妻が亡くなって2週間が過ぎた。
土日もあれこれと用事のある日が続いたが、今日は初めて、これと言った用もない日になった。
朝から晩まで娘と二人きり、ほぼ1日、家の中で過ごした。
朝方、学校の宿題を済ませた。
それから、Nintendo Switchのゲームを一緒にした。
久しぶりに「人生ゲーム」をしたいと言うので、それもした。
漫画を描けというので描いた。
過去に僕が描いた、娘主役の漫画を読み返したりもした。
こんなものも作った↓
娘とみっちり遊ぶと1日が長い。
次々と要求されることに応えるのは、相当の体力がいる。
出掛けた方が1日が短いので、出掛ければ良かったのだが、今日は何となくその気分にならなかった。
家の中のそこら中に、妻が暮らした跡が残っている。
あの棚のあそこに置かれたあれは、妻が最後に置いて、それから誰も触っていない。最後には、それを自力で取ることも出来なくなっていた妻。あれを妻があそこに置いたのは、いつだったのだろうか。
娘の持ち物に、妻が書いた娘の名前が残っている。幼稚園の頃まではそうして名前を書けた。これを書いたのはいつだったのだろうか。
昨年頃に、僕が描いた漫画。
「そうかんとく」、ビシィ!と書いてるのが、当時の妻を描写したものだ。
この頃妻は、既に言葉を話すことは出来なかったが、手を動かして指差すことはできた。何かにつけ「ビシィ!」と勢いよく指差すジェスチャーをしていて、僕と娘はそれを「ママの指摘」、「総監督の指示」と呼んでいたのだ。ちょうど1年くらい前だと思う。
そのあたりのことを娘も覚えていて、
「何を見てもママを思い出しちゃう。それはママが大好きだからだよね」
と言った。
家にいて、何を見ていても妻を思い出す。
出掛けても、道の景色や、公園、店、何もかもが妻を思い出させる。
妻と結婚した頃の幸福。
娘と3人で過ごした頃の幸福。
今日1日、娘と2人で家で過ごしてみたものの、夕方、風呂に入った後になって、
「やっぱり、どこかに出掛けたかった!」
と言われてしまった。
実は僕も同じ気持ちで、何をしても満ちたりずにただ長い1日に疲れたところだった。
午後7時を過ぎていたが、気分を変えるために娘を連れて書店に行った。店の一角がスターバックスになっていて、そこでキャラメルフラペチーノを飲ませたら、娘の顔が明るくなった。
来週は、どこかに出掛けようと約束した。
寂しくない週末を過ごせるようになるには時間が必要なようだ。
とりとめのない記録となったが、娘と僕が、案外似た心境にあるように思えた1日だった。