妻の左手人差し指が、かなり長いことピクピク動き続けている。

ここ数日少しおさまったようだが、GW初日から今週始め頃までずっと止まらなかったようだ。

今週月曜日に、訪問医の先生の往診があったので、そのことを相談してみた。

先生は、最初これと言ったアドバイスをくださらなかったが、診察が終わり、帰りがけにマンションのエレベーターまで送っていったとき、歩きながらこんなことを言われた。

「抗てんかん薬がピクつきを抑える効果があるので出してみましょうか?」

初耳だったので「へえ、そうなんですか」と答えた。

ピクピクが続いて不快感がひどいのであれば効果があると思う、但し、他の薬で十分な効果が認められない場合に二次的に処方できる決まりなので手順が必要だ、という説明だった。

副作用はどうですかと訪ねたところ、主に眠気ですねと説明された。

どんな薬か気になったので、先生が帰られた後、ネットで調べてみた。

「抗てんかん薬、ALS」

で検索すると「ペランパネル」という薬が引っ掛かる。2016年に東京大学で治験結果の発表があったらしく、

「ALS に疾患特異的な TDP-43病理を伴う神経細胞死を抑制する治療に成功した」

とあった。別のサイトでは、二次的に処方できる決まりのことも書かれていたので、おそらく先生が言われたのはこの「ペランパネル」のことだろう。

単にピクつきを止めるのでなく、進行を止める効果があるのかと思い、気持ちが高まった。早速妻に話したら、妻も同じように期待したようだ。

翌日、先生の診療所に電話して処方を頼んでみた。さらにその翌日、事務担当の方から折り返しの連絡があって、もう一度診察してからでないと処方できないと言われた。

診察を受けたばかりなのに、また診察がいるのかとちょっと不思議に思った。

そんなことがあった後、昨晩、もう一度「ペランパネル」のことを調べてみた。前回は、治験のところばかり読んでいたが、薬の情報をよくみると、重大な副作用のことが書かれていた。

『易刺激性、攻撃性・敵意、不安等の精神症状があらわれ、自殺企図に至ることもあるので、本剤投与中は患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。
患者及びその家族等に攻撃性・敵意、自殺企図等の精神症状発現の可能性について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うように指導すること。』

これはちょっと怖い。

『運動失調(ふらつき)等が高頻度で認められ、転倒等を伴うおそれがあるので、あらかじめ患者及びその家族に十分に説明し、必要に応じて医師の診察を受けるよう、指導すること。』

これも怖い。

『浮動性めまい(41.7%)、傾眠(21.9%)、易刺激性(6.2%)、攻撃性(2.7%)、不安(1.4%)及び怒り(1.0%)』…

とあって、精神症状の方が割合は低めだが。

先生が、すごく積極的に勧めては来ず、次回診察してからと言われたのも分かるような気がしてきた。

薬で気持ちがかえって不安になるのなら、それこそやめた方がいい。

そう言えば、先生が言われていたことがもうひとつあった。嚥下のために食べられるものが減っていて、マグロの刺身とサバの味噌煮をヘビロテで回していると言ったら、

「ウニが食べやすいらしいですよ」

と言われていた。

薬のことはもう一度相談してからにするとして、まずは週末、ウニを買ってみよう。

ウニなら間違いなく喜んでくれるし、副作用は費用だけだ。