前回WHAT「何?」とWHY「なぜ?」の質問の差についてアップしました。

今回は違う角度からこの差を捉えていきたいと思います。

 

前回は目標設定でWHYの質問をすると目標の意味が明確になり、WHATの質問だと行動が明確になるとお伝えしました。

 

今回は振り返りをする時の状況でのWHYとWHATの使い方です。

 

一般的に私たちは振り返りの自問自答をするときにWHYを使いがちです。

 

「なぜこのプロジェクトは失敗してしまったのか?」などです。良く失敗してしまったときにWHYを使ってしまいますが、

この場合WHYを使って質問してしまうと、正しい答えを導くのに不適当なだけではなく、メンタルを落ち込ませてしまう可能性が高いです。

先の質問で言うと、「なぜこのプロジェクトは失敗してしまったか?」と自問自答すると「リーダーの私が未熟だったかた」とか「自分のスキルが足りなかったから」など自分の未熟さや欠点にスポットライトを当ててしまう人が非常に多いと言われています。

人間は本来ネガティブな情報に意識が向きやすい生き物なので、ついつい自分の能力への客観的な評価を忘れてしまい、よりマイナスの方向に思考を深めていきやすい傾向を持っています。

 

この現象は内省的な人ほどよく見られます。頭の中で「なぜ?」の質問を自問自答するのでメンタルを病む可能性は高くなるからです。

「なぜ失敗したのか?」「なぜ評価が低いのか?」などについて考えすぎた結果、頭の中がネガティブな思考でいっぱいになり、不安や虚無感が増してしまうのです。

是非内省癖がある方は覚えておいてください。

 

一方でWHAT「何?」の質問は、私たちの客観スイッチがオンになりやすいという特徴を持っています。同時に前向きな思考を促す働きを持っています。

また前回お伝えした具体的な行動にフォーカスする働きも持っています。

 

例えば先ほどの例で言えば「何があったから(なかったから)プロジェクトは上手くいかなかったのだろう?」と変換できます。

すると「みんなへの指示のタイミングが遅かった」「情報を上手く整理できていなかった」「声の大きい人の意見に流されてしまったところがあった」など具体的な反省点が浮かんできます。

あとはその反省をもとに改善を行っていけば良いですよね。

 

「なに?」の質問の効果は研究で実証されています。

心理学者のウイリアム・スワンが行った実験では、まず全員の性格に関するネガティブな評価を与えました。

具多雨的には、みんなに「性格検査をした結果、あなたは他人よりも好感度やコミュニケーション能力が低い傾向にあるようです」と伝えて、どのように反応するかを調べました。

 

もちろんこの性格検査はでたらめで全員に対して同じように否定的な意見を伝えています。

その際に研究チームは参加者に2つの方法で自分のパーソナリティーについて考えるように指示しました。

 

1・「なぜ私は他人より好感度がひくいのだろう」と考える

2・「何が私の好感度を他人より低くしているのだろう」と考える

 

その後、参加者たちの反応を調べたところ、興味深い傾向が確認されています。

「なぜ?」の質問で自己分析を行った人は、ひたすら「自分はコミュニケーション能力は低いとは思えない」といった否定に力を注ぐ傾向がありました。

しかし「なに?」の質問で自己分析を行った人は「確かに自分はコミュニケーション能力が低い場面もあるので、どんな状況で会話が苦手になるかを改めて確かめた方が良いかな?」とフィードバックを客観的に受け取って次に生かそうとする傾向が見られました。

 

ちょっとした違いですが、効果を知っておくと防げる落ち込みもあります。

 

是非反省して落ち込みやすい人は「何?」の質問を使ってみてください!