筋肉が萎縮していく病気があると、以前から聞いたことはありました。スティーブン・ホーキング博士が患っていたとか。

それがまさか妻に関わってくるとは、つい2ヶ月前まで思ってもみませんでした。


忘れもしない北海道地震の3日後、9月9日の夜です。

久しぶりに妻が長い話をしてきました。

娘を幼稚園に送ろうとバスを待っているとき、若い男性が近寄ってきて、じっと娘を見ていて恐かった、また来たらどうしようといった話。


内容よりもその話ぶりに驚きました。唾がたまってひどく話しづらそうで、え、どうしたの、その話し方は一体?と。


夏頃から、妻の口数が減ったことは意識していました。おやすみと挨拶しても、「んー」と答えるだけ。どうしたのと聞くと、痰が絡んで話しづらいのだという。
耳鼻科には通っていて、蓄膿で痰が出ていると言われ、薬をもらっていました。

しかし7月頃から9月まで、2ヶ月も薬を飲んでいるのに一向に良くならない。
幼い娘は口数の少ない妻に「ママ、反応うすい!」と、覚え始めたばかりの「ツッコミ」をして得意になって喜んでいました。

それでも、一言、二言、話をする分には、さほど違和感を感じず、蓄膿でしゃべりにくいのか、そんなこともあるのかなと思っていました。


一言、二言でない長い話を、久しぶりにしてきて初めて異変に気づきました。
しかし、正直このときも異変に気づいたというより、別の耳鼻科に連れていって、もっと強いよく効く薬を処方してもらえば治るさといった考えだったのですが。


ネットで良さそうな耳鼻科を探し、翌日はなんとか都合もつきそうだったので、自分も仕事を休み、病院に付き添うことにしました。


この晩、僕は能天気にも病院の待ち時間で退屈しないよう、雑誌のマンガの切りぬきをスキャナで取り込んでスマホで読めるように整えていたりしました。
(HUNTER×HUNTERの連載再開前に、前回分までを読み直そうとしていたのだ)
翌日、どんな気分になるのか、全く予想もせず、仕事を休むことにして若干気楽にすらなっていました。