妊娠11週1日。

今朝、トイレに行ったら
便器の中が、鮮やかな赤で染まっていた。

一瞬、何が起きたのか分からなかった。

次の瞬間、
「えー!」と大きな声が出ていた。

その声に驚いて、夫が駆けつける。

ティッシュで拭いても、また血がつく。
一度では終わらない。

ああ、これは
ナプキンが必要なやつだ、と思った。

腹痛はない。
でも、迷う余地もなかった。

すぐに産婦人科へ電話すると、
「今から来てください」と言われた。

夫は今日から、幼馴染と温泉旅行の予定だった。
どこかそわそわしている様子が伝わってきたけれど、不思議と私は
「こんな時に行くの?」とは思わなかった。

「楽しんできてね」
自然と、そう言っていた。

急いで家を出たあと、
ふと気づく。

何も食べていない。

さっきまで、あんなに気が動転していたのに、
今度はつわりが顔を出してくる。
空腹が一番ダメなんだった。
喫茶店に入り、モーニングセットを急いで食べた。

このあと、10時間も何も食べられなくなるなんて、
このときの私は、まだ知る由もなかった。


病院に着くと、待合室は想像以上だった。
土曜日だから混むとは思っていたけれど、
それを軽く超えていた。

男性は立っている人も多い。
でもそれ以上に、
お腹の大きな妊婦さんが座れずにいる。

口コミで「2〜3時間待ち」と見たとき、
さすがに大げさだと思っていたけれど、
これは本当かもしれない。

でも、不思議と
待つこと自体は嫌じゃない。

名前が呼ばれて、診察室に入る。

お腹のエコーを、看護師さんが一度。
そのあと、院長先生がもう一度。

さらに経腟エコーでも見てくれて、
血腫がないか丁寧に確認してくれた。

画面に小さな身体が映し出される。

43ミリ。

さっきまでの不安とは関係ないみたいに、
その子は、ちゃんとそこにいた。
心臓も、動いている。
必死で手足を動かしている姿が、尊い。

出血の原因ははっきりしなかったが、
出血とお腹の張りを抑えるために
点滴をしましょう、となった。

「突然の鮮血②」へ続く。