昨日、カーディーラーに車を見に行った。

今乗っている車は、この夏で購入から丸9年になる。外回りも傷だらけだが、車内の汚れ方が尋常でない。

妻と二人だった頃は良かったが、娘が生まれてからは、おびただしい量の食べカスとの戦いだった。

スナック菓子の粉と、チョコレートなどの溶けて固まるものと、包装の切れ端などが、サイドブレーキとシートの隙間あたりの指が届かない箇所にバラバラと詰まっていくと、なかなか鬱になる。

掃除したと思っても翌日には元通りに汚れるため切りがなく、やがてあきらめて放置するようになった。

不思議なもので、掃除をしないとどんどん果てしなく汚れていくわけでもなく、一定の汚い状態でまぁまぁ保たれるという、謎のバランスがあった。

また、娘が座席の前をすごい勢いで蹴るので、サイドポケットなどは白く跡がついてなんともみすぼらしくなっている。

前の車検を迎える時にも買い換えを考えたが、新車が、みるみる汚れていくのを悲しく見守るか、我慢して今の汚い車を汚いまま乗り続けるかが、なかなか難しい問題で、とりあえず娘が幼稚園の間は我慢しようと妻と話し合った。

昨年の7月頃、一度ディーラーをのぞきに行き、どのくらいの予算になるか目算を立てたりした。もうしばらく今の車に乗って、幼稚園を卒園する頃には本気で考えようと話し合った。

ところが9月に妻の病気の疑いが浮上して、10月には診断があり、車の話は中断した。正直、車どころではなかった。

が、先週、娘の小学校の入学式も終わった。どう過ごしていても夏には次の車検時期がくる。この機会に思い切ろうかともちかけたら、妻も同意してくれたというわけだ。

車に関して、僕はあまり頓着がない。機械の類いは決して嫌いでなく、大体僕は「労働安全コンサルタント」という資格を機械専門で取得したくらいで、むしろ興味がある方だ。家電を買うときは徹底的にスペックを比較しなければ気がすまない性質でもある。

しかし車に関しては別で、スペックに関してもほとんど興味がない。

運動神経が全くない僕は、機敏に運転するタイプとは程遠く、おっかなびっくりナビ頼りにしか走れず、性能の良い車に乗るのは車に申し訳ないし似合わなくて恥ずかしいという気後れがあって、まぁどうせスピードも出さないし、小さくて可愛い車がいいやという選び方をしてきた。

過去に乗った車も、1台目は軽、2台目はターボ付きの軽、3台目にようやく普通車にしたが、コンパクトカーのホンダ・フィットを選び、今乗っているのがこれだ。

またそのフィットの色が、赤だ。もちろん僕が赤を選ぶわけもなく、妻の好みによる。僕は電車通勤で休日しか乗らないし、いいよ、妻が気に入ればといった感じで承諾した。

赤い車を見た知人からは、家庭における決定権者が誰で、ひいては力関係がどうであるかを象徴しているように見えるようだが、そういったことも気にしないくらい、僕は車に関してこだわりがないのだ。

そんな風なので、今回もできるだけ威圧感のない小さい車が良かったが、娘が豪快に扉を開けて隣の車にぶつからないようにスライドドアを選びたかったのと、妻の車椅子を楽に乗せられるものがよかったので、小さい車の中から大きな車を選びたいというかなり矛盾した希望を抱えていた。

今回のディーラーはトヨタにした。愛知県民としての愛着ももちろんだが、家から一番近くて都合がよい。

色々話した末、金銭的にはかなり厳しくローンになるが、シエンタの福祉車両タイプにしてみようと決めた。スロープを格納していて車椅子をそのまま乗せられるそうだ。上手く使っていけるかは、やってみなければ分からないが、そこは思い切ることにした。

一度ディーラーに行ってすぐ決めるというのは、以前ならちょっとあり得ないが、妻の体調を考えるとあちこちの店を回る元気もない。内装など見ているうちに気に入ってきて、これでいいんじゃないかなと思えた。すぐに納得してしまうのが車に頓着のない僕だ。

色は、またしても赤になった。今回は、さすがにちょっと別の色をとも思ったのだが、福祉車両は色が限られていて、妻が赤と言い、妻がいいならそれでいいやと決めた。


よし、これで妻と娘と一緒に遠出しようと思った。ところが何と、納車が4カ月先なのだそうだ。気が遠くなるが、しばらく話してまぁ仕方ないと受け入れた。 

そういうわけで、夏までに車が変わると思う。福祉車両の使い勝手やいかに。妻が出かけ易くなるといいなと思う。