8月が過ぎ、娘の夏休みが終わった。

緊急事態宣言下で、休みが延びるのではないかとハラハラしていたが、幸いそうはならなかった。


感染拡大防止はもちろん最重要だが、シングルファザーにとっては育児も重い課題だ。夏休み中、毎朝、出勤前に弁当を作り、娘を学童保育にあずけに行くのは、なかなかの負担だった。


単に手間だけの問題でなく、毎朝の出勤が遅くなるので、仕事にも影響した。朝は仕事をできない。ということは前日中に仕事を終わらせておかねばならない。かと言って娘を迎えに行くため残業もできない。毎日、そんな緊張感があった。


大人になり、働くようになってから、夏休みの期間など全く意識したことがなかった。例年、通勤電車が急に空くのをみて、そう言えば夏休みだったなと気付き、混み始めてようやく新学期に気付いたものだ。


それが今年は、8月31日を指折り数えて待っていた。娘は娘で、夏休みの終わりが悲しい様子で、8月下旬になってから、あと何日としょっちゅう数えていた。夏休みが早く終わるよう祈っていた僕と、終わりを悲しんでいた娘と、捉え方は真逆だが、協力して乗り切ったのは間違いない。


コロナ禍で、夏の想い出もさしたるものを残してあげられなかった気がするが、唯一の救いは、毎週末、彼女が遊びに来てくれたことだ。


夏休みの課題のいくつかは、彼女に手伝ってもらった。というか、娘が彼女と一緒にやりたがったことが大きい。


出掛けることも出来ないので、ほぼ家ごもりだったが、例えば最後の日曜日、29日には、3人でパンパーティをした。



この夏休みに、すっかりハマってしまった、baguette rabbitのパン。「パンパーティ」という言葉は、彼女が言ったもので、何というか魔力がある。

僕なら「パン買ってきて食うか」という言い方にしかならず、買ってきたパンを袋のままテーブルにごそっとおいて適当にかじるという、「食事」と言うより「餌場」と呼ぶ方が相応しい食べ方になるが、名前が違うとまるで印象が違う。外出できない中でのささやかな楽しみになった。


さて、長くなったがここまでが前置きである。


ストレスフルな夏休み。コロナ禍で外出もままならず、室内で食べるだけ。今年の夏は辛かった。



これは、わが家の8月のカレンダーの余白に書かれた、俳句というか何というか、8月の目標のようなものだったが、以上、辛く苦しい夏を過ごした僕が、痩せるどころかむしろ太ったことを誰が責められようかという、そのことを説明するのがこの記事の主題である。



それを受け、9月のカレンダーに書かれた今月の目標。ご覧の通り、やや下方修正された感がある。一番上の娘が書いたものなどは、もはや神頼みである。

それにしても何故と思うほど痩せられない。そんなことを考えていた今日、彼女からLINEが入った。

コロナウイルス感染症への、抗体カクテル療法の適用について、テレビで報道していたのだそうだ。

・50歳以上
・肥満
・高血圧

などの重症化リスクの高い患者が適用対象になるらしく、僕はパーフェクトに当てはまる。

つまり、いざというときのために、太っていた方が治療の道があるということではないか。

苦難の夏を終えて得たものは、肥満と、それを良しとする諦念であった。

太っていてもいいじゃないか。
秋の気配を感じ始める、今日この頃である。