2回続けてヘルパー導入のことを書いてきたが、最後にもう少し書き加えておきたい。

ケアマネさん曰く、妻の世話は「介護」より「医療」に寄っていて、ヘルパーさんに任せづらいのだという。

・痰吸引
・胃ろうへの経管栄養注入
・バイパップの装着・取り外し、酸素吸入

これらのケアは、全て医療行為になり、通常のヘルパーさんには行えない。

うち、痰吸引と経管栄養は、研修を受けたヘルパーさんなら行えるが、バイパップや酸素吸入には、そういった研修制度がないそうだ。

妻はサチュレーションが低下したとき、まず吸引で痰を取って、その後バイパップと酸素吸入をしながら数十分休み、呼吸を整えるようにしている。

例えば、研修を修了したヘルパーさんに痰吸引をしてもらったとしても、そのあとバイパップや酸素吸入ができなければ呼吸が乱れたままになってしまう。それなら最初からヘルパーでなく訪問看護師に入ってもらった方が良い。

痰吸引、経管栄養、バイパップ、酸素吸入と、これら全てに対応できるようにするのは、訪問はもちろん、施設でもかなり難しいそうだ。ケアマネさんが、ショートステイ先を探したとき、これら全てに24時間対応出来るところが、病院以外にほとんどなかったと言っていた。

ちなみに何故、バイバップの装着等が医療行為に当たるかというと、

・呼吸器を常に装着している患者の身の回りの手伝いは、医療行為ではないが

・妻のように、普段、呼吸器を使っていない患者に対して、体調にあわせてバイパップの装着をするとなると、それは判断を要する医療の範疇にあたる

ということだそうだ。
理解はできるが、なんとも困ったものだ。

前々回の記事に書いた、

「どうにも制度に当てはめづらく、介護保険の制度に、これほど無力さを感じたことはありません」

とケアマネさんが言ったのは、このあたりの話を含めてのことだった。

前々回の記事。
訪問介護は、家族の介護負担を和らげる目的でないことから、妙な理由付けをしなければならなかったこと。

前回の記事。
介護保険による訪問介護では、ALSのケアを賄いきれないこと。
重度訪問介護なら、そこをカバー出来そうだが、事業所が少なく、認定が容易でないこと。

それから、上に書いた「介護」と「医療」のこと。

ここしばらくで色々考えさせられた。
通して思ったことは2つある。

1つは、そういう制限の中で仕事をされるヘルパーさんが、接してみると、やはり人として融通を利かそうと計らってくださることで、そんなときに、本来、どこまでが仕事の範疇なのか、頼む側もしっかり知っていないといけないと思ったことだ。
当然のように範疇外の仕事を頼んではまずいと思う。そのためにも制度のことを多少は知っておく必要がある。

もう一つは、介護保険に基づく現行の訪問介護の制度は、進行性の神経難病の場合にピッタリ当てはめづらいところが、やはりあるように思う。

1年程前、身体障害者手帳交付申請の際にも、似たようなことを思って、記事を書いた。
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日々進行し、状態が変わっていく病気に関わっていると、制度の不自由さをどうしても感じる。難しい問題だとは思うが、率直な感想だ。