大宮妄想小説です

BL要素含みます

パラレルです


病気あり、暗いお話です









俺は夜空を見上げる。

濃い青に小さな星々が集まってキラキラ瞬く。

それは本当に川のようで。






「織姫と彦星は逢えたかな?」






年に一回しか逢えない恋人達は、自分達と一緒だから。

まだ逢えていなくて、俺と同じように、ドキドキしながら恋人を待っているのかもしれないとクスッと笑う。



いつもより念入りに髪の毛を整えてしまったり、服装もダルダルじゃないものを着てみたり。


でもいかにも頑張りましたな服装だったら、楽しみにしているのがバレバレで恥ずかしいかなって思ったりして、部屋着のちょっと良いやつみたいな感じなんだけどね。







「年に一回だから、楽しみにしてるってバレても全然良いんだけどね」






むしろその方が智は喜ぶかもって思うけど、でもやっぱり恥ずかしい俺。


こんな素直じゃなくて可愛くないところは俺は自分では好きではないんだけど、でも智はそれが可愛いって言ってくれた。

だから、俺は毎年可愛くない俺のままで待つことにしてるんだ。







「和……、風邪ひくぞ」







天の川を見ながらいつの間にか寝ていたみたいで、愛しい人の声で目を覚ます。


まるで夜空みたいに深い色の澄んだ瞳が俺を優しく見つめ穏やかに微笑んでいた。

すぐに目に入ったのがそんな笑顔なんて、反則過ぎて。

服装だけは素直じゃないのに、中身は素直になってしまった。






「智、逢いたかった」






素直な気持ちを口にして、目の前の智の首に腕を回して抱きついた。

そしたら、俺より遥かに強い力で抱き締め返された。






「和、俺も逢いたかった」






でも抱き締めて俺の身体の異変に気づいたのか、すぐに顔を曇らせた。






「和、すげー痩せたな……」







「んー、そうだね、ちょっと病気しちゃったからね」






悲しげに眉を下げ何か言いかけた智の唇を、もうこの話は終わりと言って指で塞ぐ。



だって、逢えない日々の話は毎日詳細に伝えているから。

だから、今日はただ愛だけを伝えあう日にしたいんだ。







「智、愛してるよ」






「和、俺も愛してる」







俺を軽々と抱き上げて智は寝室へ向かう。

ふわっと優しくベッドにおろされた俺は、待ちきれずに智を引き寄せ唇を重ねた。


触れるだけのキスから、激しく貪るようなキスに変わるまでは時間はかからない。

そして自分から仕掛けたはずなのに、あっという間に智に主導権を奪われ、俺は智の下でただ甘い声で啼くだけになってしまうんだ。







「和、可愛い……」






「んっ、ぁ……、痩せて、骨みたいでしょう?」






「ぽにょ腹がないのは寂しいけど、でも可愛いよ」






「もうっ、馬鹿……、あっ、ぁんっ」







痩せた身体を見て智が萎えてしまったらなんて考えたけど杞憂だった。


智の瞳はギラギラした欲望を持って俺を射抜き、そして中心はそそり 勃 ち既に熱く激っていた。

俺の肌にキツく吸い付いて、そして俺の感じるトコロを的確に狙って唇と綺麗な指で 愛 撫 してくる。







「んっ、は、あっ……あぁっ、イヤ、だめぇっ」







「此処はイヤって言ってねぇけど?」







ククッと笑って俺の奥深くを容赦なく 貫 いて。

熱い 楔 が俺を何度も 穿 つ。 







「あっ、も、イクッ、あっ、はっ」







「くっ、イケッ」







俺の脚を高く掲げて自分の肩に載せると、恍惚の表情でぐるっと腰を回して俺のイイトコロを擦りながら、上から突き 挿 すように最奥に。


あり得ないほどの快 楽に目の前が真っ白になったと同時にナカに熱いほとばしりを感じた。

目の前が霞んで智の姿が揺らめいていく。

もっと智を見ていたいのに。



智に左手を伸ばす。

その手を優しく握って、智は指輪のはまった俺の薬指にキスをくれた。






「和、愛してる」







「智……、愛してる。

本当は毎日……会いたいよ……」







そう言ったら智の顔が苦しげに歪んだ。

そんな顔をさせたい訳ではない。

それに年一回逢えているのも奇跡なのに、今以上を望んだらもう逢えなくなりそうで。







「嘘、毎日じゃなくて良いから、また、来年……絶対に逢いにきて」







だから優しい智がそうせざるを得ないように強く言って、俺は意識を失った。








――――――――――――――――――――――









七夕の夜は特別な日だから、毎年、天の川を見ながらリビングで寝てしまう。

でもね、朝目覚めるときちんとベッドで寝ているんだ。


そして、智は居ないのに、きちんと心と身体が智を覚えている。

不思議だね、もう何年も前の七夕に、天の川に旅立つアナタを此処で見送った筈なのにね。







「今年も来てくれた」







アナタを失って泣き暮らしていた俺に起きた、年一回だけの奇跡。

ただの俺の夢なだけかもしれないけど。

それでも、夢でも幻でも、アナタに逢えるのは嬉しいから。


ふふっと笑う。

そしてすっかり骨が浮き出てしまった自分の手を見る。


智とお揃いの指輪だってすっかりユルユルになってしまったし、智が好きだって言ってくれたクリームパンみたいな手ではなくなってしまったけど。

それでも悲しみなんて感じなくて、むしろ嬉しくて口元に笑みが浮かんでしまう。






「また来年って言ったけどさ……、でもきっともう少しで、毎日逢えるようになると思うんだ」







その時は七夕じゃなくても逢いに来て、天の川に一緒に連れていってよねって、明るくなりはじめた空に向かって呟いた。









fin








読んだ後に良いねいただけると大変励みになりますニコニコ



七夕なのにこんな暗い話ですみませんガーン

七夕って年一回逢えるっていうのが、

悲恋としか思えないので、

お話を考えてもどうしても明るいお話にならなくてえーん

『サヨナラのあとで』みたいな系統のお話になってしまいましたねキョロキョロ


明るい方の七夕話は8月7日までには何とかしたいと思いますので、出来た際には読んでいただけたら嬉しいですお願い

でもなぁ、そろそろ夏休みという恐ろしい時期がやってきますよねーガーン

夏休みに入ったら余計に書く暇がなくなるので、好きだからが終わったらまたしばらく連載ストップするかもしれませんえーん

書くの遅くてすみませんショボーン



題名はここからきてますブルーハーツイエローハーツ

「恋ひ恋ひてあふ夜はこよひ天の川霧立ちわたりあけずもあらなん」(古今集 176番)

(恋し続けて今宵やっと逢う事が出来ます。天の川よ、川霧の戸を立てて夜が明けないようにしておくれ)


ブラックペアン2までもう少しですねラブ

楽しみですねーキラキラ