昨日の夕方、訪問医の診察があった。


◆妻が毎晩、明け方まで寝付けず、自分も介護のためにほとんど眠れないこと。


目下、最大の悩みを相談した。

現在、妻は、睡眠導入剤のレンドルミンと、精神安定剤のデパスを併用しているが、効果は芳しくない。

先生は、今使っている、いわゆるマイナートランキライザーを、メジャートランキライザーにしていく手もあるが、まずは三環系抗うつ薬を試してみようと言われた。具体的には、トフラニール、アナフラニール、トリプタノールなどになる。

薬の話しになってしまうが、僕は、20年ほど前に鬱に悩んだ経験があり、このへんは一通り服薬したことがある。当時の僕も、

・マイナー・トランキライザー(抗不安薬)
  ↓
・抗うつ薬
  ↓
・メジャー・トランキライザー(抗精神病薬、強力精神安定薬)

の順で処方されたように思う。

三環系抗うつ薬は、古いタイプの抗うつ薬で、効き目が強い反面、副作用も強く、口が乾いたり、尿が出にくくなったりする。先生は、上手く当たれば唾液が減って、頻尿が改善されるかもしれないと言われた。

「当たるかもしれない」というあたりが博打のようで、何だかなぁと感じるが、仕方ない。とりあえずその線で処方をお願いした。今日中には薬がでると思うので、改善を期待したい。

しかし、いつの間にかALS介護のブログが、鬱介護のブログのようになっている。不眠の悩みとなると、行き着くところは、やはり鬱ということになるのだろうか。

先生が妻に「色々なことを考えて眠れないの?」と尋ねると、妻はコクリとうなずいた。

言葉を話せないからなかなか伝わってこないが、身体が疲れて昼寝をするから眠れないといった単純なものだけではなさそうで、先日から記事に書いてきた「死への不安」も大きく関わっているようにみえる。

一昨日から僕は、妻と同じ部屋で付き添って寝ることにした。小学2年生の娘が寝入るまで添い寝して、その後こっそり妻の部屋に移動して、朝まで妻に添い寝する。娘より妻の添い寝の方が、ついに重要になってしまったことに、複雑な気持ちはあるが、現状これしか手段がない。

二晩、添い寝した結果、もちろん夜中に何回も起きるのは変わらないが、今までのように隣の部屋から呼ばれるよりは、マシだなと思うようになった。

添い寝していると「あぁ」、「うぅん」と、辛そうな唸り声を長いことあげているのが聞こえる。やがて痰が詰まった様子になり、呼吸が乱れて咳き込んだりする。そろそろかなと思っていると本人がチャイムを鳴らすので、起きて痰を取ったりする。もちろん、これはマズそうだと感じたら、チャイムがならなくても様子をみる。

隣の部屋にいると、細かい様子が伝わってこず、いきなりチャイムで呼ばれるので、頻回になればなるほどこちらも苛立ってしまう。それに比べて、苦しそうな様子をずっとみていると、同じ回数起こされても、少しは優しく接してあげられる気がした。

また、一昨日は結局僕も、睡眠2時間弱だったが、昨晩は延べ4〜5時間眠れたように思う。もちろん途中途中で中断させられるが、このくらい寝られれば、何とか1日もつ。

昨晩良かったのは、鼻から入れたカテーテルが、珍しく一発で気管に届き、痰をスッキリ取れたことだ。

最近、時々うまく気管に差し入れられるようになったが、それでも食道に入ってしまう割合が圧倒的に高く、思ったとおりに気管に届くことは稀だ。

昨晩もうひとつ良かったのは、妻の古くからの友人が、眠り易くなるハンドクリームを送ってくださったこと。


妻の手に塗ってみたら、すごくいい香りがして、僕も、自分の手に残った匂いを感じるだけで、落ち着くような気がした。優しい友人を持って、妻は幸せだと思う。

今夜、また良く寝られるかは分からないが、新しい薬に期待して、添い寝を頑張ろうと思う。