東日本巨大地震:石油備蓄放出措置と予算委員会での質問 | 大野もとひろオフィシャルブログ Powered by Ameba

東日本巨大地震:石油備蓄放出措置と予算委員会での質問

東日本巨大地震に際し、被害に遭われた方、様々な意味でご心配をされておられる皆様に、心よりお見舞い申し上げます。


私といたしましては、自らがなしえることを確実に進めることができるよう、日々、精進している最中であり、政府に対する働きかけ、県連の災害本部での役割分担策定等を行っております。


さて、その一方で、被災地におけるガソリン不足は深刻であり、また首都圏においてもガソリンを求めて車列ができ、あるいは品切れとなっているようです。この状況に対し、14日、海江田大臣は、我が国石油備蓄の放出を決定しました。


  ガソリン不足対応へ備蓄石油放出…経産相が判断 読売新聞 3月15日(火)0時31分配信

  海江田経済産業相は14日夜、首相官邸で記者会見し、民間企業の基地に備蓄している石油の一部を

  放出することを明らかにした。
  日本には海外からの原油の供給途絶に備えて164日分の原油が蓄えられており、このうち民間基地に

  備蓄されている70日分のうち3日分(126万キロ・リットル)を14日付で放出できることにした。
  東日本巨大地震の被災地でのガソリン不足と都心部での品薄懸念による買いだめを解消するためで、

  海江田経産相は「不要不急のガソリンの使用を控えてほしい」と節約を要請した。
  被災地では道路の寸断などでガソリンの供給が滞っている。首都圏でも、東京電力の計画停電により

  鉄道の運行が止まるとの懸念から、ガソリンを買い占める動きが目立っている。
  国内での原油備蓄の放出は、米国で起きたハリケーン災害を受けて放出に踏み切った2005年以来と

  なる。石油備蓄法では、供給不足に陥る恐れがある場合は、経産相の判断で備蓄を放出できると定め

  ている。


ガソリン不足への対処については、すでに14日の昼の時点で、当方より政府に対して申し入れたところでありましたが、正直、石油備蓄放出への柔軟な対応にほっとしています。


と言うのも、IEA構成国である我が国は、IEAによる放出決定がない限り、油価や国内状況に鑑み、備蓄を放出することはないというのが従来の立場で、ハリケーン・カトリーナの際にも、IEAの決定を受けた放出でした。このような硬直的な状況を改善することが必要と考え、小生は、9日の予算委員会での質問において、震災を前提としたものではありませんが、国民生活に資するべく、柔軟な政府の対応を求めた経緯がありました。そのときの政府側の答弁は固いものでしたが、今回の震災に際し、IEAの放出決定なしに、史上初めて政府が決断をし、国民生活に対応してくれたことに、正直ほっとすると共に、もしかすると小生の予算委員会での働きかけがいい意味での「揺さぶり」になったとすれば、よかったと考えています。


