妻が既に書いたとおり、胃ろう手術後の抜糸が無事にすんだ。シャワーも浴びられたようだ。明日、脳の検査をして明後日退院する。

脳検査の内容は、放射性同位元素を投与して脳の血流や機能の状態を調べるものらしい。体調の良いうちにしておきたいと先生が言われていた。検査の目的が分からなかったので少し尋ねてみた。

・脳の血流を調べると言われましたが、それで運動ニューロンの状態がわかるわけではないですよね?
  → それはわからないですね。

・ALSと脳の血流や機能には関わりがあるんですか?
  → それは評価によりますね。

正直、あまりピンとこない答えだった。ネットで調べてみると、おそらくシンチグラフィという検査だろうとわかった。しかし、ALSの評価にどう関わるのかはよく分からない。検査後の説明を聞いて、何か分かれば、また書きたいと思う。

【追記】
先生から全く説明はなく、推測だが、認知症の検査だったのではと思う。ALSは認知症を併発することもあるらしいので。結果についてのしっかりした説明もなかったので、詳しくは分からないが。(追記おわり)


ところで今日の本題は、一昨日と昨日の2回、胃ろうからの経管栄養注入の指導を受けたことについてだ。

今回の入院の目的は、

・胃ろうの造設
・経管栄養の確立

の2つだそうで「経管栄養の確立」のためには、家族である僕が注入の仕方を覚えなければならない。

1回目は、点滴のようなものを使った。もはや馴染みになった栄養補助食品「メイバランス」の名前の入った点滴袋のようなものをチューブに接続して、1秒1滴の速さで、1時間くらいかけて胃に注入する。僕は、正直、少しがっかりした。胃ろうってこんな感じなのか。点滴と大して変わらないじゃないか。

翌日、2回目。今度は半固形のものを注入する。
ミキサーでこねたような、オレンジ色のものを、大きな注射器のようなシリンジを使って胃に注入していく。看護師さんは1回目と違い、

「速くてもいいです」

と言った。僕は、50mlくらいの注射をギュッとほぼ一撃で胃に注入した。空になったら次の50ml、また次の50mlと繰り返す。

「こんなに速くていいんですか?」

「いいです。」

1回目の点滴とは全く違う。しかしこれこそ僕がイメージしていた「胃ろう」だ。

実際、あまりに速くシリンジを打ったため、一度、勢いでチューブが外れて中身が少し飛び出してしまったほどだ。

何度もシリンジを操作しているうちに、だんだん調子に乗ってしまい、勢いよく打ちすぎた。考えてみたら、この勢いを受け止める妻の胃は、負担かもしれない。心配になってきた。しかし見守っていた看護師さんは、

「飛び出しましたか。そうして覚えてください。」

と、全く平常心だ。さすがプロだ。
そうして、ものの10分程で1パック全量を注入した。

「わからない」

というのが感想だ。

何故、液体は点滴のように1滴1滴入れるのか?
何故、半固形は一気に入れてもいいのか?

液体だって、コップで水を飲む速さで入れてもいいんじゃないのか。入口は違うが、受け止める胃は同じじゃないんだろうか。点滴はゆっくり入れるんですねと聞くと、

「あまり速く入れると下痢しますから」

という答えだった。では何故、半固形は速くていいのか。速ければこちらも下痢しそうなものだ。

分からない。これで経管栄養は確立したのだろうか。

「安心してください。皆さん、最初はおっかなびっくりですが、すぐに習得して行かれますよ。旦那さん、お上手ですよ。」

明後日、妻が退院できたら無事、経管栄養は「確立」したと言えるのだろう。結果を待ちたい。