4月22日水曜日、主治医の診察を受けた。

今回はコロナのことがあり、通院をやめたかったが、命綱のリルテックを処方してもらわなければならないのと、後で書く「ブスコパン」という薬の処方の件があり、どうしても主治医と話したかった。

せめて妻を家に置いて行きたいので、あらかじめ電話で頼み、僕ひとりで診察を受けることにした。病院によっては、電話診療などを取り入れているところもあると聞くので、このご時世だし、早くそうなって欲しいと思う。

「ブスコパン」の話だ。このブログの先月の記事にも書いているが、唾液の分泌を減らすために「ブスコパン」という薬が使えるか、検討してもらうことになっていた。 

しかし主治医は案外、前に話したことを覚えていないことが多い。二、三度話したことを初耳みたいな反応で聞き返されることもしょっちゅうだし、診断書に、毎月診てくださっているとは思えない記述をされたこともある。大勢の患者の中のひとりなのでやむを得ないが、患者側としてはガッカリ感は否めない。

先月の記事に、1ヶ月も経てば「ブスコパン」のことも忘れているのではないかと書いた。実際に1ヶ月経ち、今回通院してみたわけだが、主治医は期待を裏切ることなく「ブスコパン」のことを忘れていた。

この薬、閉塞隅角緑内障の場合に使用できない制限があるので、緑内障を持っている妻に処方できるか、かかり付けの眼科医へ直接問い合わせてくださることになっていた。それを全く忘れていたようだ。

申し訳ないと言われ、あらためて問い合わせる約束をしてくださったが、何やら審査会のような会合がコロナのために開催出来なくなっており、薬の処方について審議できないので、その点でも処方が難しいと言われた。

1ヶ月待ってこれかとがっかりしたし、この様子では来月も怪しいだろう。こちらとしては、そもそもコロナで通院自体を避けたいところなのだ。今月「ブスコパン」が処方されれば、しばらく通院をやめようと思っていたくらいなのに。

先生と相談して、当面リルテック等を2ヶ月分処方してもらい、次回の予約を6月にした。「ブスコパン」については、早く結論が出れば連絡してくれることになったが正直、ほぼ期待できないだろう。

今僕が、妻のことで頼りにしている医療者を順に並べると、

 訪問看護 ≧ 訪問医 >>>>> 主治医

であるのが、偽らざる心境だ。

緊急に困ったことがあれば訪問看護ステーションに相談し、それより頻度は少ないが、体調の悩みは訪問医に相談している。そうして事が済んで解決した後に、月に1回、1ヶ月分の出来事をまとめて主治医に報告する流れになってしまっている。

今回も、この1ヶ月にあった出来事をあれこれと話した。主治医は、パソコン内のカルテに記録していくので、僕の話を聞きながらキーボードを打っていく。

一気に話すと入力が間に合わないので、主治医の入力を待ちながら、こんな事が、あんな事がと話していく。

僕の話を、書記役の主治医が記録しているような、あるいは、先生が付けているALS観察日記の手伝いを僕がしているような、変な気分になってくる。こちらは、出来るだけ先生に分かりやすいように、まとめて要点を話す。先生の返答は丁寧で、決して不快ではないが、おそらく来月には記録したことも忘れているのだろう。

一方、今回の診察は、妻がいないので、主治医もある意味、遠慮なく容態をきいてきたところがあり、例えば人工呼吸器の事などもストレートにきかれたし、診察時間はいつもより長く、20分くらいかかったと思う。

診察を終えて、廊下に出ると、馴染みの看護師さんが追いかけてきて、すいませんでしたと言われ、5分程立ち話をした。看護師さんは、妻の診察予約が入っていると、マークしておいて必ず立ち会うようにしてくれているそうだ。最近の病状の進みが心配だと言ってくださった。それはつまり、これまでの様子を覚えてくれているからだろう。こういう言葉は、何より嬉しい。

現在の主治医は、昨年の春に交代してもらった前主治医より全然印象が良く、僕はそれなりに信頼を置いている。

難病の通院は、短距離でなくマラソンのように長期になり、先生との付き合いも長くなる。一回限りで付き合いがない相手ならはっきり言ってしまうようなことも、今後を考えて飲み込むこともある。接待みたいなものだ。今回はそんな印象の診察だった。