秋以降の妻の様子についてまとめておこうと思う。

9月25日、キッチンで転倒。
僕はそのとき、近所のスーパーに買い物に出掛けており、連絡を受けて慌てて帰った。キッチンマットに足を乗せたときに、マットごと滑ったらしい。幸いひどい痛みもなく病院にかからずに済んだ。原因になったマットは早速処分した。

11月14日、チョコレートを一口食べて激しくむせた。
僕は仕事中だったが、ただならぬ様子の連絡があり、早引きして帰った。自宅に着いた頃には落ち着いていたが、30分くらいは苦しんだらしい。
娘がしょんぼりして、自分がチョコをすすめたせいだと言った。

11月16日、浴室で転倒。
大きな音が聞こえたので浴室の扉を開けたら、出しっぱなしのシャワーの下で妻が倒れていた。後で聞くと濡れた床で滑ったらしい。このときも幸い、大したことはなく病院にかからずに済んだ。

9月後半に、リビングから廊下まで隙間なくジョイントマットを敷き詰めた。



転倒したときに衝撃が少しでも減るようにと思ったのだが、実際に転んだのはマットを敷いてないキッチンと浴室で、思ったとおりには行かないものだと思った。

また11月の初旬から、浴室でシャワーベンチを使い始めた。


滑りにくく、立ち上がりもしやすいというので、福祉機器の業者さんと相談し、いくつかの物を試した上で購入したのだが、皮肉にも購入したベンチが届いた日に浴室で転んだ。これもなかなかうまく行かないものだと思った。

チョコレートでむせたあとから、妻はほとんど口から食事をしないようになった。それ以前から食べられる量はかなり減っていたが、あまりにも激しくむせたためか、以後、ほぼ胃ろうからの経管栄養のみになってしまった。

僕は今年1月頃から、毎朝、あれこれ品を変えて妻の朝食を作って来たが、今は胃ろうへの注入をするだけで、料理はしていない。

同じ頃から妻は、夜寝ていて咳き込んで何度も起きるようになった。はじめは風邪で咳が出るのかと思ったが、どうやら寝ている間に唾液が気管に流れて、むせてしまうせいだと分かった。咳き込みがあるせいで、バイパップもあまり使えなくなってしまった。

ややこしいことに、同じ時期に本当に風邪を引いていて、胃腸の調子が悪かったので、判別が付きにくかった。

11月29日の夜、痰がひどく絡んでSpO2が落ち込み、あわや入院という状態になった。この件と誤嚥性肺炎の恐れありと言われた件は、1つ前と2つ前の記事に書いている。

抗生剤を飲んだお陰か、その後、発熱はないが、痰のつまりのひどさは相変わらずで、夜はあまり眠れていないようだ。

11月27日、月に一度の主治医の診察の際、咽頭分離術のことを説明された。

説明されたというより、それらしいことを言いにくそうにされていたので、

「口から食事を取らなくても唾液が気管に流れると誤嚥性肺炎が起きるから、咽頭と気管を分離すると良いそうですね」

とこちらから言ったら、そうですそうですと先生は、ホッとしたように答えてくださった。

しかし咽頭分離をすると発声ができなくなる。妻は今も、ALSのせいでほとんど言葉を話せないが、それでも「あー」とか「んー」と言うことはできる。これも奪われてしまうのは辛すぎる。

主治医は、咽頭分離を強くは勧めなかった。進行が遅い他の病気であれば、誤嚥の恐れと長く付き合わねばならないから分離を勧めるが、ALSは進行が速いから…と言葉を濁された。主治医の意見はよく理解できる。

また同じ日の診察で、肢体不自由の障害者認定申請をできないかと聞いてみたところ、そろそろいいでしょうと言われた。

妻は、構音障害で4級の手帳を受けているが、上肢、下肢についてはこれまで申請していない。今年の春、福祉車両を買う際、税金のこともあって申請したいと相談したが、まだその段階でないと言われた。

半年経って、そろそろ良いと言われたわけだ。今月末の診察時には、可動範囲の測定などをして、診断書を書いてくださると思う。

淡々と書き連ねてみても、色々あったなという気分になる。

本当は、どれ一つとっても大事なのだが、この病気では、矢継ぎ早に起こる一つ一つの事件を噛みしめている暇がなく、一種感覚麻痺のような気分になってしまう。

が、なにか事件があるたびに、立たされている位置を思わされ、昨年や一昨年との違いを痛感させられる。

病状の話は深刻になってしまうが、ときにはと思いまとめてみた。

楽しくない内容、長文、失礼致しました。