「おにぎりを作る手伝いをして、それを作文にすること」


小学3年生の娘に課された、ゴールデンウイーク中の宿題である。唐突というか素っ頓狂というか。意味が分からないので連絡帳を何度か読み返したが、確かに、


「お手伝い・おにぎり・漢らく・計プリ」


と書かれている。



「漢らく」は漢字らくらくノート、「計プリ」は計算プリントの略である。「お手伝い・おにぎり」は、残念ながら何かの略語ではなさそうだ。


全国の同学年の宿題がどのようなものなのか知らないが、これが一般的なのだろうか。僕は思った。文部科学省に対し意見を述べる機会があれば、「お手伝い」の定義を明らかにするよう求めたい。


「お手伝い」とは、親が楽になるよう、子供が働くことを言うのではないか。子供に「お手伝い」を体験させるがために、必要のない仕事をあえてしなければならないのは、どう考えても本末転倒に思える。


ゴールデンウイークが終わるまでの間、わが家におにぎりを作る予定はなかったのだ。よって「お手伝い」の機会は発生しない。「お手伝い」とは、掃除、洗濯など避けて通れない家事をテーマにすべきであり、このような宿題は不適切である。


そういう思いを込め、わが家における「おにぎりの手伝い」とは、コンビニに行って一緒におにぎりを買うことであると位置付け、


「パパがおにぎりを買うお手伝いをしました、お金を払って物を買う体験をし、とても勉強になりました。」


という内容の作文を書かせようと考えた。しかし、そのようなくだらない主張をせず、娘の成長を素直に願うのが正しいシングルファザーの姿であると途中で気付き、行動を改めた。





塩2つ、シャケ2つ、ママにお供えするための小さいものを1つ握り、作文も完成した。

とりあえず今回の宿題が、おにぎりで良かったと考えることにするか。


3年生がおにぎりということは、順当に考えて4年生はカレーライスか。5年生、6年生と学年が進むごとに難易度の高い料理を求められるのではないかと思え、軽く恐怖感を覚える。


そのようなときには、もう彼女にお願いするしかあるまい。

今日もこのあと、彼女が顔を出してくれると言っているが、


「先に全部宿題を済ませておく!」


娘がそういって、朝からおにぎりを食べることになった。

シングルファザーに過剰な負担をかけない宿題の設定を望みたいところである。