佐久市議会12月定例会に上程されていた
「佐久市の国保税率を、平成29年度から平均11.1%引き上げる」
という議案に対し、最終的に「将来世代に負担を先送りしてはならない」
等の考えより、賛成に回りました。
議案は、賛成20、反対5の多数で可決され、平成29年度より適用となります。
以下、経過と、私の考えをまとめました。(長文です)
●なぜ、引き上げの提案があったのか?
「佐久市は医療機関に恵まれている」と言われていますが、
足元の医療費の増加には歯止めがかかっていません。
・平成26年から27年の医療費の伸び率は6.0%、
平成25~27年度の平均では5.5%。
・65歳以上の高齢者の人数、割合が増加する一方で、
65歳未満の被保険者の人数は減少し続けている。
・国保会計基金は現在4億円あるものの、引き上げをしないと、
平成29年度中に枯渇をする見通し。
・一般会計から赤字補填としての基準外繰入もできないことは無いが、
国保加入割合は25%。
・引き上げ後も、佐久市の国保税額の平均は
県内19市中13番目の水準であり、負担が突出して高いとは言えない。
・国保税を上げないと、負担は現状維持の一方で、平成32年度までに
13億5千万円の赤字の発生が予想される。
●背景には何があるのか?
・高度医療・検査が身近に受けられる環境の整備に伴い、
医療費も比例して増加している。
・高額な薬(オプジーボ等)が保険適用となり、薬剤費も大きく伸びた。
・特定検診(健康診断)の受診水準が、思うように改善されていない。
よって予防医療が十分に機能しておらず、具合が悪くなって診断を受けた際は、
既に症状が重くなっており、高額な医療費が発生する・・・
というように、構造の改善が思うように進んでいない。
●私の考え
・国保税は県内13番目と言うが、平成27年に16.8%
引き上げられたばかりであり、負担感が大きい。
・国保は低所得世帯の加入率が高く、負担感の高まりから、
滞納率が上がる懸念がある。
・佐久市は医療機関に恵まれている。医療費も負担感をより軽減する
必要があるのではないか。一般会計からの赤字補填、もしくは
財政調整基金等の取り崩しも止むを得ないのでは。
・独立会計の考えにこだわると、際限なく負担が上がる可能性がある。
どこかで食い止め無くてはいけない。
「引上げないで欲しい!」という切実な声を多く聞いてきましたので、
当初私は、「反対」に考えが傾いており、その立場から会派内外で問題提起、
議論をしてきました。
●結論、そして、どうするか
しかしながら、議会内で議論を重ね、市の担当課とも意見交換をする中で
「将来世代に負担を先送りしてはならない」
これまで市が積み上げてきた基金は、将来世代に対する貯金。
将来的にも、税収が大きく上がる見込みが無い中、我々の世代が貯金を
食いつぶしていいのか。
「税の公平性」
現在も、被保険者保険(健康組合・共済、協会けんぽ)からは、
「前期高齢者交付金」「退職者交付金」という名目で国保会計に交付金が
支払われている。更に市の一般会計からも平成28~32年で約8億円が
基準外繰入される見通し。更に15億円を市の財源から繰り入れるのは、
他の保険加入者と比較し、公平性に懸念がある。
という観点より、苦渋の決断でしたが、最終的には「賛成」という
結論を出しました。
誰も、負担増を望んではいません。国保税も、上げなくて済むなら、
上げたくはありません。しかし、医療費が上がり続け、それに見合う歳入が
無ければ、基本的には税率の引き上げは避けられません。
(所得割の税率を上げ、その分均等割額を下げることにより、
低所得世帯の負担軽減を図る、という考え方もあります)
では、支出を抑え、税率を上げずに収入を増やすためには・・・
●支出を抑えるためには
①健康診断の定期的な受診を推進し、初期の改善に努める。
②ジェネリック薬品の利用率を上げる。
特に①については、費用がネックとなっているのであれば、補助割合を
見直す必要もあります。また、健康診断を受けられる職場(仕事)環境の
改善にも、努めていかなくてはなりません。
●収入を増やすためには
国保会計、様々な交付金については仕組みや計算式が複雑で
簡単に論じられるものではありませんが、
今後、平成30年度に予定されている「国保運営の都道府県への移管」
「国保等の社会保障財源としての消費税引き上げ」について注視し、
制度や財源のあり方を、地方の立場から、県、国への要望⇒改善に
努めていきたいと考えています。
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
ご意見、批判は、真摯に受け止めてまいります。