前回に続き、ヘルパー導入に関するやり取りについて書きたいと思う。
 
現在の悩み事で最も大きいのは、夜間、妻に頻繁に起こされるため、自分が睡眠不足になってしまっていることだ。
 
フラフラの状態を見た職場の同僚から、早退して休んだらどうかとしばしば勧められるが、帰ったら帰ったで介護のために眠ることができない。
 
頻尿の妻は、10分と空けず、時には1分おきにトイレに立つので、その度に介助しなければならないし、もちろん痰吸引もあって、のんびり寝るような時間はない。

そんな風で平日も土日も寝る時間がないため、なんとか夜間、ヘルパーさんに助けてもらって寝られるようにできないかと思った。しかしこれがそう簡単ではないらしい。
 
訪問介護の事業所で、夜間サービスをしている場合、ほとんどが「巡回型」で、「滞在型」は例がないそうだ。
 
「巡回型」とはつまり、夜間、定期的に、様子を見に来てもらうものだが、それでは、頻繁に用事をいう妻の介護にとても対応できない。できればヘルパーさんに夜通し滞在してもらって、見守りして欲しいところだが、そういう「滞在型」のサービスをしている事業所がないのだそうだ。
 
選択肢として、妻をデイサービスやショートステイにあずける方法があるが、これも躊躇するものがある。
 
妻は、会話ができないので、他の利用者さんに話しかけられても返答できないし、そのことで心無い言葉を掛けられないか心配してしまう。それに、ギリキリ40代である妻が、老人施設などで1日過ごすのも抵抗があると思う。痰吸引や頻繁なトイレ介助に対応してもらえるかどうかも不安だ。何より、その話が出た時の妻の悲しそうな顔が見るに耐えなかった。

毎日あずけられるわけでなし、月に何回、週に何回、あずけたところで、せいぜい息抜きにしかならないから、だったら当面結構ですと言って断った。
 
そこで次に出てきたのが「重度訪問介護」だ。
 
「巡回型」しかないといっていたのは、普通の「訪問介護」の話で、「重度訪問介護」では、夜間もしっかり滞在してもらうことができる。もともと長時間の利用を想定した制度で、8時間勤務のヘルパー3人で24時間までをカバーできる設計となっている。これならヘルパーさんに見守りを任せて休むことができそうだ。

「訪問介護」と「重度訪問介護」は、名前だけ見ると「重度」があるかないかだけで、よく似ているが、中身は別物だ。

「訪問介護」は介護保険に基づいており、「重度訪問介護」は障害福祉サービスによっている。枠組みが全く違うのだ。

ざっくり言うと、老人向けの介護制度と、障害者向けの介護制度の違いといったところだろう。
 
そんな制度があるなら、最初から「重度訪問介護」を導入すればいいじゃないかというところだが、そうならなかったのにはいくつか理由がある。

まず「重度訪問介護」は、比較的歴史が浅く、利用者も少ないし、そもそも対応している事業所が少ないのだそうだ。ケアマネさんも、実はこれまで導入に立ち会った経験がないと言っていた。

僕は僕で、ブログ経由で何人もの方から制度のことを教えていただいたし、特にレイチェルさんからは、かなり詳細なメッセージを何度もいただき、それをもとにケアマネさんに話しをしたりした。ケアマネさんは、勉強になりますと言ってくれ、翌日には事業場の目星を付けたりしてくれた。

話がややそれたが、要するに制度がまだまだマイナーということだ。さらに、そのせいもあってか、認定もなかなかおりないらしい。

単純に要件をみると、障害支援区分が区分4以上で、二肢以上に麻痺等があることや、「歩行」「移乗」「排尿」「排便」のいずれも何らかの支援が必要といったことが書かれており、このくらいなら十分当てはまるだろうと思える。

ところが、ケアマネさんが市に問い合わせたところによると、実際はそれらの要件よりもっと厳しく見ており、過去の認定例は全て「要介護5」で、介護保険をいっぱいまで使っていた方に限られているのだそうだ。

妻の場合は「要介護4」で、ようやく先週、ヘルパーを導入したばかりだから、介護保険はまだまだ上限に達していない。

「重度訪問介護」は、介護保険の制度ではないのだから、そこに左右されるのは本来おかしいように思う。おそらく根拠もなく、前例にならっているに過ぎないと思うが、そうでなければ認定されないと言われれば、理不尽だろうが従うしかない。

やむを得ず、まずは1日1時間程度、ヘルパーさんに入ってもらい、「要介護5」への区分変更の調査を明日受けるよう、手配してもらった。

大変、長くつまらない話になったが、さして問題解決にもならない、ヘルパー導入が行われた理由は、大体以上のとおりである。

本当に長い話になったが、それはそれとして、ここ数日、少しだけ良いことがあった。

先日、血液検査で、CRP値が5mg/dLと出て、誤嚥性肺炎の可能性があったため、抗生物質の処方を受けたのだが、何日か服用したおかげか、ここ3日くらい、痰の絡みがかなり軽減された。

やはり、肺の炎症が起こっていて、それが改善されたのだと思う。夜もやや眠れるようになり、僕も、昨日は久しぶりに4〜5時間寝ることができた。

また、義母は1時間でもヘルパーさんが入ってくれて助かると言っている。

少しだけ環境が良くなったのかもしれない。
この長い話、あとちょっとだけ続きがあるので、また次回。