これから何回かに分けて、ヘルパー導入に関するやり取りについて書いてみようと思う。

まず最初は、ヘルパー導入の理由付けをどのようにしたかという話しだ。

先週から火、水、金曜日に1時間、土曜日に1時間半、ヘルパーさんに入ってもらうことにしたが、その理由付けがこうだ。


【目標】
①トイレで用を足すことができる。
②ハンドタオル等を洗濯機に入れることができる。

ケアマネさん曰く、苦肉の策で立てた目標だそうだが、自力でトイレに行くことを目標にした①はともかく、②は何なのだろう。

ハンドタオルを洗濯機に入れるために、ヘルパーを導入する??意味不明である。

こうなったのは、介護保険による訪問介護の制度そのものに理由がある。

少し前にブログに書いたとおり、先月頃から妻の介護負担が急激に増し、僕と義母だけでは無理な場面が多くなった。

例えば、平日午後4時半には、小学校の学童保育にあずけている娘を迎えに行かねばならない。その時間帯は、義母が一人でみてくれているので、やむなく妻を家に残して迎えに行くことになるが、実際、今の妻は、30分間、一人で家に置いておくのも心配な状態だ。

トイレに一人でいけないし、痰が絡むと命に関わるし、立ち上がりや歩行は、見守っていないと転倒の恐れがある。

結果、娘の迎えは、とても慌ただしくなり、寄り道など一切できなくなる。

僕も土日は、ほぼ一人で妻と娘の世話をしているが、買い物などのわずかな外出もできず、本当に困っている。

その辺りを、ケアマネさんには率直に話したのたが、

「家族がいない間、本人を見守ってもらう」

というのは、ヘルパー導入の理由としては、適当でないのだそうだ。

もともと訪問介護は、利用者本人だけを対象としたサービスで、家族の介護負担を和らげるのが目的ではない。

独居の方の身の回りの世話はできるが、わが家のように家族が同居している場合は、基本的に家族が世話をすべきということになる。

仮にヘルパーに、調理、洗濯、掃除などの家事を任せる場合にも、あくまで「本人の分」だけに限らなければいけない。本人の食事だけ、本人の洗濯物だけ、本人の部屋の掃除だけといった具合だ。

そこで、ついでだからといって家族の分の家事を任せると、安価な家政婦のようになってしまい、介護の本来目的から外れてしまうので、そうならないようしっかり線引きしているのだそうだ。

やや話がそれたが、つまり、調理、洗濯、掃除などの「生活援助」は家族が自分でやるべきなので、わが家の場合にはヘルパー導入の理由にしにくいということだ。

ヘルパーのもう一つの仕事に、入浴、排せつ、食事の介助等、直接利用者の身体に触れて行う「身体介護」があるが、現在、訪問入浴週2回と、看護師さんによる入浴介助もお願いしており、入浴介助は理由にしにくい。

また、妻はもっぱら胃ろうからの経管栄養に頼っており、食事を摂らないので、食事介助も理由にならない。

排泄介助は理由になるので、写真の①の通り、理由に盛り込まれた。

では、②の「ハンドタオルを洗濯機に入れる」は、どういう理由なのか。

・例えば、本人が生きがいとして調理を続けている場合にはできるだけそれを続けさせるように支援すべきだ。

・そのとき、危ない様子なら見守って少しだけ助けてあげるのも必要で、そのためにヘルパーが必要というのは、本人が自立した日常生活を送れるよう支援する目的にかなっている。

・それと同じで、妻が今も自分でできている「唾液で湿ったハンドタオルを洗濯機に入れる」という仕事は、できるだけ支援してあげるべきで、介護の目的にかなっている。

というような理屈のようだ。
しかし、素で考えて欲しい。
この世の中の誰がハンドタオルを洗濯機に入れる」ためにヘルパーを導入するだろうか。

100人中、100人が、
・家族がいない間、本人を見守ってもらいたい
・家族だけでは限界に来ていて、他に方法がない
といった理由の方が、説得力があると感じるように思う。

さらに言えば、ALSのような進行する難病の場合、どう支援しても次第に自立が失われていくのに、自立を支援する」という理由付け自体が、何とも虚しく、白々しく感じられる。言ってしまえば、不快に感じるというのが正直なところだ。

今回のこの記事、決してケアマネさんの仕事をけなしているわけでない。ケアマネさんもそのあたりは百も承知で、本質を外してでも、通りやすく、目的に合うように作文してくださっているのだ。

「どうにも制度に当てはめづらく、介護保険の制度に、これほど無力さを感じたことはありません」

とケアマネさんが言っていた。

こじつけた理由でなく、正々堂々と現状を述べて必要性を主張したい気持ちがあるが、制度と戦うよりも、まずはヘルパーさんを導入し、環境を整えることが先決だ。この記事でストレスを発散しておきたい。

次回以降に、ヘルパーさんの仕事と医療の範疇についてと、重度訪問介護についてあらためて書きたい。