何の脈絡もないが、防虫の話、ゴキブリ避けの話を書こうと思う。ブログの主旨と関わりない内容なので、積極的にスルーしていただきたい。


僕は毎年5月から6月はじめに、ゴキブリ用の設置型殺虫剤を家のあちこちに置くことにしている。ゴキブリが餌として食べると巣に戻って死に、その死骸やフンで連鎖的に他のゴキブリも駆除出来るというあれだ。


「一度設置すれば一年間効果が続くらしいよ。夏になる前にあちこちに置いておけば、一夏、ゴキブリに悩まされることがないから。」


そう言って僕に勧めてくれたのは、亡くなった妻だ。18年前、同居を始めて間もなくのことだった。それ以来僕は、毎年欠かさず殺虫剤設置を続けてきた。


昨年、一昨年は、ALSに罹った妻を介護するため、あらゆることに余裕がなかったが、気力を振り絞って例年どおり設置した。



これが昨年、あちこちに置いた殺虫剤だ。一昨日、掃除をしながら集めてみた。シンク下、食器棚の中、冷蔵庫と床の隙間、トイレ、洗面所など。置いた場所をいちいちメモしていないので、自分が置きそうなところを思い出しながら探した。


確か、20個設置したはずだが、いくつか足りなかった。毎年、一度に完全に回収するのは難しく、後々、掃除しながら、ここに残っていた、ここにもここにもと次第に見つけていくことになる。節分に撒いた豆を、後日見つけて掃除するのと少し似ている。


昨年のものを集めながら、これを置いた昨年の今頃は、介護でいっぱいいっぱいだったなと思い出す。一年毎の行事というのはそういうものだ。


そして今年は、写真左のものを設置した。昨年のものとは比較にならないほど大きい。



昨年のものはあちこちに20個程置くやり方だったが、今年選んだこれは、一箱、わずか4個の商品だ。


憶測だが、おそらく僕のような人に向けて発売されたものだろうと思う。これなら、あちこちに設置してどこに置いたか分からなくなるモヤモヤ感から解放される。4つくらいなら覚えていられるだろう。


しかし、わずか4つで足りるのか?と湧く疑問に、箱の裏側の説明が答えている。



10㎡に1〜2個でいいのか。しかもこの同心円と放射線で書かれた頼もしい図。効き目を期待させて余りある。

そんなわけで今年はこの商品を選んだが、そもそもこの設置型殺虫剤というのは、本当に効いているのかどうか、目に見えて分からないのが一種の特徴である。


効能書きによると、このようなストーリーで効くそうだが、おそらくこれを自分の目で確認することは一生ないだろう。ゴキブリの巣などというものが本当にあるのか分からないし、見たくもない。

僕の勝手な印象だが、こういった殺虫剤、防虫剤の類は、そのほとんどが効いているかどうか直接には確認しづらく、
「おそらく効いているだろう」
というイメージの上に成り立っているように思う。

思い返せば小学生の頃、蚊取り線香の煙に当たって蚊が撃墜されるものと信じ、飛んでいる蚊に煙を当てようと苦心したことがある。しかし、ついに線香の煙で撃退される蚊を見ることはできなかった。

虫除けスプレーで、虫が逃げて行ったのも直接には見たことがない。玄関吊り下げ型の虫除けも、効いているのかいないのか、目が覚めるような効果は確認できない。

設置型殺虫剤は、ゴキブリを駆除したいが、死骸は見たくない人向けの商品と聞く。つまりそもそも、効いているところが目に見えない前提の商品なのだ。

また、今年は初めて、屋外の、玄関ベランダ設置用のものも使ってみた。



説明書きには、
「ゴキブリが侵入しそうな所の左右に1個ずつ置く」
とある。
左側から入ろうとしたゴキブリも、右側から入ろうとしたゴキブリも、逃げ場なく、完璧にキャッチされるイメージが頭に浮かぶ。実際にそう思った通りの場所からゴキブリが出入りするのか分からないが、とにかく効きそうな気がする。まさにイメージ戦略である。

僕自身、殺虫剤を設置するとき、この辺に隠れているに違いない、この辺にはいるような気がすると、イメージしながら場所を選んだ。そうして設置した殺虫剤にゴキブリが見事やられている、そのイメージ自体が価値で、それに対して僕は金を払っているように思う。もちろん、薬剤としての効能はメーカーで研究し尽くされていて、それを信頼した上での話だ。

写真中に商品名が見て取れたと思うが、僕はこれらの殺虫剤に信頼と期待をして、リスペクトしており、だから毎年使っている意味であり、決してディスっているつもりはないので念の為。

話が戻るが、殺虫剤を設置しながら、亡くなった妻のことを少し思い出した。妻によって作られた僕の中の防虫イメージは今も生きていると言えば、若干いい話になるだろうか。

虫の話をついでにいくつか書こうかと思ったが、長くなったので1つだけ。

亡くなった妻と同居をはじめて間もなく、当時住んでいた集合住宅のベランダ軒下にスズメバチが巣を作ったことがあった。写真のタイムスタンプをみると、2004年7月7日だ。


この日、数メートル離れた距離から噴射できるハチ駆除用の殺虫剤を使って何とかハチを追払い、巣を落とした。


翌日、無くなった巣のところに帰って来て何やら悲しそうにしているハチ。数日はこんな光景がみられた。

そんなこともあったという昔話だ。