カテゴリー:政治・経済・法律コラム 4


 1月4日に財務省は、2004年度の「個人向け国債」の発行額が6兆8210億円に達したと発表した。当初の国債発行計画では2兆1000億円を見込んでいたので、3倍を超えることになる。

 昨年12月24日に募集を締め切った第9回債(2005年1月発行)の発行額は1兆7647億円。第8回債の1兆8652億円には及ばないが、依然として高水準で、「個人向け国債」の高い人気がうかがえる。

 「個人向け国債」とは、正式名称は「個人向け利付国庫債券(変動・10年)」。2003年に発行が開始され、個人だけが保有できる個人を対象にした国債である。年4回(1、4、7、10月)発行される。
  
 従来の国債のメリットに加え、個人が購入しやすいように様々な工夫が凝らされている。

 もっとも大きな特徴は利率が半年ごとに変更される変動金利タイプであるといえる。つまり、実勢の金利水準をもとに、年に2回利率を見直すことになっているので、長期金利が上昇すれば、「個人向け国債」の利率も連動して上昇する。

 しかも利率自体も銀行より高い水準となっている。2003年10月発行の第4回債から約0.5~0.7%に引き上げられ、一気に人気が加熱した。

 第9回債の初回利率は0.67%。100万円購入すれば1年間で6700円の利子がつく。1万円から購入できることもあって、個人投資家の熱い視線を集めるのも当然のことなのかもしれない。

 財務省は「個人向け国債」が好評なことから、今年下期から個人向けの「固定金利型5年債」を発行することを決めた。

 人気の背景には、第一に、今年4月に全面解禁されるペイオフの問題である。金融機関が破綻(はたん)した際、預金の払い戻し額の上限を元本1000万円と、その利息とする措置を控え、預貯金から国債へのシフトが起きている。

 第二に、預貯金の金利を期待できないと判断し、安全性の高い金融商品をもとめる個人投資家の存在があったという理由が考えられる。

 『預貯金から国債へ』では安全指向」との見方もあるが、保守的な個人投資家でさえ、金利の高低を選好し始めたことは注目に値する。

 金利に敏感になってきた個人の選択は、次の段階ではどのような経済効果をもたらすのか楽しみである。