この3連休の日曜日に、子供会の遠足があった。目的地はスケートリンクだ。
病気の妻を留守番にして、僕と娘で出掛けた。娘にとっては初めてのスケートだった。
娘は、前日の夜「明日が楽しみで眠れない」と言っていた。しかし僕は若干、心配だった。僕に似て、娘は運動の類いは大抵ダメだ。とてもスイスイ滑れるとは思えない。
当日、リンクに入っておよそ5分で予想は的中した。手すりを持ってそろそろ歩き、手を持ち変えようとして転倒した。途端に娘は泣き出し、もうやめると言い出した。
娘を助け起こし、リンク脇のベンチに連れて行った。落ち着くまで少しだけ休ませるつもりだったが、娘は、またやるとは、なかなか言い出さない。同級生や子供会の役員さんが何度も声をかけてくださったが、やらないの一点張り。
他の子達は、コロコロと転びながら一生懸命頑張っていて、リタイアしたのは娘だけだ。
それでも娘は、もう一度やると言い出さず、他の子達が次第に上手くなって行く様子を悲しそうに見ていた。
このままボーッと眺めていてはあまりに可哀想なので、リンクに隣接した休憩室に連れていき、カップヌードルを作って食べさせた。
しょんぼりして、時折あんあんと泣いていた娘は途端に元気になり、カップヌードルの他にアイスも食べたい!と言い出した。
暖かいヌードルと冷たいアイスを交互に食べてすっかり満足し、完全に興味を失ったように「スケートは2度とやらない」と言ってニッコリ笑った。
娘を見ていると、折に触れ自分に似ていると感じる。
運動がダメなところもそうだが、上手く行かないと一瞬で嫌になるところも、美味しいものを食べてくつろいでいれば、まぁまぁ満足なのも同じだ。遺伝的責任を感じざるを得ない。
自分に似ているから、こういう時のツボは、大体分かる。
「でも、このままリンクに入らずにいたら、帰りのバスでお友達と帰るとき悲しいよ」
途端に表情が曇る。
小一時間休んだが「もう一度やる!」とついに決意した。
最近はカラーコーンを使ってこうして練習するらしい。みっちりと手すりを使って伝い歩きしたあと、娘は、カラーコーンの練習を始めた。
何度か転んだが、今度は嫌がらずに続け、一時間後には、ほんの少しだけ立てるようになった。
帰りのバスではすっかり上機嫌になって、
「明日もスケートやりたい!」
と言い出す始末だった。
上手く行かないと投げ出すが、少し上手くいくと調子に乗るのも自分によく似ている。
始まりから終わりまで、随所を動画にして妻にLINEした。
娘は小学生になってから、初めて取り組むことが増えている。その様子を妻と一緒に見守るために、動画を送ることが多い。
その場に妻が居合わせなくても、動画を送れるのは有難い。僕に見守られるより、妻に見守られ、妻から誉められる方が、娘は断然嬉しそうだ。せめてスマホがあって良かった。
時々写真を上げているが、現在のわが家のホワイトボードはこうなっている。
補助輪なしで自転車に乗れるようになれるのが、目下の目標だ。
乗れたときには、その瞬間を、せめて動画ででも妻と共有したいと思う。
ところで最近、Nintendo Switch を買ったわが家では、娘はもっぱらゲーム漬けだ。
スケートや自転車のことをあれこれと書いたが、大体、僕と妻の娘が、本当に運動の類いに夢中になるとは思えない。
比重で言えばインドア生活がメインに違いない。家の中でならこれからも妻がしっかり見守ってくれる。
遺伝的にそう決まっているのだ。