中学3年生のIさん。
どうも数学が伸びないね。

 

塾屋稼業30年。

どの府立高校に行きたいと
言い出すのか(思っているのか)、

 

この子は公立タイプなのか
それとも私立タイプなのか、

 

そういうことが、
日頃の学習態度とか
立ち居振る舞いで
何となく分かるのです。

 

塾舎内がIさん一人になったときを
見計らって、「突撃インタビュー」を
してみました。

 

「I さん、
 S高校へ生きたいんとちゃう?」

 

偏差値64~68の府立高校です。

 

この高校、なぜか昔から
めっちゃ人気があって、
今までは9学区に分けられていて
それがやがて6学区になり、
4学区になって、
数年前から学区が全廃されました。

 

学区の関係で
このS高校には通えない子が
たくさんいたのですね。

 

それでも
「もし学区がなくなったら、
 イチバン行きたい高校は
 どこですか?」
というアンケートをとると、
男女区別なく、
ダントツでS高校なのです。

 

実はこのS高校は
ノーベル賞受賞の学者さんを
輩出している学校でもあるのです。

 

校風はめっちゃ自由。

 

ただし、もうひとつ
似たような偏差値範囲で
めっちゃ自由な校風の
K学校がありますが、
ここの「自由」は「無責任自由」。

 

ところがS高校の場合は
「責任自由」なのです。

 

自由にするのは良いけれど
その責任は全部自分にある。

 

例えば、数学の時間に
突然問題集が配られます。

 

でも、先生は、
いついつまでに、どこそこまで
してきなさいとは、
一言もおっしゃらないのです。

 

ところが、夏休み終了後、
ある日突然、

 

「来週の数学の時間に
 テストするからね」と
範囲指定をされて、
先生から宣言を受けます。

 

その範囲が結構広い。

 

そこで、抗議の意味も込めて
「先生、それならそれと
 問題集を配られるときに
 おっしゃってください」と
ある生徒が言ったところ、

 

「そんなモン、配られたら
 言われなくてもするのが
 当たり前でしょ」

 

この一言で、この生徒の抗議は
一瞬で退けられたそうです。

 

つまり、これが「責任自由」。

 

特にこのS高校を受けたいと
言い出す生徒には、
独特の雰囲気があります。

 

言語化できないのが悔しいのですが、
I さんが3年生になった途端に
ここを目指し、
やがては合格してゆく子が持っている
独特のオーラを出し始めたのですね。

 

I さんはそんなこと
一言も発したことはありません。

 

その密かなる想いを、
私に見抜かれて、
「先生、ドキッとしたわ」。

 

いつもはちゃらんぽらんなんですが、
ちゃんと見ているところは
見ています。

 

それで、
数学がなかなか伸びないのですね。

 

このS高校を受けて
おまけに合格しようと思ったら
数学と英語がアカンかったら
命取りです。

 

ところが、
この子の数学が伸びてこない理由が
見当たらないのです。

 

一生懸命しているのにね・・・。

 

その一生懸命さが
点数に反映されないのです。

 

今日、彼女の「学習の隙間」を
見つけました。

 

真面目に学習しているから
学力が低いわけではないのです。

 

学習の仕方がまずい。

 

基本的にゆったりとした子なのです。
そのため、結構、根気が良くて
長く勉強します。

 

それは彼女の長所。

 

でも時には、この長所がアダになる。

 

つまり、勉強を始めると
時間のない世界に入るのです。

 

私が文章を書き始めると
時間のない世界に
入ってゆくのと同じやんか。

 

そこで持ち出してきたのが
新中学問題集・数学発展編。

 

標準編でもかなり難しいので
S高校受験に対処できますが、
数学と英語に関しては、
もうちょっと
背伸びしておいてほしい。

 

因数分解の単元の
どこから始めるのかを
見ていました。

 

この一言を添えて。

 

「ねえ I さん、数学の成績を
 上げようと思ったら、
 応用問題から解いて、
 基礎問題を知るというのが
 大事ですよ。」

 

すると、イチバン難しいモノから
始めようとしています。

 

ところが、解けない。

 

「ナンでやと思う?」

「基礎が出来ていないから?」
「では、
 その『基礎』とはナンぞや?」

 

すると、「これとこれ・・・」と
いうように、練習問題を

指さし始めました。

 

明確なイメージを
シッカリ持っていますね。

 

ここまでは私の予測通り。

 

「じゃあね、目で解いてごらん」と
指示を出す。

 

つまり、
ある問題をぱっと見て(初見で)、
瞬間的に解き方が
頭に浮かんでくるかどうか。

 

見ただけで、
サッと解法の発想が浮かばなきゃ
スピード・アップは図れません。

 

そこで、因数分解10問を
実際にノートに書いて解く前に、
「目で解く」のをしてもらいました。

 

「こんな解き方、
 したことない」とな?

 

「では、同じ問題を
 ノートにして下さい。
 何分で出来ますか?」

「う~ん、20分?」

 

「時間かかりすぎ・・・。」
「じゃあ15分?」

 

「もう一声!」
「じゃあ10分。」

 

「では、タイマー持って
 レッツ・ビギン!」

 

すると、10分で半分しか
解けませんでした。

 

「めっちゃ遅い・・・」と
自分で言いながらしょげています。

 

「じゃあ、残りは何分で解けるか。
 ここから何分以内ではなくて、
 最後が出来た時点で
 タイマーを止めて下さい。」

 

しばらくして「先生、解けました」。

 

先ほどの時間と合計すると18分。

 

彼女、なかなかイイ時間の感覚を
持っています。

 

だって、自分が解ける時間を
最初に20分と
算出できているからです。

 

「じゃあね、同じ問題を
 繰り返してみよう。
 どのくらい時間を縮められるか。」

 

すると、3回目には
18分かかっていた問題が
6分で出来ました。

 

「めっちゃ速くなった。」
「でしょ?」

 

そこでまた一言。

 

「これが、すらすら出来ると
 いうことです。」

 

この「すらすらレベル」まで
到達できて初めて
次の問題に進むのですね。

 

すると不思議なことが起きるのです。

 

先ほどいきなり難しい
応用問題をに取り組んで
「出来ません」と言ったところが
スラスラとまではいきませんが、
「う~ん・・・」とうならないで
出来るようになっているのです。

 

人間の頭の不思議。

 

各題をほぼ3回ずつしているのに、
いつものような
「時間のない世界」に入り込んで
たった1回しか
解いていないときよりも、
格段に速くなっているのです。

 

「こんな方法、知らんかった・・・」

 

表情が明るくなりましたね。

 

すると、大抵は試験前しか
土曜日の後半に来ない子なのですが

 

「先生、
 4時からも来てイイですか?」。

 

心が軽くなってのですね。

 

後半も同じようにして解いてましたが
「I さん、何時に帰るの?」
と尋ねると
「6時です。」

 

幼い弟君が
独りで留守番をしているので
午後6時が限界。

 

「時計を見てごらん。」
「え? もう6時?」

 

午後4時過ぎに来てほぼ2時間。
あっと言う間だったでしょ?

 

彼女がこの方法を出来た理由は、
行き詰まっていたから。

 

手詰まりになるということは、
それだけ一生懸命に
努力をしているからです。

 

努力もしないで「分からん」は
手詰まりとは言わない。

 

手詰まりも何も、
詰まるほどのことしてないもんね。

 

今日は大きな発見をして
大躍進をするきっかけを得た
I さんでした。

 

よかったね。

 

 

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