ワシントン訪問に際してのメモ | 大野もとひろオフィシャルブログ Powered by Ameba

ワシントン訪問に際してのメモ

1011-13日にかけて、石井一予算委員長、佐藤正久外交安全保障委員会理事(12日より参加)と共にワシントンを訪問してきました。会談の性格上、明らかにできる部分は決して多くはありませんが、現時点で公開できる部分の要旨は次の通りです。なお、付言しておきますが今回の訪問はあくまで個人的なイニシアティヴで、政府の動きとは関係がありません。



1.議員団の目的および認識

沖縄の基地問題に関し、三人の有力な米国の上院議員より、沖縄の嘉手納基地への統合案が提案された。政府による日米合意推進のための努力が継続しており、これを阻害するものではないが、有力な議員からの提案でもあり、この提案の背景を把握し、議員個人の資格でこの問題を考え直す機会にあると考えた。両国を巡る環境の変化を踏まえながら、沖縄の負担軽減と安全保障上の要請の維持に向けた実質的な動きを実現すべく、現時点でのプランBとしての統合案を検討することが重要と考えた。基地統合案実現に向けては、騒音の軽減等、改善を要する点もあるし、米軍が東アジアから撤退しつつあるという間違ったメッセージを与えるものであってはならないのは当然のことである。



2.マケイン上院議員(統合案提言者)発言(11日)

米軍再編は、基地問題にとどまらず東アジアの安全保障等の諸問題と関連する機微な問題であるが、グアム移転に伴う米側負担が膨れ上がる等、コストの上昇は深刻であり、両国の納税者に対し、負担を強いるわけにはいかない。日米同盟は、台頭する中国を抑止する最善の手段である。



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3.レヴィン上院議員(統合案提言者)発言(11日)

統合案実現に向けては予算当局、海兵隊および空軍との調整が必要である。統合案に対する政府の報告は12月に行われる。沖縄問題の解決のためには、両国政府が真摯かつ静かに取り組む必要があり、情報が漏れてはならない。




4.ホンダ下院議員発言(11日)

近くペリー元国防長官と共に訪日し、共に被災地を訪問予定である。アジアの安全保障については、国防省がしっかりと検討してくべきである。統合案を提案した3名の上院議員の政府に対する影響力には強いものがある。




5.ウェブ上院議員(統合案提言者)発言(12日)

自分はかねてより、沖縄の負担軽減、抑止力の維持を前提とした効率的な統合案を主張してきた。嘉手納統合は、空軍の一部ユニットの移転を通じて負担軽減と安全の向上を図る案である。空軍の官僚的抵抗が最大の障害だが、海兵隊はこれを受け入れると理解している。




6.イノウエ上院議員発言(12日)

沖縄では不幸な事件をきっかけとし基地の縮減の方向となったが、中国に対し地理的に重要な琉球列島への展開を維持すべく、2006年の政府間合意が出来上がった。なお、米国の歳出削減が在日米軍にどの程度の影響を与えるかは不明である。



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7.シファー国防省次官補代理発言(12日)

同様の提案は数多くなされてきたが、統合案は検討に値しない。辺野古移転案は限られた選択肢の中で最善の案で、上院議員の提案にもこのような評価が伝えられることになる。




8.ジョーンズ前国家安全保障補佐官発言(12日)

グアムへの空軍の一部移転と近すぎる二つの空港の統合を通じ、沖縄住民の負担軽減は可能であると具体的に考えてきた。固定翼機と回転翼機の共存は可能だし、統合嘉手納における管制より成田空港の方が混み合っている。嘉手納は、駐機スペースを除けば統合するスペースもある。米軍が全体的なレビューを実施していることに加え、財政的圧力が深刻になっており、再検討が可能ではないか。



9.スミス外交評議会上級研究員発言(12日)

上院議員たちのイニシアティヴはより安価なものを求めた結果で、真の代替案ではない。予算的制約により海兵隊削減案も検討されている。



10.オハンロン・ブルッキングス研究所上級研究員発言(12日)

予算の制約があり、グアムへの移転計画が確かなものではなくなったと多くの者たちが思い始めている。海兵隊の米本土への移動案、部隊が使う経費は国内に落とすべきとの議論も出ている。財政問題は政策変更の切り札(wild card)になる可能性がある。今後、米国の関心がアジアに向く可能性が高いが、パネッタ長官には、財政問題の圧力等から十分な検討の時間が与えられていない。