妻の胃ろう造設手術が終わった。

今日、午前10時に入院し、まず病室に入って点滴をした。朝から食事や水分摂取をしていないので、脱水防止などの目的もあるとのことだった。

午後2時15分頃、そろそろ部屋の移動をと言われ、ベッドごと手術室へ運ばれた。僕も手術室の前まで着いて行き、廊下の椅子で待った。

午後2時50分頃、執刀医の先生が部屋から出てきて話しかけてくださった。

「合併症等、特になく終わりました、数日は痛みが残るでしょうが、おそらく一週間くらいで退院できるでしょう。」

手術は、問題なく終わったようだ。しばらくして妻がベッドに乗って廊下に現れた。再び病室にベッドが運び戻されたとき時計を見たら、午後3時を少し回ったところだった。

始まりから終わりまで一時間弱で済んだので、手術に要した時間は実質30分弱くらいだったと思う。先生のお陰で順調に終わった。

ただ、手術室から出てきた妻はかなり消耗しているように見えた。

眉を集めて苦しそうに息をしているので、バイパップを付ける?と聞いたが、それをしている余裕もなさそうだった。

手術室に向かう直前、鎮静剤の注射をしていたので、その影響もあるのかなと思ったが、あまりに苦しそうで詳しく聞けなかった。

僕の段取りが悪かったのだが、夕方に自宅に帰らねばならない用事があったので、一旦病院を出て自宅に向かった。その後、用事を済ませ、7時頃に娘や妻の両親を連れて再び病室を見舞った。

手術から数時間は経ったその時も、妻は相変わらず苦しそうに肩で息をしていて、呼吸回数が多いように見えた。

普段は、介護ベッドで上半身を少し持ち上げているが、このときは完全にフラットにして横たわっていた。やはり、傷の部分が痛いのだろうか。

話し声も、いつもに増して力がなかった。ようやく声を吐き出しているといった感じで、やはり傷が痛くて力が入らないのかもしれないと思えた。

娘が妻の頭をなでなでしたときだけは、妻も少し微笑んでくれたが。

執刀医の先生は、特に問題なかったといわれているが、妻の口から今どんな具合なのか、手術はどうだったのかなどを聞かねば、やはり安心できない。もう少し、それらが聞ける状態になるのを待ちたい。

しかし、この病気のことが分かってから不安が増したことの一つは、なにか不調があった際に、どんな些細なことでも

「時間が経てば回復するさ」

と安易に思えなくなってしまったところだと思う。回復しない病の恐ろしさだ。この病気に関わる方は、多かれ少なかれそういう不安と闘っているのじゃないかと思う。

今回は手術の痛みだし、さすがに数日すれば少し落ちつき、呼吸も整うと思うのだが、ついつい、このまま呼吸が落ち着かなかったらどうしよう?などと考えてしまう。

妻の回復を祈る。


【追記】
東京在住の博識の友人とLINEしていたときに出た話。友人曰く、

「そもそも胃ろうの「ろう」が平仮名というのが不安感を煽りますよ。漢字表記を調べてみると、見慣れない字だし……。」

とのこと。確かに。

あまり意識していなかったが、これは胃ろう問題のある意味本質かもしれないと思い、少し調べてみた。

胃ろうは「胃瘻」と書く。「瘻」は「瘻孔(ろうこう)」から来ているらしい。では「瘻孔」とは何かと言うと、

「体内と体外との間、または管腔臓器間に生じる管状の欠損のこと。」

だそうだ。なんちゅう意味だ。胃ろうという言葉自体、どうなんだろうというレベルだ。新しい名前を求めたいとちょっと思う。