娘の小学校の担任の先生について書こうと思う。

もはや介護ブログでも何でもないような気がするが、ひとつ前の記事に少し関連するのでご容赦いただきたい。

コロナ禍の今年、1学期はほとんど休校だったため、通知表もなしという変わったことになった。

しかし通知表はないが、学期末の個人懇談だけは行うと連絡があり、8月末に学校に出向いた。少し前の話になるが、まずその時のことを書きたい。僕がちょうど、重度訪問介護の手続きで奔走していた頃のことだ。

実は、2年生になってから娘が、担任の先生がキライ、キライと言っており、少々気になっていた。担任の先生を初めて見た日に「キライかも?」と言った娘が、2日目には「キライ!」と断定した。2日で嫌われるとは、一体、どんな先生なのか。

1年生の時の担任の先生は若い女性で、熱心、溌剌、きめ細やかなど、褒め言葉の大抵が当てはまる文句なしの方だった。聞くところでは、今年の担任は男性で、しかもあと2年で定年という年長の方らしい。

個人懇談の順番になり教室に入ると、前情報どおり高齢の、白髪の多い優しそうな先生が座っていた。先生はたっぷり5分程、コロナについて語られた。

・生徒の机と机の間を空けねばならない
・窓も開けねばならないので暑いのに冷房がきかない
・プールは無いし、8月なので熱中症予防のため体育もできない
・何より休校の分を取り戻すのが大変

そんな話だった。大変だとは思うが、正直どうでもよい話題だった。休暇を取って話しに来たのは、娘「個人」について懇談したかったからであり、コロナの世間話は必要ない。取り留めなさそうなので、こちらから尋ねてみた。

「先生、娘の勉強の方はどうでしょう?」

すると先生は、算数のプリント1枚を取り出して、

「今回、通知表がないので、これを用意しておきました。足し算、筆算、時計の計算と大体全部入っています。」

全部と言っても算数のプリントで、他の科目はない。どういうつもりなのか。それもそうだが、毎日、連絡袋に入れられて採点されたプリントが返ってくるのだが、自慢げに見せられたプリントは、それらとまるで変わらないいつものプリントだ。返答に窮した。

「先生、娘はどうも算数がダメで、国語の方が好きな様子ですが、どうでしょうか?」

すると先生は言った。

「へえ、そうなんですか?」

耳を疑った。算数、国語の出来を聞きたいのは僕だ。僕が先生に教科の出来を教えてどうする。仕方ない、聞き方を変えよう。

「娘は学校でどんな様子ですか?真面目に勉強してますか?」

「そうですね」

先生は、一拍置いて言った。

「ご家庭ではどうですか?」

「質問を質問で返すな」という有名なセリフが「ジョジョの奇妙な冒険」にあるので、先生にも是非読んでいただきたい。いただきたいが、ここは話しを進めた。

「学校にもお伝えしていますが、娘の母親が難病のALSなものですから、家庭では何分余裕がありません。学校でも悩んでいるんじゃないでしょうか?」

こちらも、質問を質問で返してみた。

「はぁそうですね」

一拍置いて先生は言った。

「奥様の病気のことは教頭からうかがっております。」

会話はそこで終わり、個人懇談もほぼそこで終わった。
正確にはそのあと、またコロナの話になって、しばらく相槌を打ったのだが、ほとんど聞いていなかった。僕は帰宅して娘に言った。

「パパもあの先生、キライだわ。教師失格だ。」

この後、娘のツボにハマったらしく「教師失格」は、しばらく、わが家の流行語になった。

さて、長い前置きはここまでで、話は一気に、一昨日に飛ぶ。娘が下校時に行方不明になったときのことだ。

娘の姿が見当たらないと、義母から担任の先生に相談した。先生は答えた。

「娘さんが誰と帰られているかまでは、把握しておりません。」

昼行灯、と言っていい答えだと思う。そこへ、昨年、娘の担任だった若い女性の先生が答えてくださった。

「娘さんは、○○ちゃんと仲良しなので、〇〇ちゃんの家かも知れません!」

その若い先生は、今、2年生の隣のクラスを受け持っているが、学校で顔を合わせると僕にまで必ず声を掛けてくださる。昨年受け持った生徒の父兄の顔を覚えている、そういう方だ。

義母が、〇〇ちゃんの家の大体の場所を聞き、そこへ向かった。何故か担任の先生は同行せず、姿を消した。

「ここらへん一方通行ですね、どうしようかな」

義母が歩いて探しているところへ、先生が後から車で現れたのだそうだ。ここで義母がキレた。

「車置いて、歩いて探してください!車で探せるわけないでしょ!」

先生は車を置いて義母に合流し、生徒の家を書いた地図を開いて言った。

「個人情報にうるさいご時世なので、家庭訪問をしておらず、〇〇ちゃんのお家は把握しておりません。」

「分からないなら、分かる人に聞いてください!」

義母はキレ続けた。

「分かりました、すいません携帯貸してもらえますか?」

先生は、義母に携帯を借りて学校に電話したそうだ。

「何で自分の携帯使わないんですか!」

「はあ、私の携帯、調子が悪いもので。」

「知るか!」

娘は結局〇〇ちゃんの家にいたのだが、そこにたどり着くまで、そんなやり取りが延々と続いたらしい。ひとつ前の記事で、義母が10回以上繰り返した話というのはこのくだりだ。

昼行灯全開の先生に、キレる義母。その様子は、見てきたように頭に浮かぶ。しかしこれは、誰がなんと言おうと先生が悪い。

娘を学校に入れた時から、モンスターペアレンツにだけはなるまいと決めていた僕であるが、もし同級生のご両親にモンペさんがみえたら、支持させていただきたい気分である。

最後に、娘からみた先生の評価を付け加えておく。

・先生は、自分の言ったことが当たるとすごく得意になるのが嫌だ。
・先生は、生徒を叱るとき、よく話を聞かずに関係ない子まで叱るので嫌だ。

娘が語る先生のエピソードは色々あるが、やはり驚いたのはこれだ。

「あの先生10月になるのに、生徒の下の名前覚えてないんだもん!」

教師失格である。