これも中学2年生のNさんとの
会話なんですが・・・

「授業でクラッシック音楽を聞かされて
 いきなり感想を書きなさいって
 言われても書かれへんことない?」

Nさん。迷わず同感。

Nさん、先日の担任の先生との
三者面談(成績懇談)のとき、
担任の先生が美術の先生らしくて

「Nさんは絵が好きで上手だから
 美大を目指してもイイですね」
と先生から言われたそうですが、

すかさず
「それだけで判断されるのは
 イヤです。一方的に
 決めつけんといてください」
と答えたそうですが・・・

ナンか険があるな~・・・
滝汗
もうちょっと穏やかに話そうよ~。チーン

その流れで、こんな話をしたのですね。


世の芸術的大作、
いわゆる世界の名画ですね、
それがある時期から崩れ始めて
抽象画になってゆくのと同じように、

音楽もまた

既存の形式を破壊する方向へ

進んでゆくのです。

絵画で代表的なところでは
バブロ・ピカソのキュビスムであり、
バドール・ダリの
シュールレアリズムでしょうか。

 

音楽では

ストラヴィンスキー、

スクリャービン、

ヒンデミット、

メシアン・・・

ダリの絵画を実際に見たのは
今から10年ほど前に
彼の絵画が大阪に
やって来たときのことです。

ダリの絵画って、
若いときの作品には、
ちょうど観る人が
その奥に何があるのかを見たいと
思う場所に、大きな障害物を
置いているのですね。

それも人間の身体を大きく歪めた
障害物であることが少なくありません。

ずっとナゾだったのです。
美術の教科書とか
絵画集とかを観ている限りでは。

それが実物を観て、
彼の晩年の、
そういった障害物が全部消え去り
シンプルな線画になってゆく様を
観たとき、
その謎が解けたような気がしました。

あるいは、
ベートーヴェン先生が
かくのごとく
多くのピアノソナタを書き残したのか、

 

その理由のひとつが
産業革命の波に乗って
ピアノという楽器がどんどん発達し、
次々と工夫が凝らされた
ピアノが登場する度に
ベートーヴェン先生たちが
自作の曲をして
実験の舞台としたからなのです。

 

そこで成功した作品を

弦楽四重奏にしたり

あるいは

交響曲へと発展させたのです。

市民階級の力が増して
中産階級が増えることで
ピアノの販売網が整備され
マーケティングが確立されてゆく中で
楽譜の需要も伸びてくる。

もちろん有名どころの芸術家は
こぞって楽譜を出版し
より多くのパトロンなどの
経済的な支援者を得ようとするし、
ピアノ製作会社や楽譜の出版社は
そういった有名どころの芸術家を
自社の宣伝に使おうとする。

宣伝に出てもらうためには
彼らの厳しい技術的な要求に
応えなくてはならないわけですから、
おのずとピアノの構造的なことが
飛躍的に発展することになる。

こういった様々な人々の利害関係が
上手く一致した時代だからこそ
天才がたくさん世に出たのです。

その後、ピアノは
どんどん売れ続けましたが、
中産階級の子どもたちや
音楽愛好家たちのピアノ演奏技術を
システマチックに構築できる
教則本が追いつかなかったのです。

すると、目を付けるのが速い出版社は
練習曲集を作ってくれるように
芸術家たちにオファーを投げかけます。

それによって

そこに需要があるのを知った

芸術家たちも

こぞって
練習曲(エチュード)を
作曲するのです。

その中で大家が現れます。
カール・ツェルニー
ムツィオ・クレメンティ

そして、ついに
ショパンとリストという
稀代の天才が世に出るのです。

この2人が
なぜ稀代の天才なのかというと、
まだまだ発展しつづける
ピアノという楽器から、
ベートーヴェン先生のときには
考えられなかったピアノ奏法や
新しい響きを追い求め、
そしてそれを
人類共通の遺産の域にまで
昇華させたからなのです。

こういう時代背景を話せば、
また音楽に対する聴き方が
変わってくるし、断然深くなる。

ただしここにも問題があって、
このことを細々と生徒に話して
「では感想を書きなさい」となると
この方面についての感想に
偏るのですね。

音楽も絵画も感じ方は自由です。
100人いれば100通りの
感じ方があり、どれも批判できません。

そこでNさんに言ったのです。

あなたがある絵を見て

この色の使い方はどうなってるのかな?
このタッチはどうやって描くのかな?

 

こういった色使いの発想は
どこから出てくるんだろう?

こんなことを考えますか?

こういう追究がおもしろいと思えたら、
あなたは美大へ進学するべきです。

すると、このように答えました。

「う~ん、そこまで考えてないかな~。
 絵を描くのは好きやけど・・・」

その考えが変わらない限り
専門家にはならず、
趣味で描いていた方が幸せかな。

このように言うと、
彼女は彼女なりに
ちゃんと理解しているのです。

だから先生に反論したわけです。
Nさん、正解ですね。

ただし、

もうちょっと穏やかに言おうね。
ウインク
そういう言葉を選ぶ勉強とか、
相手の気持ちを感じ取る経験を
これからし
いかなくちゃね。チョキウインク

 

 

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