認められていたものだと理解をしています。しかし、法案は、これまでよりも後退をしていると懸念をしています。この制度が盛り込まれなかった理由というのは何でしょうか。

○国務大臣(稲田朋美君) 数値目標を置かなかったことは、数値目標を置くことでかえって、その目標を達成するために無理に公募をするということではかえって公募の趣旨に反するということからでございます。しかしながら、公募という制度自体は、やはり場合によって、ポストによって非常に有効な制度だと思っております。そこで、法律上明確に根拠規定を置く一方で、詳細については規定をせずに、段階的な検証と実施を行いつつ取り組むべきものとしたわけでございます。

○大野元裕君 今回の法案では、総理が指示する実質的な権限が失われているということは、いわゆる横串を刺す、縦割り行政を排し横串を刺すというこの法案の目的から鑑みれば、この項目が落ちたということは私は残念で、なぜ入らなかったのかをお伺いしているんです。

○国務大臣(稲田朋美君) その点については、任命権者に公募を実質的に指示する権限まで入れなかったということは、近年の地方公共団体等の実態に係る議論なども踏まえて、段階的に検証をしつつ、その点についても考えていこうという趣旨で、法案の中には盛り込まなかったということでございます。

○大野元裕君 地方公共団体の上には、それを指示する総理大臣はおりません。総理が全閣僚に徹底をするということが必要だと思いますし、そこは明らかな後退ではないかというふうに考えます。
 当然、指針を定めるだけでは人材の機動的な登用にはつながりません。数値目標なり、あるいは制度的に例えば総理が何らかのことを指示するなり、いろんなやり方はあると思いますけれども、公募を促進することと制度を決めるのとは意味が私は異なると思います。
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 これらの議論のほかにも、人材交流を推進するとしながらも、その根拠となる予算がこれまでとほとんど変わらないレベルの数百万円で、且つ大きな枠の中で見えなくなるようにされ、国民向けの改革のPRだけはうまいのに、中身がないことを指摘させていただく点、適格性に欠けても幹部職員枠にとどまるお手盛り人事の件、インテリジェンス・コミュニティを構成する公務員に対して特別の配慮を行うべき点等を質し、質疑の中で多くの問題点を明らかにさせていただきました。
 2050年の政府の債務はGDP比600%になり、これが最大の日本経済の足を引っ張る要因になるとの経済同友会の指摘もあります。世界的な潮流になると思いますが、我が国でも行政改革と財政再建は喫緊且つ極めて深刻な課題です。本法の不十分さに鑑みれば、さらなる改正・改善を必要としています。その前提として、現政権の目先志向・利権思考を改めさせるよう、しっかりと国会議員としての責任を果たしてまいります。