とはいえ、危機はまだまだ継続します。自らの知見と身体を用いて、未曾有の危機に直面しなければならないと改めて身を引き締めております。


なお、少し長いですが、予算委員会におけるやりとりの関連部分は以下の通りです。


○大野元裕君 石油備蓄についてお伺いいたします。
 まず最初に、我が国の現在の石油備蓄状況、どうなっているのか、経産副大臣、教えてください。
○副大臣(池田元久君) 我が国の石油備蓄は、石油備蓄法に基づきまして、国が行う国家備蓄と民間事業者が行う民間備蓄の二本立てとなっているところは委員御存じのとおりでございます。現在、国家備蓄九十四日、民間備蓄七十日の計百六十四日分を保有しております。いずれも石油備蓄法に基づきまして、我が国への石油の供給が不足する事態が生じ、また生ずるおそれがある場合において、石油の安定的な供給を確保するため特に必要があると認めるとき、経済産業大臣が放出を決定することとなっております。
○大野元裕君 石油供給の途絶に伴い、IEAによってイニシエーション、言わば放出決定が発動される場合、我が国では、国家備蓄ではなく、まずは民間備蓄から取り崩すことになっていると理解しています。その一方で、国家備蓄の放出には約五週間を要するものと理解します。
 油価が備蓄放出決定に影響を与えないのは原則であるとは承知するものの、IEAの放出決定が行われる場合や大規模石油輸出国で情勢が不安定化する場合には、油価の推移を見守りつつ、政府の判断で国家石油備蓄の入札作業を例えば民間備蓄取崩しと並行して早期に開始することは考えられないのか。是非その点についての検討状況、可能性について教えていただきたいと思います。
○副大臣(池田元久君) IEA、国際エネルギー機関が加盟国の協調放出により得られる効果を最大限確保するためには、加盟国が軌を一にして行動を開始することが必要であります。したがって、IEAの備蓄放出決定後、加盟国と歩調を合わせ迅速に対応すべきものと認識しております。
 大野委員の御意見は一つの考え方、アイデアであるとは思いますが、我が国がIEAによる協調放出決定前に入札作業を行うことは、実質的に我が国が単独で備蓄の放出を判断することでありまして、IEA加盟国の協調行動による石油市場へのアナウンスメント効果を減殺することになると思われます。また、我が国のみが備蓄を放出しても価格の引下げ効果は見込まれないことから、適当ではないと考えております。
○大野元裕君 恐れ入ります、副大臣、私、IEAの放出決定が行われる場合や情勢が不安定化する場合には民間備蓄と同時並行的に国家備蓄をという御質問でございましたので、改めてお答え願えませんでしょうか。
○副大臣(池田元久君) これは、我々の想定では入札大体一週間で、大体二週間以内には収まるだろうという認識で、現状のままやるべきではないかと考えております。
○大野元裕君 ありがとうございます。
 しかしながら、石油の高騰は原材料価格や食料価格の高騰を招くことが過去の経験からも分かっております。現在のような経済状況下の中では、我が国の経済、ひいては家計にも大きな影響を及ぼすことになりかねません。是非とも中東情勢の見通しをにらみながら、何らかの別な形でも結構です、政治判断で、油価高騰への影響を緩和するために、例えば石油備蓄を弾力的に対応していただくことはできないか、改めてお伺いします。
○副大臣(池田元久君) 委員の問題意識はよく分かりますが、IEAにおきましては、備蓄は単に価格抑制のためでなく石油の供給不足又はそのおそれがある場合に加盟国が協調して放出することとなっております。国際石油市場では原油取引量が圧倒的に多いため、仮に我が国のみが備蓄を放出しても価格の引下げ効果は見込まれないと考えております。したがいまして、単に原油価格高騰への影響緩和のために我が国が独自に備蓄を放出する等は考えていないところです。
 いずれにいたしましても、経済産業省といたしましては、IEAとも緊密に連絡を図りつつ、中東・北アフリカ情勢やそれが国際的な原油供給に与える影響を十分注視をしております。
○大野元裕君 それでは、この備蓄について違う側面からお伺いします。
 新興アジア諸国においては、石油備蓄を始めとするエネルギー面での脆弱性が指摘されています。例えば中国では、二〇一〇年の目標値で僅か二十日程度と言われています。我が国としてこれらの新興アジア諸国との連携は考えられないのか、経産副大臣、お願いいたします。
○副大臣(池田元久君) 新興アジア諸国における急激なエネルギー需要の拡大等を踏まえますと、新興アジア諸国におけるエネルギー安全保障、その要としての備蓄の確保は重要な課題であると認識をしております。このため経済産業省といたしましては、JOGMEC、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構とともに、ASEAN各国が備蓄制度を確立するための支援を行っております。
 具体的には、我が国が有する備蓄の知見、知識や見識等々を基にASEAN各国の石油備蓄整備の工程表でありますASEAN石油備蓄ロードマップの策定支援を行いまして、昨年七月のASEANプラス3エネルギー大臣会合において承認をされました。
 今後、本ロードマップを基にASEAN各国において備蓄制度が確立されることを期待しており、我が国としては支援を継続していく所存でございます。
○大野元裕君 ありがとうございます。
 それでは、外務副大臣、中国についてはいかがでしょう。
 七日、全人代に合わせて楊潔チ中国外務部長は記者会見を行い、尖閣諸島沖合の問題等で対外強硬路線を取ったことで中国が国際的に孤立をした、そのために外交が失敗したとの反省から協調姿勢を前面に押し出したという報道があります。
 このような機会をとらえて、我が国として責任ある中国の国際社会への関与を促し、さらには、石油の戦略性に鑑みて備蓄を多国間で構築する枠組みを中国も入れながらつくることは、信頼醸成、安全保障、こういった面で資すると考えますが、いかがでございましょうか。
○副大臣(伴野豊君) 大野委員にお答えさせていただきたいと思います。
 大野委員のそうした問題意識、私もそのとおりではないかという思いもございます。御案内のように、現在中国が経済面におきましても非常に拡大路線の中で、それと併せ持って国際ルールにのっとって、そして平和裏に成長することを政府としても望むものでございます。