金子修介監督といえば「平成ガメラ」シリーズの監督として日本映画史上にその名声が残り続ける監督さんでありますが、それ以外って?と思ってフィルモグラフィーを見てみたら、私が観賞した作品の中では「就職戦線異状なし」が彼の作品だった。最近の作品はというと本作もそうですが、全然世間に知られていないような。こちらの作品もkikiさんで上映していたので鑑賞する機会を得ましたが、3月に公開している事すら知らなかった。

 

ヒッチコック作品を彷彿とさせるような幕開けのようにも思えた冒頭に始まり、次々と繰り広げられる事件の数々。華麗なる一族を巡る陰謀と、貧しい家庭で虐待される子供達が起こした過ちが沖縄の海岸で交錯したその時、新たなる悪意が身をもたげる。

クライム・サスペンスでありミステリーでもある。割とクラシックな犯行劇がギリギリ節度を保ちながら、最後まで観客を飽きさせずにテンポよく引っ張り続ける。中国のベストセラー小説/ドラマを、沖縄の地を舞台に映画化したとの事ですが、クレジット含めどことはなしに異国感も漂わせつつ、全員が標準語でも物語の世界に違和感はない。ただ正直なところ終盤の展開にさほどの驚きはなく、何より結末の後味があまりよろしくない。脚本を担当した港岳彦氏はその軽減に苦心したそうですが、こればっかりは限界あるなと。その手の作品があまり好みではない私ですが、巷の評判(点数)だけを頼りに観に行った今回、事前に察知出来ませんでした。

 

日付:2024/4/20
タイトル:ゴールド・ボーイ

監督:金子修介
劇場名:あつぎのえいがかん kiki スクリーン1
評価:5.5