1泊4日中東行き | 大野もとひろオフィシャルブログ Powered by Ameba

1泊4日中東行き

昨日まで、ドバイとヨルダンに行ってきました。


ドバイで講演を依頼された訪問でしたが、下記のような経緯もあり、結果として1泊4日になりました。


当初は、講演を機会にドバイのかつての友人のつてで経済関係の専門家にお会いし、民主党の進める経済外交に関連し、本来の小生の専門ではない経済関係について中東の現地で勉強してこようと思っていました。この目的については、イラクで操業する石油オペレーターや現地経済専門誌の記者等と会談を行いました。


さて、これにあとで追加したのがヨルダンです。ヨルダンについては日本とフランスがコンソーシアムを組んで原子力発電所の売り込みを行っている最中ですが、我が方の理由で、日・ヨルダン原子力協定を締結しました。ところが、前回の国会において、この協定自体に何の問題も指摘されないにもかかわらず、野党が批准案を「吊るし」、結果として与野党の政争の具となり、批准がなされないこととなりました。このような案件は与野党の駆け引きの材料にされるべきではなく、動かない時の損失は政党ではなく、日本です。


そんな中で、競合相手のロシアはメドベージェフ大統領がヨルダンを訪問し、3月の優先交渉相手決定に向けて強力な政治的働きかけを行うとの情報に接しました。日本からは、要人の訪問がキャンセルされ、結果としてだれも行かないこととなったとも聞いており、アラブ首長国連邦に引き続きヨルダンでも我が国の原子力発電所が負ける可能性が高くなったのではないかと懸念しました。ヨルダンは頼りがいのある親日国家でありますが、政府部内には親ロシア派もおります。


そこで前原外相に親書を出してもらうようお願いして、小生では役不足ではありましょうが、それでもかつて住んでいた時代の人脈もあり、ヨルダンに足を延ばすことといたしました。すると、急きょ近隣を訪問予定の徳永外務政務官がヨルダンにお越しいただくとの配慮をいただき、結果として総理親書を携えてリファーイ・ヨルダン首相とお会いすることとなりました。


リファーイ首相は、私に対し、「お前のことはよく覚えている。そうか、お前が来たか」と述べられ、詳細については書けませんが、我が国のヨルダン支援に対する謝意と原子力発電所売却受注に向けての取り組みへの評価を述べられました。


日本の安全で長い経験に基づく原子力技術が平和に中東で使われることを含めた、対中東インフラ輸出は極めて重要で、石油やガスを市場に流すことを支援して世界のエネルギー環境を良好な方向に導くと共に、関連企業を含めた輸出企業が我が国産業・経済をけん引することにもつながると思います。特に、中東においては、アブ・ダビに引き続き、ヨルダン、トルコ、クウェート、エジプト、サウジアラビアと原子力発言所調達計画が目白押しであり、中東で我が国のプレゼンスを示すことは重要です。我が国の政治家はこれまで、他国に比べてトップ・セールスを行わずにまいりましたが、上記のような理由で、日本も政治家が行動を起こす時代になっているし、民主党の要人たちはこの方向で動いてきました。しかし、中東とはなぜか疎遠である中、長年中東にお世話になった小生が貢献できればと考えています。


なお、ヨルダンではこの他、旧知の研究者の友人や元大臣などと面会を重ね、イラクや中東和平情勢などについて意見交換をしてきました。そのような会談で気になったのは、オバマ政権の任期も残すところわずかになる中でのイスラエルの入植再開やハマース幹部の発言の硬化等の中で、中東和平の実現に、わずかに存在した希望が見えなくなったことに対する発言が相次いでいたことでした。また、急変を告げるテュニジア情勢については、報道を含め、関心は決して高くないようでした。08年のドバイ・ショック以降の経済環境の悪化、レバノンの情勢混迷、イラク政権内のマーリキー首相を中心とした駆け引き等、明るくない新年の中東であり、今後とも引き続き中東情勢には目を向けてまいります。