2018年10月19日、妻は「ALSの可能性が高い」と診断された。

その10日後の10月29日、保健所に「特定医療費支給認定申請」を提出した。ALSは指定難病なので、申請をして認定されれば、月々の医療費自己負担が少なくなる。

申請書の受付から認定までは、2~3ヶ月かかるそうで、認定は年明けになると思う。今はその認定を待っている状態だ。

市民病院の先生は、申請の際に必要な「臨床調査個人票」を作るに当たって、病名を「筋萎縮性側索硬化症」と書きますよ、そうしないと申請できないからねといった言い方をされた。それまで一応「可能性が高い」という言い方をしてきたが、さすがに申請にあたっては病名を付けざるを得ない。

個人票は、封緘されていなかったので、僕も目を通したが、通常の診断書と違い10枚以上に亘るチェックリストのような体裁で、どういった症状が出ているか、日常生活にどの程度支障がでているか等を細かくチェックしたものになっていて、読み進むと気が滅入る内容だった。

市民病院の先生によると、申請が通らないことはまずないと思うが、ここ数年で対象疾病を10幾つから数100まで拡げているので、裾野を拡げた分、審査が厳しくなって、本当に生活に支障が出ていないと認定されない可能性があるそうだ。

公費を投入して医療費に当てるのだから、真に必要な部分に限らねばならないし、審査期間をとってしっかり見定めるべきなのは当然だ。

しかし当事者としての素直な気持ちを言えば、ALSと名前が付いた時点で精神的負担も計り知れないのだから、その日から医療費全部タダの上に、毎月、手当の支給があってもいいくらいに思う。さすがにそんな都合よくはなく、月の自己負担は数万円必要のようだし、ALS以外の医療費は普通にかかる。


認定申請のことだけで長文になったが、薬の話だ。

妻は先日、ラジカット点滴を2週間処方された。
しかし、その間に、今までなかった右手薬指の震えが出てきたので不安に思っている。

そのことを話した上で、ラジカットの他にも、リルゾールという薬があるそうだが、そちらも使えないかと思いきって先生に聞いてみた。

先生は、あっさりと「いいよ」と言ってくださった。
ただし、今やっているラジカットも、本来なら「特定医療費支給認定」が下りてから処方するのが普通で、早期治療を望んでいるから、前倒しに行っている状態なのだそうだ。

認定されれば、今回のラジカット分の医療費も、遡って還付を受けることができる。しかし、もし認定されなかった場合には相当な金額を自己負担しなければならない。

リルゾールも1錠1500円くらいするそうで、1ヶ月で10万単位の金額になる。だから、処方するのは構わないが、認定を受けてからの方が良いと言われた。
代わりにというわけでもないが、漢方薬を処方された。

結局、現在のところ、
・ラジカット
・漢方薬

が処方されていて、それと精神を落ち着かせて寝つきを良くするために
・デパス

の処方を受けている。
妻は、デパスは以前にも服用した経験があって、飲むと気持ちよく眠れるので、こちらから処方をお願いした形だが、筋肉の緊張を和らげる方に作用するのでALSに対してはあまり良くないらしい。


市民病院の先生は、単に優しいだけでなく、僕がネットで調べた付け焼き刃の知識であれこれ問いかけても、苦笑いしながら、ときにしっかり否定しつつ助言してくださるのでとても有難い。


医療費といえばもうひとつ、妻は、生命保険に加入しているが、ガンであれば診断後の保険料タダ、通院、入院とも治療費が支払われるところなのに、この病気には適用されない。稀な病気ゆえのことだが、モヤモヤしたものは残る。

病気と認定されることは嬉しくないが、医療費のためには認定されないと困る。それまで、求める薬の服用を待たねばならないのは、何ともストレスだ。
この病気の方は、皆さんどんな薬を処方されているんだろう?

先のことが不安な中で、お金のことだけでも、心配から解放されたいものだと思う。