約一年ほど利用してきた娘の学童保育を、この5月で辞めることにした。

娘の学校は、午後2時45分から3時半頃に終る。僕が仕事から帰るのが6時過ぎなので、その間2、3時間ほど間が空いてしまう。

ついこの間まで小学3年生だった娘を、家に一人で置いておくのも忍びなく、学童保育で過ごさせてきたわけだ。

しかし、娘にとっては楽しいことばかりではなかったらしい。

学童保育では、机と座席が決まっており、自分の席で宿題をしたり、おやつを食べたりするのだが、席替えをして隣の子がイジワルな子になったときには、幾度となく泣かされたようだ。

宿題を邪魔してくるとか。

感染防止のパーテーションを押し寄せてきて、机上のスペースを奪われ、おやつを床に落とされたとか。

オモチャで遊んだあと、皆で片付けるルールなのに、一人で片付けさせられたとか。

ランドセルをロッカーに入れずに放り出していたので、注意したら、逆ギレされたとか。

単純に、叩かれたり、蹴られたりもしたようだ。

その子は担任の先生と一緒に2回ほど、娘のところに謝りに来たらしい。しかし、謝ってもその場だけだったと娘は言った。

また、その子以外にも、仲の良くない子や、間柄の微妙な子もいた。子供にはありがちな事だが、二人でいるときは仲良しだが、三人以上になるとちょっと意地悪をしてくるような、微妙な関係に悩んだらしい。僕の子供の頃にも、そういうことはあったと思う。

毎日夕方6時に娘を迎えに行くと、楽しかったと言う日もあれば、泣いたという日もあった。

他人とのコミュニケーションを学ぶために、多少揉まれるのは良いと思うが、泣いたと聞くとやはり迷いが湧く。
そもそも学童保育の送り迎えは、親としても結構な負担だし、5年生、6年生になると、学童保育の利用者はほとんどいなくなる様子だ。

あれこれ考えて、昨年末頃から週に一日ずつ、学童保育に行かず、自宅で留守番させるようにしてみた。一人で過ごす練習だ。

留守番、初日の娘の感想は、

「好きなだけゲームが出来て楽」

だった。

ゲームなら普段から好きなだけしているし、特別感もあるまいにと思ったが、一人で家にいるのは何やら新鮮だったらしい。

ただ、年末の日暮れの早い時期だったので、5時過ぎには家の中が暗くなり、一人でトイレに行くのが怖くなったらしい。僕が帰宅するまで我慢していたりした。

そこが引っかかりどころかと思ったが、もともと娘はかなりの臆病者なので仕方ない。明るいうちに照明を点けておくようにさせ、幸い次第に慣れてくれた。

その後、留守番の日を週2回に増やし、春休みには、弁当を置いて、朝から夕方まで一人で家にいることも試した。

「学童に行くより全然、楽」

そう言ってくれた娘にホッとし、心底、成長を有り難いと思った。

シングルファザーにとって、学校の長期休みの期間が最も厳しい。昨年の夏休みは、毎日弁当を作って、朝夕、送り迎えするのに時間を拘束され、仕事の苦労が重なって、想い出に残るほど厳しかった。しかし、この春休みは段違いに楽に過ごすことができた。

思い切りが付かずに、この4月からも学童保育の利用を継続したが、週2日のみ利用、残りの3日は留守番にした。
さらに、ゴールデンウィーク明けの先週、試しに一週間全部、留守番で過ごしてみた。

そうして娘と話し合い、大丈夫そうだと判断し、先週末、正式に利用辞退届を提出した。

そのとき、何日か利用を休んでいた分の、配られるはずだったおやつをまとめて渡された。


1〜2週間分なのだが、この量は…。

そう言えば、この1年間で、娘は少しふくよかになった。標準体重の範囲内ではあるが、身体測定結果の肥満度の数値が確実に上がっている。

娘がふくよかになったのが学童保育のせいだなどと言うつもりはない。まず、食生活全般を見直すべきだし、何より肥満である僕のDNAを疑うのが先だ。

しかし、学童保育に通わせると、車での迎えになるため歩く距離が少なくなる。加えてこのおやつだ。99%はDNAのせいとして、1%くらいは原因に関与していないと言えなくもない気がする。

自分を疑う前につい他人を疑ってしまうのは、僕の悪い癖だ。

大体、娘のふくよかさをとやかく言う前に、医師も呆れる、僕自身の肥満を直視すべきである。

まず自分を見つめねばなるまい。

話を戻す。

今日が最後の学童保育、といった決め事をしないまま、一週間利用を休み、そのままフェードアウトするように辞めてしまった。

意識もしてなかったが、ゴールデンウィーク前に迎えをした、あの日が最後になってしまったんだなと後になって思った。

娘が泣くのを心配し、時間に追われながら通わせた学童保育。

おやつの摂取が減って、娘がスリムになってくれればとつい思ってしまう、親バカである。